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人を育てるのが下手な会社に、決定的に欠けているものとは!?単発の研修、人事制度だけでは、絶対に人は育たない。

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

「矢田先生、最近会社が会社らしくなってきました。」
K社は、コンサルティングが始まって4か月が経過しています。年商10億への事業モデルの変革が終わり、その実行に移っています。これから組織作りに入ろうとする段階です。

プログラムの内容からすると、K社長の言われる状態は考えられないことです。

しかし、このようなケースは今まで度々あったのです。
その理由が、最近わかりました。それは、社長の配偶者や幹部から聞くことができました。

彼らは、言われます。「この数か月、社長が現場に出てこなくなりました。こもって何かをされています。」


人が育つためには、『ストレス』が必要です。

  • 初めて大勢の人の前で話す機会を得ました。ここ数か月ストレスを感じます。
  • 大学に受かるために、一日十数時間は勉強をします。
  • マラソンで自己最高記録を出すために、坂道でのダッシュを取り入れました。

ストレスにより、心も、頭も、体も鍛えられることになります。

ストレスと聞くと、何かネガティブなイメージがあります。しかし、人が何かしらの成長をするためには、必ずそこには『ストレス』が必要になります。

ストレスがない環境は一見楽(らく)のようですが、それは、成長をしていないことを意味します。「できる問題ばかりを繰り返し解く」、「苦しくないスピードで走る」。それは、成長していない状態に、「自分が有る」ことを意味します。

  • 子供の小中高という学校制度は、段階的にそのストレスを大きくしています。
  • マラソン当日まで半年間のスケジュールを組みます。徐々にその負荷を大きくします。

ストレスが無いと、育たないどころか、退化することになります。
定年退職で仕事を辞めれば、ボケてしまいます。骨折し入院すれば、筋肉はやせていきます。

我々は、成長するためには、「自分自身をストレスのある環境に置く」必要があります。また、人を育てるためには、ストレスを提供する必要があります。ストレスの使い方を覚える必要があるのです。


ストレスを与える際には、3つの要所があります。

一つ目は、その人にとってそのストレスが、「適切」であること。
弱すぎればトレーニングになりません。強すぎれば、心や体を壊してしまいます。「その人にとって適切であること」が重要です。その適切を見抜くこと、そして、それを提供すること。こちらに、それだけの力が必要になります。

そして、二つ目が、その人が『前向き』に取り組めるようにすること。
前向きに取り組むためには、次のものが必要になります。
納得感・・・それを行う意義や科学的な根拠などが、必要になります。
そして
暖かい応援・・・未熟な相手には特に必要になります。並走すること、少し具体的なアドバイスをすること、それにより心も実務もサポートします。

三つ目は、ある一定以上の期間。
トレーニングをはじめてから、体の構造が変わるためには、最低でも3か月がかかります。脳が作り変えられる、体が作り変えられる、そのためには、「その状態にあり続ける期間」が必要となります。
数時間勉強を頑張っても、脳は変わりません。数日走りこんでも、体は変わらないのです。ストレスを受け続ける期間が必要となるのです。

人のやる気は、自分一人では続かないものなのです。それも「ストレス」を感じる環境ではなおさらです。そのため、学校では、「先生というトレーナー」と「学びの空間」と「定期的なテストという機会」を準備します。マラソンでも、トレーナーと練習会と本番のレースとなります。ストレスを与えながら、頑張りをサポートするのです。


人を育てるのが上手い会社というのは、この条件を満たしています。それを会社の仕組みとして構築をしています。

新入社員には、まずは細かく教え、一連の作業ができるようにします。
若手には、外部とのやり取りなどの少し高度な業務や改善案の提出を依頼します。後輩の面倒見役もお願いします。
中堅には、部門の目標達成と仕組みの改善の中心役を担ってもらいます。スタッフの採用や研修の運営にも関わります。
管理者は、部門の年間目標の設定から計画作成に参画します。そして、自分が中心となって、PDCAを回します。部門の成果だけでなく、職場の信頼関係づくりや全部員の成長に責任を持ちます。

人を育てるのが上手い会社は、このサイクルを持っています。採用した全員に同じように機会を与え戦力化します。そして、能力があり、かつ、責任を進んで背負う気概のある社員を引っ張り上げます。このサイクルを回し、採用した「人」を「人材」に育てていきます。

この全体像を見ると、企業も、小中高という学校と同じことをやっていると言えます。

新人、若手、中堅、管理者とも、皆が何かしらのストレスを持って、日々取り組んでいます。そして、その状態が、一年の多くの期間続くのです。それにより、社員は、能力を高め、より高度な業務ができるようになります。また、自分が組織に貢献できていることを感じることができます。

人が育つ仕組みの裏には、組織としての仕組みがあるのです。
経営計画書があり、そのPDCAサイクルにより、事業は毎年確実に変化成長をしていきます。マニュアルなどが有り、課題の発見から業務の改善がされます。そこに自社のノウハウが蓄積されていきます。

