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日本語の持つ”言葉の力”で勝つ。今この時だからこそ考えたいこと。

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ギフトビジネスコンサルタント

株式会社売れるギフト通販研究所

代表取締役 

日本で唯一のギフトビジネスコンサルタント。流通、通販、ギフトの各業界通算30年以上の経験を持ち、2015年に独立。2017年には培った独自ノウハウを体系化し、ギフトビジネス専門のコンサルティング機関「売れるギフト通販研究所」を立ち上げ、多くの企業を指導。幾多の企業を成功へと導く。著書に『「ギフト商品」を通販で売る』、『儲かる「ギフト化」で飛躍する3大ポイント』がある。

 東京オリンピックも延期決定となり、ますます世界を席巻していく新型コロナウィルス。

ニュースからご存じの方も多いと思いますが。政府が「オーバーシュート」「クラスター」「ロックダウン」といった表現を使っていることに対し昨日、河野防防衛大臣が、ツイッターや取材でこう述べました。

『「集団感染」「感染爆発」「都市封鎖」というように、分かりやすく日本語で伝えればいいと、厚生労働省などに提案する。』

新しい言葉は、よほどの期間使い続けていかないと、頭の中でなかなかその意味をスッと理解することはできません。それが、カタカナ英語だと尚更ですよね。

オリンピックも控えていて、経済も萎縮する中、あえて恐怖心、警戒心を必要以上に助長しないように、政府がカタカナ英語を”印象”として利用していることは容易に想像できますが。

いいか悪いかは別にして「集団感染」「感染爆発」「都市封鎖」と聞けば、確かにB級パニック映画の強烈なタイトルのような印象すらあります。私自身は直接的な方がいいですが。

他にもコロナ関連では、WHOが宣言を出した「パンデミック」=感染症の世界的大流行がありますが、日本語の表現だと長くなり、一言で済み、便利な一面もあります。

私の専門とする通販・EC(電子商取引)は、ダイレクト・マーケティングというように、元はアメリカのマーケティング手法でネット通販が主力になった今日では、横文字どころか、SEO、CPO、LTVなどさらに短縮され、業界に携わっていても分かりづらいものです。

サービス提供側の人は業界用語でも構わないのですが、”言葉”の印象というのは、こと消費者に対しては、ネーミング 、キャッチコピー、セールスコピーによって、より分かりやすく伝える必要があるため、すごく重要になります。

当コラムでも時折書いていますが、製品(作った品)から商品(商いの品)に変わるための重要な必須要素が、ネーミングやコピーだからです。

多くの日本人にとって、英語などの他国語はカタカナにしても直接的な印象を抱きにくいものです。ですが、あえてイメージを洋に持っていきたい場合、インバウンド消費を想定する場合、利用して欲しい購買層が洋的なイメージを好みそうな場合など、使った方がいい場合も、もちろん多々あります。

どんな"言葉"にするのがいいのか?を考えるにあたっては、以下のような様々なことを意識して取り組まなければなりません。

・製品の本質をどう伝えるか

・どんな人に利用して欲しいか

・ブランドイメージをどう伝えたいか

・読んだ感じの語呂感はいいか

・時代にマッチしているか

・時代を先取りしたいのか

・普遍的なものを求めたいか

・短期で回収したい案件なのか

・長期で大事に育ててたいのか

                                                      ・・・など。

様々な視点からどんな”言葉”を使うか?ということに対して、その目的から相当に深い洞察と思考が必要です。

1年前、私が属する日本ダイレクトマーケティング学会主催フォーラムで、レナウンの紳士ソックスで有名な「通勤快足」のネーミングの生みの親、コピーライター大槻陽一氏の講演を聞かせていただく機会がありました。

通勤で長時間履いていても足が蒸れず臭くならず快適・・・という意味を4文字に込めた「新語」であり、もともと通勤快速という電車があったため、言葉の響きには多くのサラリーマンには馴染みのあるもので、たった一文字〈速→足〉に変えただけの名前。

最終的に決まったこの「通勤快足」という言葉は至ってシンプルな言葉であり、響きです。

結論に至るまで、約1年間、50個以上の候補を出していたそうで、日本語がダサい!などの反対意見ももちろんあったそうです。ダサいという観点はさすがファッション業界ですね。

この商品はまったくの新製品ではなく、既存品をネーミングやマーケティングなど、リブランディングによって売上を向上させることが目的でした。

そして「通勤快足」に名前を変えた結果は、多くの人がその名を知ることになったように売上は従来品の6倍〜30倍、この単品だけで年間26億円の売上にまでなったと言われています。

機能は全く同じだった既存品の、売れていなかった時の名前は「フレッシュライフ」。

簡単で理解できる英語ですが、具体的でも直接的でもなく、言葉の印象が希薄ですよね。

大槻氏、レナウンは、日本語の持つ”言葉の力”を用いて、勝利したのです。

そしてこの講演を聞いて何より驚いたのは、生みの親・大槻氏はとんでもない読書家で、特に生物図鑑や生物に関する書を、若い頃から何万冊も読んでいて「自分のコピーライティングには、生物観察=人間観察が、とても大きく影響している」というお話しを聞けたことです。

良質なインプット、目的意識、観察力から、”言葉の力”を生み、マーケティングに活かす。

単なる思いつきでなく、徹底的に思い悩んだ末のシンプルな結論、結果に辿り着く。

今あなたの会社で、なんとなくスタイリッシュでクールだからというだけでカタカナ英語を商品名に用いているが、あまり売れていない商品があったとしたら。

日本人にダイレクトに伝わる、日本語の持つ”言葉の力”を、このコロナ騒動の間に深く考えてはいかがでしょうか?

 

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