技術者の「できない」を「できる」に変える処方箋
「技術者が、できないとはっきり言ってきます」
世の中の変化に負けまいと、何とかして技術開発を進めようとする前向きな経営者の方からよく受ける相談です。
こういった相談を受けた時には、まず、次のようにお伝えします。
「その技術者には、脈がありますよ」
脈がある、つまり、やれるようになるということです。
こうお伝えすると、ほとんどの場合驚かれるのですが、実際にそうです。できないとはっきり主張できる技術者には、できるようになる潜在力があります。
これに対して、できないと主張する技術者よりも、やれるようにするのに大きなエネルギーを要する技術者がいます。
それは、無反応な技術者と盲目的に従う技術者です。
「やろう」と言っても、目立った意見や反応は無く、ただ「何をしたら良いのですか?」と、指示を待っている状態です。そして、指示が出たときだけ、指示されたことのみを行います。
こういった技術者には、「主体性」がありません。主体性が無いから、指示を待ちます。できないと主張する技術者と比べて、従順で、指示されればやれることはやります。こちらの技術者の方が可能性があるように思うかもしれません。しかし、実際には逆です。
なぜならば、技術開発とは、未知の領域で先頭に立って取り組まなければならないことであり、主体性が無ければ、先頭に立って開発を引っ張る開発者には決してなれないからです。主体性の無い技術者の場合は、まず、主体性を持たせるところから始めなければなりません。
これに対して、できないとはっきり主張する技術者には、少なくとも、主体性があります。この主体性を持っていることに、できるようになる脈があるのです。
ここで、できないとはっきり主張する技術者の多くが、そうなってしまう大きな原因があります。それは、「できない結果になることへの恐怖心」です。
できないと強く主張する技術者は、できない結果に終わることを異常なまでに恐れています。その要因は、次の二つです。
・やるからには達成するという責任感が非常に強い
・技術を武器に戦ってきた自負が強く、技術的にできなかったという結果は、自分自身の「存在意義が問われる」と感じている
これらは、本人が、ひとたび、できないと思ってしまうと、できない理由を強く主張して、何としても取り組みを中止にしようとする要因になります。
ところが、これらの特性は、本人が、ひとたび「できる」と思えれば、俄然、本気になってやるようになる、ということなのです。
こういった技術者にとって、技術的にできなかったという結果は存在意義を問われる、どうしても避けたい事態です。一方で、できた場合は、技術者としての存在感が一段と高まります。「できる」のであれば、「やりたい」というのが、技術者の本音です。
ですから、繰り返しますが、できないとはっきり主張する技術者には、脈があるのです。
技術者から、できないと強く主張された時、「脈はある」そう信じて、解決策、解決手段を提示することが、大切なのです。
ただ、このとき注意しなければならないことがあります。
それは、「人が足りない、設備が足りない、時間が足りない」といった技術者の要求に対して、人や設備、時間を無制限に供給しないことです。ここを技術者の要求通りにしてしまうと、要求がどんどんエスカレートし、やがて対応できなくなります。経営資源の投入という経営判断は、経営者が、しっかりしなければなりません。
御社は、できないと主張する技術者を、できるに変える努力をしていますか?
ひとたび、できるに変わった技術者は、力強いリーダーシップを発揮します。
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