数字を読む ― 832億円 ―
この数字は、2019 年8 月期の連結決算における「国内ユニクロ事業」のEC売上高である。
前期比32%増と高い成長率を維持しており、EC の売上構成比は前期の7.3%から9.5%へ上昇している。
ユニクロを運営するファーストリテイリングは、『ECを本業にする』と宣言し、グループ全体でEC 化率の向上を推し進めている。国内ではアプリを起点に、顧客の声を拾う仕組みを構築して商品開発に反映したり、EC 限定商品やサイズ・色展開を充実させたほか、合わせて実店舗とEC の連携も強化して消費者の利便性を高めたことなどが、EC 売上拡大に大きく寄与している。
また今期は、組織体制の抜本的見直しにも着手し、地域やブランドごとに分かれていたEC 事業を横断的組織に変更。好調な海外事業も踏まえたグローバル統一のデジタルコマースプラットフォームを開発し、より一層EC 事業を拡大させていく戦略だ。
経済産業省がまとめた2018 年のEC 調査によると、アパレル関連の「衣料・服装雑貨等」のEC 市場は、17,728 億円で5 年前に比べ5 割増となっている。ちみなに、このEC市場は「衣類・服装雑貨等」、「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV 機器・ PC・周辺機器等」、「生活雑貨、家具、インテリア」、「書籍、映像・音楽ソフト」の順で大きく、これら5カテゴリーの合計で物販系分野の85%を占めている。
また、EC 化率については、高い順に「事務用品・文房具」「生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等」「書籍、映像・音楽ソフト」「生活雑貨、家具、 インテリア」
となっている。これらを見ると、「衣料・服装雑貨等」は一番大きいEC 市場規模となるが、EC 化率は12.96%とそれほど高くなく、まだまだ伸びしろがありそうだ。
アパレルは、試着しないと選びにくいと言われていた時代もあったが、その不安と不都合を解消する工夫や、ネット上での新しい仕組みが次々に生まれており、このカテゴリーにおいても、実店舗との壁は確実に低くなっていることが窺える。
2018年物販系分野のB to C-EC市場規模(経産省発表)
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