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限定に惹かれる理由

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

店舗ビジネスで商品やサービスを提供する際、その価値を上げる方法の一つとして「限定施策」があります。これはご存知の通り「数量」をはじめ、「場所」や「期間」、「購入者」、はては「決済方法」まで、さまざまな限定の種類が存在します。 

よくあるのは「数量限定」や「期間限定」で、希少性の高い素材や旬のものを使った商品を展開する店舗を皆さんもよく見かけると思います。とにかくやっていない店舗はないくらい「限定施策」は店舗側にとっても魅力的な販促方法であり、価値向上施策です。 

ただし、魅力的である一方あまりにも乱発すると逆効果になります。当たり前の話ですが、限定とは名ばかりで毎月毎週のようにおこなっているとそれが「普通」になってしまいます。まさに本末転倒といった状況になり、価値は相当下がり、顧客の信用は失ってしまいます。 

過ぎたるは猶及ばざるが如しとの言葉通り、「限定施策」は上手くバランスを取っていく必要があるのです。 

ところで人はなぜ「限定」に惹かれるのでしょうか。限定とはつまり「希少性」であり、それを手に入れる数や期間、場所が限られ、手に入れられる人自体も限られるということです。遠い昔、人がまだ狩猟採集民だったころ食料は相当な貴重品でした。生きるためには、見つけた食料はすべてその時に食べられるだけ食べる。そして独占する。限りある食料を人にあげる余裕はない。今度いつこんなチャンスに巡り合うかわからない。この食料は私だけのものだ… 

「これだけしかない」という状況は、ほぼすべての人の欲求を刺激します。それが人気商品であればなおさらで、手に入れないと損をした感覚にすらなります。人は「損」を大きく見積もります。人に取られたくありません。それまで興味がなかったのにもかかわらず無性にほしくなります。結果、「私が手に入れるんだ」という気持ちが強くなり、実際に手に入れることで「私は持っている」という優越感まで満たせるのです。 

さて、これが人工的な限定施策ではなく、本当に必要な商品(水やエネルギー資源など)が不足した場合はどうなるでしょうか。答えは明確で、最悪戦争になります。戦争とはつまるところ資源の奪い合いであり、今でもその流れは世界中で続いています。それほどまでに限りあるモノを手に入れる欲は強く、これは人間の原始的な根源的欲求だと思います。 

大半の人は限定に、つまり希少性に価値を見出しそれを手に入れたがります。ただし、それが十分にある、あるいは意図的にコントロールされていると知った場合、急激にその熱は冷めてしまいますが… 

限定施策を効果的に使うには、その「理由」が必要です。なぜ限定なのか。なぜその数、場所、期間でしか提供されないのか。旬だから… 新規オープンだから… 創業〇年記念だから‥などさまざまな顧客が納得できる理由がなければ、たいていの場合、思い付きの限定施策と見抜かれて終わりです。 

店舗経営者の皆さんは安易な限定施策に頼らないように気を付けてください。「限定」は下手をすれば身を滅ぼしかねない危険な副作用があるのです。

 

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