組織の仕組みにより、時間をコントロールできています。だからこそ、すべての社員にストレスを提供することができるのです。また、会社として、その継続性を維持できるのです。「経営計画書も運用できていない」、「マニュアルも更新できていない」会社では、社員の育成はできないのです。まともな組織運営ができて初めて社員の育成ができるのです。

そして、会社としてのそのサイクルを補完するために、育成制度や評価面談制度、人事カルテなどの施策が活きてくるのです。

人を育てることが下手な会社にはこれらがありません。
新人に業務を教えるマニュアルがありません。そのため、業務の全体像や自分の受け持つ作業の全体のなかの位置付けが解りません。先輩から口頭で教わるために、あとから自分で見返すこともできません。

若手になっても、いままで通りの作業です。社内には「業務改善せよ!」の掛け声はあるものの、具体的なテーマを与えられることはありません。そして、後輩を押し付けられます(そう感じています)。

中堅になっても、相変わらず、作業が中心です。プレイングマネジャーの名のもとに、自分も案件を日々こなしています。課長という役職はついているものの、明確な課の目標や仕組みの改善は与えられていません。

管理者になっても、ほぼプレイングマネジャーです。月に一回経営会議に参加しますが、社長ばかり話し、特に自分に火の粉がかかることはありません。方針書の作成を、求められることもありません。経験がある分、トラブル時の対処は上手いのですが、その後対策として仕組みを直すことはありません。

人を育てることが下手な会社では、新人から中堅まで、全く仕組みの改善に関わることはありません。マニュアルの作成もしません。経験と共に、作業の熟練度は上がるのですが、考える力は育たないのです。それどころか、その環境に慣れ、退化していっています。

管理者になっても、部門の目標達成のために参画させることはありません。具体的に方針書や企画書の作成を依頼されることもありません。

そこには、組織としての仕組みが全くないのです。経営計画とPDCA、適正な組織運営、各業務の仕組み。それらがないので、時間軸で会社を良くしていくサイクルが回せないのです。

そのため、新人から管理者まで、実際には全員が『作業』をしているのです。そして、全員が「ストレス」を感じていません。この瞬間も、誰も成長していない状態なのです人を育てるサイクルとは、全く無縁の状態なのです。

人を育てるのが下手な会社には、『継続性』がありません。継続性がないために、人が育つための要件である、『ある一定期間以上のストレス』がないのです。

社員研修はどれも単発です。どこからか講師を社長が見つけてきて研修会を開きます。社長が勉強会を開催したりします。どれも効果はありません。継続性もなければ、考えることもさせていないのです。

そして、各人事関係の施策も薄っぺらいものになります。
マニュアルがない会社には、業務改善はできないのです。改善する基盤となる標準がないのです。そして、当然、評価もできません。
経営計画書がない会社には、どうやっても人を育てることは無理なのです。時間をコントロールできません。具体的な目標とPDCAがなければ、役職は意味がないのです。人事制度の前の問題なのです。

優先順位を間違えてはいけません。組織としての当たり前が先になります。


冒頭のK社長は、ここ数か月、必死になって考えました。
いまの事業モデルでは、年商5億円が限界です。それを、年商10億円の条件を満たす事業モデルに変革する必要があります。アイディアを出し、すべて検討します。文章に起こし、提案書をつくります。実際に客先を訪問し意見をもらいます。

それは、大変苦しい時間でした。
幹部は言いました。「社長は、最近現場に出なくなりました。社長室で、うんうんとうなっています。」

奥様も言います。「食事の時も、ずーと何かを考えています。先日は、お風呂から突然出てきて、急いでメモをしていました。(笑)」

苦しい時間を過ごされたのです。その結果、これはいける!という事業モデルを見つけることができました。これから、その実行の段階に移ることができます。急いで組織と仕組みをつくらねばなりません。

この段階で、すでに会社は変わり始めていました。それは、社長が変わり始めていたからです。

K社長は、いままで自分が、社長として何もしていなかったことが解ったのです。

  • 社員が「売れない」、「できない」のは、事業モデルが悪いから。彼らの能力ややる気の問題では、なかったのです。
  • 事業定義や戦略、方針、何一つ明確にしていなかったのです。
  • 社員が改善に取り組まないのは、具体的にテーマを与えていなかったからです。

その想いの深まりと共に、社長の発言が変わっていきました。
「そのミスは、どうして起きたの?」
「この業務の改善案を作成してもらっていいかな。」
「明日中に、その件は方針書を作成して説明します。」
その社長の変化に合わせて、会社が変わってきたのです。

K社長は、ストレスのある数か月を過ごされました。その結果、成長したのです。
この数か月を振り返り、K社長は言われました。
「いままで、こんなに考えたことはありませんでした。脳がちぎれるほど考えるということはこういうことなのですね。(笑)」

いままで経験したことがないこと、自分にないことをやることは、大変です。
だからこそ、やる価値があるのです。

年商10億に向けて事業を作り変えるとは、自分を作り変えることを意味します。
そこに真摯に向き合った社長だけが、至ることのできる世界があります。

社長は、それを自分で選ぶことが必要です。
その結果が、人が育つ会社なのです。多くの社員が御社という場で、人として育ち、その能力を発揮することになるのです。

 

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