親子経営 繁盛と繁栄の秘策 父親がすべき7つのこと②
子供に少しずつ仕事を任せていく
経営者である父親には経営交代をする前段階で、後継者である子供に少しずつ自分の仕事を任せ、権限の一部委譲をして欲しいのです。簡単なことのようで意外と出来ないことです。
父親からすれば自分の仕事を一部任せることになりますから、それなりの覚悟がないと出来ません。それまで当たり前のこととして持っていた自分の権限を少しずつ失くしていくことになりますので、予想以上の大きな喪失感に戸惑うことになります。自分の子供とはいえ経営を渡すことに躊躇を覚える瞬間かもしれません。
実際のケースとして多いのが、経営者である父親が子供に役職を与え、役割と責任を課すのですが、それに伴う権限を委譲することに積極的ではないということです。仕事を任せるということは仕事を成就させるために必要な決裁権等の権限を併せて委譲しなければなりません。
かつて私は青年会議所のメンバーでした。メンバーは20才から40才までの地域の企業の2代目、3代目が多くいました。現役メンバーのなかですでに経営交代がなされ企業の代表者である者が何人かはいましたが、多くは専務、常務といった役職についていました。
現役メンバーには経営者が少ないのは当然ながら、40代、50代のOBメンバーにも父親が元気なので依然専務、常務のままだという方が多くいました。なかには60代の先輩がいまだ後継者のままだという方もいました。
ここで肝心なことはいくつで経営交代すればいいのかということではなく、専務、常務という役職にふさわしい仕事がなされているかということです。経営者である父親が相変わらずすべての権限を握ったままで、名前だけの専務、常務だという方が多いのではと危惧するところです。
プロローグでお話ししましたロッテの長男解任劇などは、まさにこのようなケースではないかと思われます。90才を超える父親がいまだグループ会長として絶大な権限を握っており、日本のロッテ事業の総責任者であった60才を超える長男をいとも簡単にグループから放り出しました。
長男が長年、ロッテグループの後継者候補の一番手であったのは間違いないところです。その役職に伴う役割と責任は十分に果たしていたと思われますが、それに伴う権限を有していたのかが、甚だ疑問に思われます。グループ会長である父親が役割と責任は課していたが、権限は大幅に制限していたのではと感じています。
経営者である父親が、いずれの日にか経営を子供に渡そうと思うのであれば、子供に少しずつ自分の仕事を任せると同時にそれに伴う権限を委譲してやることです。それが父親の責任と役割であると覚悟を決めてください。
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