できない社員をどう教育する?特徴を知り「できる社員」にしよう
「できない社員を辞めさせられないでしょうか……」
時折、このような冗談とも本気ともいえないことをつぶやく経営者がいます。そう言いたくなる気持ちはわかります。中小企業の場合、できない社員の適正に合わせて配置換えは難しいもの。
それにできない社員を辞めさせるには、理由が必要です。労働基準法により労働者は守られていますから、就労規則と照らし合わせ対処していかなくてはなりません。ですが、就労規則に「できない社員は退職」と明記してある会社はありません。
できない社員を辞めさせるのは、現状では至難の業です。だったら、できない社員をできる社員に変えていきましょう。
今回はできない社員への教育についてお話していきます。
■できない社員の特徴とやってはいけないこと
最初にできない社員の特徴を知っておきましょう。大きく分けると、「手順が分からない人」と「継続が難しい人」の2パターンになります。この見極めができれば、できない社員への教育の扉は開きます。
色々と言い訳をする人もいるでしょう。後輩社員に威張る人もいるでしょう。これらもできない社員の特徴です。できないからこそ、何とか自分を正当化しようとしています。このような問題行動も、できない社員を抱える経営者の頭を悩ませるものの一つです。
ですが、忘れないでください。例えできない社員であっても、人格と行動は分けて考えなくては社員教育になりません。よくあるのが、できない社員の人格まで否定し社内の「村八分」状態。できない社員を辞めさせるには、これが最適だと思われているのでしょう。ですが、この状態が続いても何の改善にもならないどころか、社内の空気はどんどん悪くなる一方です。
社員はあなたの家族でも友達でも恋人でもありません。感情的になったところで、会社の業績は決して上がることはありません。もっと俯瞰しシステマティックに社員を見ていきましょう。できない社員の特徴を見極め、問題点を改善する。これができれば、あなた自身の自信にもつながりますよ。
■手順が分からないタイプのできない社員対処法
指示した通りのことができなかったり、いつも受け身だったりする人は「手順が分からない」タイプのできない社員です。つい「辞めて欲しい」と強く思ってしまうのはこのタイプが多いでしょう。このタイプの人は理解力が乏しく、独自のルールを設けていますからやっかいです。
このタイプにしたい対処法は、聞き取りです。ただこれは相手から答えを求めるための聞き取りではありません。ガス抜きです。理解力が乏しい人は周囲が何を言っているのか分からず、孤独を深めています。その不満もありますから、よく話を聞いてあげてください。
話を聞くことにより、できない社員からの信頼度が上がっていきます。話を聞いてもらうということは、自分を受け入れてもらっていることと同じですから。信頼してもらえたあとに役割を与えてください。肩書は今まで通りで構いません。社内でのポジションを伝えるのです。この仕事はどのような意味があり、このような形が望ましいと。
信頼している人からの言葉ですから、これにはできない社員も従わざるを得ません。何より分かりやすい自分のポジションを明確にしてもらっていますから、今まで以上に行動しやすくなります。
ここで注意するのは話すテーマを最初に決めておくことです。そうでないとどんどんと脱線していき、何のための聞き取りか分からなくなります。テーマからズレそうになったら、その都度軌道修正をしましょう。
■継続が難しいタイプのできない社員対処法
勤務時間中にちょいちょいサボったり、時間に余裕が持てなかったりする人は「継続が難しい」タイプのできない社員です。継続が難しいタイプは、集中力がありません。ですから、いかに集中力を維持してもらうかがカギです。
このタイプは目標設定を低くすることで、大きな改善が見込まれます。例えるなら「わんこ蕎麦」のように、一口サイズの仕事を細かく割り振ります。次々細かく割り振ることの利点は、小さな達成感を味わえやすくなる点です。今まで「できない社員」のレッテルを貼られていますから、腐っている人もいるでしょう。それを消し去り、仕事の楽しみを知ってもらいます。
それにサボりがちな社員がサボる余裕も持てません。加えて、細かく割り振ることにより時間配分も細かくなり、いつも時間に余裕がなかった社員もスムーズに仕事に取り組めるでしょう。時間配分のペースがつかめるようになると、いつも時間に余裕がなかった社員は「できる社員」になる可能性は秘めています。
実は、元々疲れやすい体質の人も集中力が保てません。こちらには配慮する必要もあります。ただし疲れやすいからといって、一人だけリフレッシュ時間を増やす等の「えこひいき」は社内の空気を悪くします。リフレッシュ時間を設けるなら、全員で取るようにしましょう。
■新たに採用するより社員教育の方がローコスト
できない社員を辞めさせるのは簡単ではありません。労基法により守られています。
それでも何かしら懲戒理由を見つけ、退職してもらったとします。けれど、この後が怖いのです。その懲戒理由が正当なものか裁判にかけられることもありますし、パワハラがあったとして労基の立ち入り調査が入ることもあります。そうなると業務に支障が出てしまうでしょう。
ですから長い目で見ると、できない社員を辞めさせるより社員教育を充実させる方がローコストなのです。できない社員は普通の社員よりも能力が低いと認め、その能力の低さをどう生かすかを考える方が無難です。同じ人間だからできるはず、という思い込みが彼らを追いつめ業務を滞らせます。
そして、もしかすると、その思い込みこそが社員の成長を阻む一番の原因かもしれません。「ウチの社員はこうあるべき」、「仕事のやり方はこうすべき」という、指導する側の固定概念ができない社員をつくりあげているケースも多く見かけます。一度、自分の目線(尺度)をリセットして社員教育をやりなおしてみませんか?
困った時は私がいます。いつでも声をかけてやってください。
最後まで読んでくださり有難うございました。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。
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