VUCAが加速する時代に企業のトップが決断すべきこと
「中川さんのコンサルティングを受けた全ての会社が軒並み大きな結果を出すわけじゃないですよね? ちゃんと結果が出る会社とそうでない会社って、どこが違いますか?」―― 先日コンサルティング導入前のご相談に来られた社長からこのようなご質問がありました。
せっかくお金と時間を投資するのだから、ちゃんと結果が出るようにしたいとの思いで、気をつけるべき点を事前に教えてほしいとのこと…。
確かに、コンサルティングにおける結果というのはクライアント企業によって大きく差が出ます。これは金額についてもタイミング(スピード)についてもそういえます。
このようにお伝えすると、「ではどんな業界とか業種の会社が結果が出やすいのですか?」と聞かれることも多いのですが、コンサルティングの結果の大小に、クライアント企業の業種や業界は関係がありません。もちろん、その会社が成長市場にいるか衰退市場にいるかで、元々の業績に差は出ていたりしますが、コンサルティングの結果となるとまた別です。
当社のコンサルティングを受けられた企業の中で、結果が大きく出る、あるいは早く出る、といった会社にはあるひとつの特徴があります。
それは、「自分たちで変化を起こすことに慣れている」ということです。
コンサルティングの全工程が終わる前からいまやっていることをどんどん変えていく会社というのは、以前から自社の事業内容を見直したり、新商品・サービスを頻繁に打ち出したり、新しい販路を開拓したりと、自分たちで考えて新しいことに挑戦してきた会社です。
つまり、「会社が変わる(会社を変える)のは当たり前」と皮膚感覚でわかっている人たちとなります。
こういった方々というのは、常にブレークスルーを求めていますから、自分たちが持っていない発想や考え方、思考パターンといったものを渇望しており、当社のコンサルティングにも前のめりな気持ちで参加されます。
そして、そういった経営幹部が揃っている会社をコンサルティングしていて頻繁に起こることは、セッション終了後に「今日いいヒントがあって、すぐやってみたいことを思いついた」とか、「自分でもずっと考えていたけど、今日のあのアイデアは思いつかなかった!」とか、「今日出てきた考え方はちょうどいま作っているランディングページの構成にも使えます!」というような感想が参加者から出てくるということです。
つまり、彼らが自分でずっと考えてきたことと、当社がお伝えした新しい考え方が、彼らの頭の中でスパークを起こすのです。火種は彼らの中に元々あったということです。
一方で、普段から自分たちで変化を起こすことに慣れていない会社となると、なかなかこうはいきません。参加者はそもそもコンサルティングを「(社長が見つけてきた)新しい研修」ぐらいにしか考えていない場合も多く、こちらがお伝えする内容について「(せっかくだから)お勉強しよう」と、ある種受け身のマインドで臨まれる方が多くなります。
もちろん、「いい勉強になった」というのではこちらもコンサルティングをお引き受けした意味がありませんから、毎回課題をお出しして次の回までにいろいろと自分たちで考えていただき、その中で徐々に「自分たちで新しいことを考えよう」という気持ちが芽生えることとなります。
では、当社がぜひコンサルティングを受けていただきたい会社は、結果が出やすい前者のタイプの会社かというと、そうではなくて、後者の「変化に慣れていない会社」となります。
こう考える理由ですが、これは当社のコンサルティングでなくてもいいのですが、何かをきっかけにして自分たちが変わることを当たり前にしていかないと、そういった変化に慣れていない会社はこの先間違いなく苦しくなるからです。
現代はVUCA(ブーカ)の時代と言われています。これは「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉です。そして、このVUCAな世の中は、今回のコロナショックで大きく加速されることと当社は見ています。
前回のリーマンショックの際にも世の中の構造が大きく変わりました。顕著な例としては、企業による大量リストラが発生した結果、正規雇用が格段に増えたことが挙げられます。その結果、企業は一見雇用の柔軟性を獲得できたかのように見えますが、実はこの変化は、被雇用者が「必ずしも正規雇用である必要はない」との考えをもつきっかにもなりました。つまり、リーマンショックによって働き方の多様性が加速することになったのです。
あるいは、リーマンショックで大企業から解雇された優秀なエンジニアが大量にGAFAで雇われました。これによって、GAFAのプラットフォーム開発が加速し、彼らが産業構造を根幹を握ることになり、多くの大企業が力を失うことになりました。
そして、今回のコロナショックでは、多くの企業が無理だと思っていたリモートワークが普及することによって、「出社する」という行為の正当性が崩れつつあります。これにより企業による社員の統制が効きにくくなることになり、さらなる雇用形態の多様化にも繋がります。
また、「外→内」という流れも大きくなるでしょう。現在、不要不急の外出は控えられている状況ですが、この「不要な外出はしない」という行動原則はコロナが収束したあとも少なからず残るはずです。人間の心理パターンというのは、一度定着したら完全にそれ以前の状態に戻ることはないからです。
となると、現在「外」で活用される商品やサービスを提供している会社は苦しくなります。その代表格は自動車です。ただでさえ自動車が売れない時代において、この流れは同産業にとって破滅的なインパクトがあると当社では考えています。もちろん、自動車だけでなく、様々な業界に多大な影響があるはずです。人々が外に出ないということは、外で売っているモノは売れないということになるからです。もちろん、こういった変化により大きなビジネスチャンスを得る企業も数多く出てくるでしょう。
結論、時代の変化が今後非常に大きく加速することになります。そんな時代を迎えている今、自社を自分たちの手で変化させることが「当たり前」になっていない会社は強制的に縮小、あるいは市場退場を命じられることとなります。
外部環境によって、不本意な変化を強いられることを選択するか、それとも自分たちの意思で、望む変化を起こしていくか。いま、決断が求められるときに来ています。
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