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ジャストインタイムを意識する(2)

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

先週は、廃棄物ビジネスが革新的なサーキュラーエコノミーへと展開するために最も重要な要素は納期意識である、というお話をしました。再生材と言えどもユーザーからすれば素材=原材料の一つなので、製造工程を管理する上での重要性は他の素材と全く変わるところがありません。百歩譲って品質面の妥協はありえるにせよ、安い再生材だから納期が遅れても良い、なんていう理屈は全く通らないのです。

製造業では、原材料についてはある程度の工場在庫を持つという場合が少なくないので、多少の余裕代はあるかもしれませんが、どの業界でも限度いっぱいのコストダウンが当たり前になってきている現代社会にあって、はじめから客先の在庫に頼るという営業態度では客先からの信用を得る前に取引が終わってしまいます。

すなわち、客先からの要望がそこまで及んでいるかどうかは別にして、たとえば納期について何か守るべきルールが存在しているとなれば、それは当然のように守るべき規範であるということになります。

前置きが長くなりました。今週は、客先ごとの納期管理(と、品質・価格管理)をどうすれば良いか、という根源的な疑問に答えを出してゆきましょう。

1. 製造業になる
よくある廃棄物ビジネスにとって、おそらくこの点が最も革新的な取り組みになるのでないかと思うのですが、自身の工場で展開しているプロセスを「廃棄物の処理」から「再生材の製造」へと認識や呼び方を変えてみるというのが第一の提案です。つまり、マインド的に製造業へと近づけることで、納期意識を持ちやすくしようとする試みです。
もっとも、さすがにこれだけでは大きな効果は期待しづらいのですが、漢方薬と同じように後々になってじわじわ効いてくる性格の変化です。しかも自己認識に生じた変化は後戻りしづらいという特徴があります。

2. 工程管理の考え方を取り入れる
 対策の本命は、工場で行っている業務に「工程管理」という考え方を導入するところにあります。またの名を「生産管理」ともいうのですが、予算・設備・人員・原材料(Money/Machine/Man/Material: 4Mと言います)という投入資源を活用して、生産性・品質・コスト・納期・安全・士気・環境の7つ(俗にPQCDSMEと言います)を確保する、というのが基本的な考え方です。
 長い事、再生材の業界では廃棄物の処理手数料と再生材販売の両面で儲かる、再生材の市況によってはさらに儲かると言ったギャンブル的な収益性認識が幅を利かせていましたが、最近では中国への廃棄物輸出が禁止された流れを受けて、処理手数料や再生材市況もさまざまな影響を受けています。プラスチックなどでは品質面のマイナス影響が最も大きいと言われていますが、品質問題を解決するなら、ぜひ納期に関する対策も同時に考えるべきでしょう。
 産業廃棄物に関しては、工場へ入ってくる段階まではマニフェストでの管理が義務付けられており、そのデータを活用して工場内のフローを管理するところまでは珍しくありません。ラストワンマイルの情報として、そのデータに再生材の向け先と納期に関する条件を付加してやることで、一気通貫で納期管理ができるようになります。

3. 客先と納期に関するコミュニケーションをとる
 ここから先は営業部隊が活躍する場面になりますが、客先とは常に納期に関する最新の情報を確認するようにします。営業訪問でも、SFA経由の情報でも、メールでもLINEでも構いませんが、客先の担当者に対して常に最新の情報を入れるようにします、というかおそらくはすでにこれらのバランス良いミックスが会社ごとに存在していて、それらをフル活用した対応になると思います。
 現在、再生材でそこまでやるという事例はもしかしたらあまり多くないのかもしれません。ニーズがないから、という割り切りではなく、どうしたらもっと顧客要求に応えらえるようになるだろうか?という視点で納期管理とコミュニケーションを見直してみる発想を、ぜひ客先と共有いただきたいのです。

世の中が、サーキュラーエコノミーへの価値を認めだす時代になって、製造業各社はどのように再生材を製品に組み入れられるかについて検討を深めています。再生材供給事業者もまた、ユーザーである製造業へジャストインタイム供給ができるようになることで、その付加価値は確実に高められるのです。

 

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