「生産性が10%、20%と上がっていく時に起こる店舗混乱!打つ手を間違えていませんか?」
「今は、各社キャッシュレスで、ポイントをやってますから、少し売れてますが、この先の状況はわかりません」とあるチェーンの社長の一言です。
――――いえいえ、先行投資による努力の賜物です。「お待たせしない」は売れるんです。とハッキリ申し上げました。
今回、増税前に投資したレジやポイントカードは、レジの読み取り精度も向上してますし、なによりもキャシュレス会員が一気に増え、金銭授受が減ったことで会計スピードが上がっています。
年配のお客様は、プリペイドカードへの切り替えで、他の人に迷惑をかける不安が減ります。
また、コンビニで電子マネーを使い慣れた会社員や学生は、スーパーやホームセンターで使えるようになったことで、行動範囲が変わります。
ドラッグを使っていた主婦やOLは、スーパーやホームセンターでもキャッシュレス支払いをするようになります。今回投資した決済の仕組みは、新規顧客を引き込んだことになります。
もちろん、ポイント割引の効果もありますが、大事なことは、こうした異業種から訪れた新規顧客を、いかに自社顧客にしていくということです。
冷静に考えればわかることですが、コンビニやドラッグは、2品~3品買うだけであれば、わずか数秒で買い物ができるわけですし、また、新商品のタイムリーな定番導入や、コンパクトな売場で売場のわかりやすさという面でも、まだまだ、圧倒的に優位です。
他にも、顧客満足度で勝てないことはいくつかありますが、あらゆる視点で常に優位にたつことができなければ、一回は買いにきたけど、やっぱりコンビニ、やっぱりドラッグ、いや、ネット通販のほうがいい、ということになりかねないからです。
大手チェーンや競合他社では、ポイントセールを続けることで、客数維持をしようとする動きもありますが、これには原資が必要な訳で、やり続けるには限界があります。ある意味、日替わりチラシと一緒で、ポイント割引が終われば、いつも使い慣れた店に顧客は戻っていくものだからです。
そういう意味では、自社のまわりに張り付いている、コンビニ、ドラッグがいかに自社に影響を与えていたということを改めて認識できたといえます。
こうしたサービスに先行投資した企業は、優位に戦うチャンスを一足早く手に入れることができたわけです。重要なのは、その効果が消える前に、コスト吸収できる仕組みを本格的に、動かしておかなくては追従企業に追い越されてしまうということです。
今後、コンビニ、ドラッグに対して取るべき行動は、新規商品の開発、発掘の拡大や、そのフェース変更にかかる作業の簡素化といった戦略が不可欠で、ここには 新たな人時やコストがかかるので、それらを捻出していく仕組みが必要となります。
一方で、レジは、時間帯別に客数の増減にマッチした体制を、日々実施できるようにしなくてはなりません。
「そんな レジは 人がいないから無理」という声が聞こえてきそうですが
――――レジ部門以外の方で、レジを打てる人は何人いますか?とお聞きすると
「うーん」と言葉に詰ります。
駅の時刻表を思い浮かべてみればわかると思いますが、混んでいる朝と夕方は電車の本数は、昼間の倍以上を増発しています。祝日の指標もあらかじめ決まっていて、JRにしても私鉄にしても、混んだからといって応援で増発するわけではありません。
チェーン店のレジも同じで混雑するとわかっている、昼、夕方は、混んでから呼ぶのではなく、予め全てのレジを開局してお待たせしない体制を構築しておくということになります。
特に、ピークタイムには、大量の人員が必要となりますので、全ての売場から入る人とその時間が明確に決まっていなくてはなりません。
これをスムーズに行うためには、各売場でそういった時間を生み出すための作業指示書が出来ていることが前提となります。
ところが、どのチェーンでも、レジのスケジュール表はあっても、売場毎の作業指示書となると、運用している企業は少なく、そこに縦割り組織の弊害が重なり、売場でレジを打てる人がいないのです。
言い方を変えれば、店として、レジの客数増に対応しようとしても、だれもがレジが開けられなのは、朝の、ラッシュ時に、電車を走らせないようなものです。
こういいますと・・・
「各売場にはそれぞれの作業がある」という声が聞こえてきます、
――――では、それぞれの作業が書かれた作業指示書を見せてください
というと、
「うーん!」と下を向かれます。
組織が縦割りで、分業化されてるわけですから、基本的には、各部門がちゃんと持ち場の仕事をすればまわるはず、と誰もが考えます。
その方法はかつて、人口が増えていた時のやり方で、人件費も低く抑えることができたからこそ回せたといえます。
今は、逆転現象起きていることから、少人数で収益が上げられること必須です。
もう一つの問題として、採用しようにも「集まらない」「長続きしない」「すぐやめてしまう」という事が頻発しています。
採用が決まっても、現場では紙に書かれた作業指示書が無いため、業務の流れや作業の手順を伝えることができず、都度、「次は何すればいいのですか?」と聞かれなくては仕事が進まないのは、人に仕事がついた古いやり方と誰もがわかるものす。
こういった旧態依然の行き当たりばったりの仕事を選ばなくても、他に先進的ないい仕事はいくらでもあるので、常にいい人が集まらないのです。
人の削減で、人時生産性が上がったと語る企業の多くは、こうして人が集まらず、辞めていくことで、結果的に人時売上が上がっただけで、店舗コンディションは最悪の状態に陥っているという事です。
一方で、、構造的な改革に取り組まれて企業では、作業指示書を活用して利益に結びつかない業務を洗い出し、その時間を、利益を生む業務に振り替えています。
冒頭の企業では、全ての売場でそれを作成し、そこで利益を生まない時間を束にして、レジに人時を置き換えたことで、お待たせしないレジ体制を既に確立しています。そこに今回、キャシュレス化が進んだことで、一気に生産性が向上したのです。
誰でもそうですが、人は変わることを嫌います。現状をそのまま保持しようとするのは人の性ですが、同時に、適応力の弱い企業が、適応性の大きい企業にとってか変わられるのもまた、自然の法則です。
今までやり続けたことを変えたり、今止まっていることを 動かし始めるには、外からの大きな作用がなければ変わらないものです。詳細はセミナーでお伝えしておりますが、そのプロセスを踏むことで、企業の適応性は限りなく大きくなるものです。
さあ、貴社では、まだ、単なるポイント割引だけに依存したキャシュレスでいきますか?それとも 顧客視点で生産性の改善にポイントを置き、活路を見いだしていきますか?
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