視点を変えると宝に気づくという話
あけましておめでとうございます。どんなお正月を迎えられたでしょうか。
毎年恒例の初参りに神社へと行ってまいりました。この神社、結構な山の中にあり、駐車場に車を停めてから本社まで延々と階段を上っていったところにあります。その上り階段は多少の修行の趣もあり、体力的には厳しいのですが、いかにもご利益がありそうな気配。ただ老親を連れてお参りをするには大分心配がありました。
何年か心配をしながら長い階段を上ることを続けていたのですが、ある時、本社の裏側に駐車場があることが判明。そこまで車で登れば、延々と続く階段を上る必要もなく、あっという間にお参りができてしまうことがわかったのです。そこで昨年からショートカットを敢行し、ご利益よりも安全性を優先して、体力的にも気持ちの上でも楽なお参りをすることにしました。
今年はさらなるショートカットを見つけ、階段を上ったのはほんの20段ほど。楽な上に良い天気にも恵まれてよいお正月になりました。ところが、多くの参拝客は私たちが車を停めた山の上の駐車場の存在を知らず、高齢者を連れていても階段の下の駐車場に停めて延々と階段を上っています。見渡したところ、神社側から第2の駐車場の案内もなさそうです。
神社の境内に設けられた茶屋では初詣客をもてなす食事や飲み物が供され、おみやげ物も多数売られていましたので、正月ののんびりした気分を味わう雰囲気づくりとビジネス的な算段はよくわかりました。だからこそなおさら、高齢化が激しく進む昨今、客の参拝意欲を損なう長い階段の心理的抵抗に関して何も手を打っていない様子が印象に残りました。
これが年間を通して参拝客を受け入れる名刹となれば、大分事情が異なります。ある有名な寺では長い階段のとなりにエレベーターを設けて足に不安がある人も不自由なく参拝できる工事をしてありました。
それで思い出したのが、顧客を丁寧にもてなしてもロイヤリティには結びつかない、顧客のイライラをなくし抵抗感を下げた方がロイヤリティ構築には意味があるという調査結果です。神社参拝にロイヤリティがあるかどうかはわかりませんが、少なくとも参拝してお金を落とすという経済活動を期待するのであれば、まず来ることへの抵抗を和らげる必要があります。そして、そのネタはエレベーターを新設するといった投資をすること以外に、山の上の駐車場を案内するなど、すでにあるものの活用で済むことがあるということです。
それは当事者だけが気づいていない宝の所有に気づくようなもので、視点を顧客側に移してみると意外に簡単に発見できる種類のものかもしれません。
灯台下暗し、は誰にでも、どの会社にもあることです。
今年は、皆さんの会社にすでにある宝の発見から始めてみるのはいかがでしょうか。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。