ナンバー2を愛せよ。
先日、ある若い企業で業務面を担当する経営者(COO)と雑談をするうち「CEOとの関係がうまくいかない」という話になりました。経営の方向性についてCEOに提案をしても受け入れてもらえない。「実務面だけ見てくれればいい」という態度で取り合ってくれないというのがその理由。当初、事業ネタの斬新さに意気投合していた二人でしたが、事業が進むにつれて考え方の違いが明らかになり、とうとう意思の疎通にも障害が生じている様子。
それで思い出したのが、志を同じくする二人がいればどんな事業も始められるという話。正確に言うと、次から次へと新しいアイデアを考え出すイノベーターと、出てきたアイデアを事業化するためにマーケティングや資金集めなどをして事業を育てるプロデユーサーの二人の組み合わせが、事業を育て上げる上で最強のコンビであるという話です。
古くはホンダの創業者である本田宗一郎さんと本田さんを支えた藤澤武夫さんのコンビが挙げられます。良く言うナンバー1とナンバー2の組み合わせです。
ナンバー1とナンバー2は異なる性格を持っています。ナンバー1が持っている能力をナンバー2は持っておらず、ナンバー2が持っている能力をナンバー1は持っていないからこそ補い合う関係で共同経営者になるわけです。が、しかしこの関係に亀裂が生じる時があります。
よくあるケースは、ナンバー1がナンバー2を顧みなくなることです。ナンバー1は、アイデアが次から次へと出てきてそれを実現することにロマンを感じるタイプですから、基本的に前を向いて突き進んでいます。そして何も言わなくても後ろにはナンバー2がついてきて諸般良きように処理してくれていると信じています。
対してナンバー2はナンバー1のアイデアを実現するために東奔西走しているわけですから、ナンバー1から感謝の言葉の一つもかけてほしい。共同経営者であるからこそ、自分の意見も聞くべきだと考えます。ところが、この思いがナンバー1に届かないと、強く持っていた忠誠心も次第に薄れ、心も離れていきます。
ナンバー2も実は自分で事業をやりたいケースがよくあります。でもアイデアの斬新さではナンバー1にはかなわない。それでナンバー2のポジションに甘んじています。しかし一旦心が離れると、別の道を探し始めます。ある場合は同じ事業で起業をし、競合になります。ある場合は、別の、もっと甲斐性のあるナンバー1を見つけて鞍替えします。
まるで恋愛感情のようなナンバー1とナンバー2の関係。そして、恋愛が人を成長させると言うのであれば、1回や2回の失恋は、人生において不可欠な経験です。同じようにナンバー1とナンバー2の関係も、1回や2回の失敗は両者の成長に不可欠と言うのであれば、外野がとやかく言う筋合いのものではありません。
しかしながら、成長期の企業でナンバー2の離反は手痛いダメージになります。そうならないためにも、ナンバー1はナンバー2の貢献を当たり前と思わずに、たとえナンバー2が年上であっても顧みてほしいのです。
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