「売上至上主義」卒業がもたらす会社の成長
当社には、会社経営にまつわるお金の相談ごとが、あらゆる角度から寄せられます。金融機関対応に始まり、財務強化のための打ち手や決算対策、相続対策に事業承継など、個々の会社の置かれている状況に応じて、毎日、知恵を絞っています。
多くの社長は、「売上を増やせば、潰れない会社になる」と考えます。社長が売上規模拡大だけを考えている会社は、役員や社員も、当然のごとく「売上至上主義」の考え方になっていきます。
自分の会社の「利益」が減少し、「お金」が減ったとしたとしても、その本当の原因を探らず「売上」だけをひたすら追い求めていきます。
「売上」は、いわばお客様の支持率のようなもので、増えると嬉しいものです。社長にとって、「売上」は精神安定剤のようなものです。
努力家で、苦労人の社長ほど、「頑張りが足りない!」と考え、とにかく攻めて、気合と根性・努力で乗り越えようとします。経営に前向きな社長なほど、自社の経営課題を、「売上」を増やすことだけで解決しようとします。
そのため、多くの社長は、「売上が増えれば、全てが解決する」とカンチガイしてしまうのです。多くの社長が売上至上主義となり、すべての局面で経営の意思決定をしてしまうのです。
しかし、「事業永続」という着眼点で考えれば、むしろ逆効果です。いわば、「自分で、自分のクビを絞める状態」に陥っていってしまうのです。
「売上」が増えても、根本的に「利益」や「お金」が増えなければ、経営は苦しくなっていきます。銀行への借金を返済するのに精一杯で、貧乏暇なしの状態から、ますます抜け出せなくなっていくのです。
経営難となる会社の社長には、共通点があります、「お金の増やし方・残し方を知らない」「正しい資金管理の方法を知らない」です。その思考の根底には、『間違った売上至上主義』があります。
一方で、しっかりとお金を残し、強く永く成長し続けていく会社の社長は、『財務至上主義』で考えます。
全ての情報を数字に落とし込み、確実にお金を残すことから逆算して、あらゆる経営判断に落とし込みます。
お金を増やしながら利益を確実に残し、その結果、会社も成長を遂げる。成長の結果、「売上」があらわれます。そのため、経営判断を下す時間軸は、1年スパンの単年度もあれば、2年~5年の中長期にわたるものもあります。
大切なことは、社長自らの思考のクセを正しておくことです。強く永く続く会社づくりをするために、社長は、「売上至上主義」から「財務至上主義」へ進化していかなければならないのです。
社長自らが将来に向かって「攻める経営」・「守る経営」・「捨てる経営」を継続的に実践していくことなのです。どんなに立派な経営管理資料を取り揃えても、社長が「売上至上主義」から卒業できなければ、単なる数字のお遊びです。いつまでも、本当の意味での成長は訪れません。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
あなたは、社長として、どんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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