社長が見落としてはいけない「選択肢」と「選択する権利」
当社には、同族会社と社長の財産管理実務の専門機関のため、会社経営にまつわる様々なお金の相談ごとが寄せられます。
決算期が近づく頃には、決算着地の数字をソフトランディングさせるための具体策を打ち合わせします。多額の税負担が予想される場合、お金を使うことなく納税額を圧縮するための税務対策も検討します。
そんな中、多くの社長に「もっと良い選択肢があるのに、もったいないなぁ…」と感じる時があります。
具体的には、多くの社長が会社のお金のことは顧問税理士に任せっきりで、100%主張が正解と鵜呑みにしている。ビジネスの主役の社長自身は、「自分に選択権はない…」と思い込んでしまっているのです。
「中間納付」という税金納付のやり方があります。前年の実績に応じて税務署が中間納付税額を計算し、会社に納付書を送付する…というものです。
多くの社長は、「納付書が来たから、払わなければ…」と考えます。もちろん税務署から送られてきた中間納付税額が印字されている納付書で、その際に中間納付をしてもいいのです。しかし、もし、たまたま前年の売上が大幅に上がり、翌年に業績が大幅に悪化…という状況になった場合、あなたはどう思いますか?
資金繰りが苦しい中、前年度実績で計算された納付書で税金を払うのは苦しい…と感じるかもしれません。そんな時、制度上は「中間申告」というものがあります。前年度実績で計算したもので中間納付をする。もしくは、自社で仮決算をして、それに基づき税金計算を行う、というものです。
前年度実績も、中間申告も、間違いではなくどちらも正解です。しかし、中間申告は少し手間がかかることもあり、社長自らが税理士に直接呼びかけない限り、中間申告のことは教えてくれないというケースもあるのです。
ビジネスの主役は、あくまでも社長です。よって、その選択肢を選ぶ権利は、社長にあるのです。「そういった方法がある」という事実を社長自身が知った上で、その選択肢を選んでいく…ということです。
もう一つ選択肢の例をあげるとしたら、減価償却という制度があります。多くの場合は、税法で定められている減価償却の方法を自動的に採用していたりします。
具体的には、「定率法」という減価償却費の計算方法であれば、購入直後に多額の減価償却費が計上されて、徐々に低減していくような計算になります。「定額法」であれば、毎年、同額の減価償却費が計上されます。
「定率法」がいいのか、「定額法」がいいのか、そういう表面的な話ではありません。ここでお伝えしたいのは、社長が自社の財務戦略から逆算して、意図的に「定率法」「定額法」のどちらを採用しているのか、ということです。
社長が考えを持たずに、すべて税理士任せにしている…ということではダメなのです。5年後、10年後の未来から逆算して、自分の会社がどのような減価償却の方法を選択すべきか。社長自らが考え、自らで決定できるようになることが重要なのです。
大切なことは、社長自らが真剣に自社の会社に数字と向き合い、財務中心の会社づくりをすることで、自社には、多くの「選択肢がある」という事実を社長自らが認識することなのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
あなたは、社長として、会社の未来をつくれていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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