「環境の変化で、大幅減益する企業がある!?一方でニンジ生産性を着実に伸ばす企業がある。その決定的違いは○○!」
「いやいや、この売上の落ち方は、半端じゃないです。いつになったら底になるのか? このままでは 次の一手が打てないです」
とあるGMSチェーンの社長さんからのご相談です。
とにかく落ち幅をなんとか埋める為に、競合との価格合わせやVMDによる重点商品強化といったことをやっても 一向に回復しないとのこと。
仕入れ枠は、商品部なのでコントロール状況はお金の流れでわかりますが、販売管理費は、それを運用する仕組みと組織がなければ、コントロールする術がなく、固定費化したままとなります。
構成比の高い人件費は、人時(ニンジ)に一度置きかえ、月中コントロールができるようにしておきませんと、単価アップをカバーできず、締めれば人件費オーバーということになりかねません。
ここには、経営が陥るいくつかの落とし穴があります。そのひとつは、社内でもっとも大きい経費が、売比65%以上占める商品調達コストだということです。
いくら人件費が高いと言っても所詮15%程度であることから、つい後回しにされ手遅れになるということです。
二つ目に、商品調達額はいくら大きくても、売れる数量はほぼ決まっているため、納入お取引先との価格交渉余地はほとんどないに等しく、原価引き下げはまず無理ということです。
しかし、他社に先駆けた新商品となれば経営として力が入ることから、つい商品調達額は増える傾向となります。
商品調達コスト65%というと、簡単な話、粗利35%で、販売管理費を30%とすると儲けは5%ということになります。
もしここで、売上が2割減った場合、7%の粗利を失うことになり5%の利益は吹っ飛び大変なことになります。
本来であれば、経営として計画段階でこのリスクに対し、不足分をどこでカバーするかの対策を講じておかなければならないということです。
「それが、できないから困っている」という声が聞こえてきそうですが
そもそも、売上の6割以上の資金を投じるのに、こうした下支えがないまま、単純に「昨年比ベース」と考えるのはメチャクチャ、リスク高いですよ。とキッパリ申し上げています。
理由はシンプルで、人口が増えていた時代であれば、前年ベースで商品在庫を抱え、値下げをして売っていくことで、粗利高をとることができました。
人口減の今は、価格を下げても売れず、値下げと人件費の二つのコスト構造で大幅赤字を覚悟しなければならないからです。
こういいますと「売れる商品さえあれば」という声が聞こえてきそうですが、
――――もちろん 商品力は、販売の中で重要な要素ですが、もし、現場の商品が売りにくい状況にあるのなら「どういう機能がないと売れない?」とか「いくらの値段まで下げないと大変」というように、店舗にヒアリングをし現時点で取組み項目が出来上がっていなければならないことになります。
大事なことは、限りある原資を、毎年同じことに全て投じるのではなく、利益にならないものは止め、利益になることに集中することで、今の流れをかえていくことです。
言い方を変えれば、無駄の節約で、有効な手立てを見つけるまでの時間を稼ぎ、その僅か数カ月の間に新たな成長戦略を構築していくことになります。
こうした業務ごとの棚卸を行い、非効率なコトをやめ、効果的なやり方で、手本となる店舗をつくります。その上で、手がかかっているものを自動化するといった改善投資を行うことで、人時生産性を高めていくことになります。
なんでもそうですが、ビジネスは、投じた資金が、何千倍になって返ってくることもあれば、全く望み通りにならないこともあります。
自らが起業し悪戦苦闘してきて思うのは、なんでも自分でやろうとすればするほど、望み通りの結果にならないことが多いということです。
創業のご経験のある方であれば、お分かりのことと思いますが、どうしても最初は資金繰りが厳しいことから、やむ終えず自分の手で…ということもあります。
しかし、なにもないところに道を開き、そこにレールを敷き儲かるようにするのには、想像以上に時間がかかります。
自ら額に汗して時間をかけレールを敷くことが、けして無駄なことは思いませんが、ビジネスに期間内で結果を出さなければならず、そのためには、自分にない技術や、知見を使い、時間内に結果を出していかなければ、事業発展はありえないからです。
今、チェーン業界も世代交代を迎え、半数以上の方がすでに世代交代されています。後継社長はまず既存のレール上で、舵をとっていくわけですが、そのレール上だけで、事業発展はないということに、中々気づかれないということです。
レール網を築き収益を上げる鉄道事業のように、人口減による乗客数減を踏まえ、JRは新幹線事業やリニアといった新しい路線を開発することで、都市間の移動時間を短縮化し、その利便性を新しいサービスの柱としています。また 私鉄各社では、相互乗り入れという、企業の枠を超えた取り組みで、郊外と郊外を結び付加価値を提供しています。各社ともエキナカ事業を柱に沿線の再開発に着手しています。
チェーン事業も同じで、人口が減り、コストが上昇するままの、従来のレールの上を行ったり来たりしているだけでは立ち行かなくなるということです。
かつて、国内小売りチェーンは、標準的な店型で、人口の多いところや道路の貼り付けのよいところに出店すれば、利益が出るビジネスモデルでした。
しかし、人口減が始まり、売上減少と若年労働者の減少による 経費増により、減益が起きています。売上減は数パーセントでも、利益の3割4割減はあたりまえ。という状況です。
大事なことは、環境が大きく変わっているにもかかわらず、昨年と同じ売上目的のチラシを訴求し、同じ量の商品調達をおこない、それが減益を招いていることから、ここから変えていくということです。
まずは、指標を売上から人時売上に置きかえていくことで、取るべき方向が明らかになります。人時売上の基礎から応用までといったことについて、様々な経営者の皆さんがお越しになられますが、今では、そういった取り組みが、コスト増や、台風や災害といった、急激な環境の変化に大いに役立ち、同業他社と一線を画しています。
詳しくは、弊社セミナー「人時売上最大化5大戦略」でお伝えしていますが、そこを起点に、人時売上の基礎から応用の実務力を身に着けていただくことになります。
さあ、貴社では「売上目標」だけで減益を繰り返しますか?それとも「人時売上」を使い、稼ぐ仕組みで発展成長させますか?
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