非常時や環境激変時の営業戦略
いくら知恵を絞って会社経営と営業戦略を練ったとしても、一企業ではいかんともしがたい状況が発生することがあります。
しかし、長年の習慣というのは大きなもので、そんなときでも、従来と同じ思考で、状況をなんとかしようとする傾向があります。
本日は、非常時と平常時とでは、とるべき営業戦略が根本から違うことと、どう考えるべきかのヒントをコロナウイルスを交えてお伝えします。
会社経営では、5年~10年に1回は、「まさか」ということが生じるものですが、今回のコロナショックは、世界中の誰一人として、ここまで影響が出ると予測できなかった「最大級のまさか」です。
特に、2月末からは1週間単位で、日本はおろか世界的に状況が激変し続けている情勢なので、平常時のように「現場の問題を解決するのが幹部だろう!」と経営者から叱咤激励されても、問題の中にはどうしようもないものがあります。
実際、私の指導先の会社の中には、営業訪問しようとしても、「当面訪問でなく、Webでやりましょう」と言われたケースがあります。
また、外資系企業の場合は、例えばタイだと、3/16迄は風邪の症状がなければ入国後に熱の検査のみだったのが、→3/17に入国後14日間は外出不可へ強化、→3/19に追加発表があり、3/22からいきなり、入国すらできなくなるケースすらありました。
今回の急激な景気悪化の原因は、交渉も忖度も効かないウイルスです。
最悪の場合、治療薬が開発されるまでの半年~1年半は、いまの状況は緩和されることはあっても、途切れながらも継続すると個人的には推測しています。
なお、誰しもがあまりに急激に訪れた変化に感覚がマヒしているのかもしれませんが、日本に限れば、リーマンショック級の景気後退がやってくるかもしれない予兆は、2~3年前から既にありました。
2~3年前を振り返って、思い起こしてみてください。
忘れかけてますが、次のような言葉を商談や会社で耳にしたことがあったのではないでしょうか?
『オリンピックまではともかく、その後は景気がどうなるか分からない…』
これを裏付けるように、昨年秋の消費税増税による影響もあって、2019年の日本経済は、GDPがマイナス6.3%落ち込みました。
ゆえに、コロナショックがなく、仮にオリンピックが予定通りに行われたとしても、遅かれ早かれ、会社や業種によっては、マイナス20~30%の業績悪化は訪れたとも言えるのです。
話を戻します。
いま、日本社会が、そして全世界が直面しているのは未体験のことです。
- これから何が起こるのか?
- いまの状態がいつまで続くのか?
- 景気や株価はどうなっていくのか? …何一つわからない状況です。
ゆえに、平常時に多くの企業がやりがちな、他社の成功例や見本を探す営業戦略はとれません。
なぜなら、世界の誰もが体験したことない非常時の真っ最中に、成功例や特効薬など存在しないからです。
なお、コロナウイルスの蔓延が長引く影響は、経営にとって、99%がマイナス要因ですが、1%だけプラス要因が存在します。
99%のマイナス要因は、日本全体に閉塞感が蔓延し、業種によっては、10年はおろか数十年に一度あるかないかという痛みを伴うであろうことです。
1%のプラス要因は、業界内での序列の変化や、幾つかの競争相手の入れ替わりすら起こりうるであろうことです。
社会から求められる事業や商品であれば、いずれ治療薬が開発された後で、必ず市場と取引が回復してきます。
そのため、資金ショートしかねない会社は別にして、多少の余力がある会社は、この機会を思考停止になり受け身で耐えるのではなく、経営を更に強くする攻めの姿勢で、業績向上の答えを自ら作るくらいの気概で、コロナショックに立ち向かって頂きたいのです。
なぜなら、そういう会社だけが、今後も偶発的に発生する下記のような経営環境の変化に対応できるようになっていくからです。
- 突発的な病気やケガの社員が一定数でても、支障なくなる
- 自然災害時には、社員がほぼ出社しなくても事業ができる
- 5年後に別のパンデミックが起きても、あわてなくて済む …云々
(※もちろん業種や職種によっては難しいのは承知しています。その場合、可能な範囲でということです)
最後に、適者生存に関する有名な言葉をもって、本日のコラムのまとめにします。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』
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