「売上・資金・人不足の企業が、浮上出来ない本当の理由は…○○です」
「先生、人時売上はどのくらいを目標にすればいいのでしょうか?」 とあるホームチェーンの幹部の方からのご相談です。
――――ゴールは自社で決めるものです。どうしても決めることが難しければ現状の数値を最大にストレッチした目標に設定してみてください。とお答えしました。
企業の最終利益予算から逆算して設定していく人時売上は 企業収益力のひとつの指標です。企業側の都合でビジネスを続けようとすれば、お客様は離れてしまうことから、その対極にある、対顧客店舗コンディション力指標をあわせて確認していく必要があります。
個店力を最大化させていくためには、この二つ評価の最大化を目指すことが一つのゴールであり、今後、御社が支持を得られることができるかどうかを位置づけるものとなるからです。
人時生産性にしても、こうした調査にしても、結果が全てであることには、変わりありません。
「マーケティング調査会社を使って上手くいっている企業はない」という声も聞こえてきそうですが
確かに、昨今の調査には効果のみえないものもたくさんありますが、依頼をする側が脈略を読まれぬような質問内容づくりから入り込んでいかなくては、そういったことは起きます。
反面、こういった客観性データが無ければ、仕事に人を付けたやり方に移行することはできないのもまた事実であるということです。
例えば、「お店の清潔感」という評価項目で最低の1という評価がついたとしても、店のどこに問題があるのか?顧客は具体的に教えてはくれません。
しかし、1を付ける人が、一日の来場者数1000人の5%いたとしたら、50人は、どの競合店より汚い店と評価した顧客がいるということです。
それが、トイレ汚れなのか?冷ケースの埃なのか?通路の黒ずみなのか?従業員の長靴の汚れなのか?…、は分からなくても、毎月同じ評価が下されていたら、それを徹底的に洗い出して、5を獲得する企業努力をしなければ、優位に戦える状況になっていないということになります。かと言って、毎日特別清掃をやっていては経費倒れしてしまいます。そういう意味では企業側の思い込みによる誤審を是正するものと言えます。
近年、サッカー、バレーボールなど、審判の判定の公平さが大前提となるスポーツの判定でもコンピュータを使った「チャレンジシステム」が採用されています。
人の目ではやむを得ず生じてしまう誤審を、限りなくゼロにするというルールに進化し変わっています。
一つのプレーで試合の流れが一気に傾くスポーツでも、その判定ひとつで「流れ」は大きく変わってきます。チームや選手にとっても、過去にこだわって次の一手が打てなくなるよりも、事実に基づき白黒はっきりしたほうが、前向きに行動を変えることが出来、よい結果も出やすくなります。観る側にとっても健全に観戦できるし楽しめるというものです。
企業も同じで、今までのやり方でいいものか?と違和感を感じていても、客観的なデータが無ければ、「上司に言われたから」ということだけで、やらされ感が募ってしまうものです。これが顧客の評価となれば、現場も納得し改善に前向きになりますし、持続性も変わってくるものだからです。
こうして事実に基づき、掃除が出来ていない要因を作業指示書で確認すると、人時が張り付いていなかったり、決められた用具で清掃が行われていなかったために、十分な掃除が出来なかった。ということはよくあることです。
一方で、人時生産性では人海戦術で行われていることが、まだまだ数多くあるのも事実です。仕分け、品出し、商品加工、点検、レジなどは、実際に多くの時間をかけて人手で行われています。
一度 実態調査したから全てが終わりではなく、業務量の多い作業は、ほんの少しでも根本部分の改善出来れば大きく変わってきます。また、人は慣れることによって作業スピードは上がりますし、若い人がやるのか高齢者がやるのか?によっても変わってきます。そういう意味からいくと、毎年作業時間や作業量計測は必須になりますし、それに合わせて、作業指示書の時間も更新されていかなければなりません。
なんでもそうですが、基本的に人は変わることを嫌います。そのため、現場任せにしておくと誰も何も行動を起こそうとしないことから そういった、環境づくりこそが経営の役割となることは言うまでもありません。
その為には、人時売上目標を掲げ、それに対する予算設定と予算執行のための計画がなければなりません。
これを策定し、実行していくのが執行役員となるわけですが、目標予算を掲げるのは社長の仕事です。これは高ければ高い方がいいとされます。
ここが前年比並み、前年にわずかプラスという数値を掲げたとたん、昨年比割れを起こされたご経験のある経営者の方も多くおられるかと思います。
逆に3割~5割アップと掲げた瞬間 数値は変わり始めます。昨年をベースにしたやり方では、それは達成することが出来ないと誰もが認識するからです。
今は、業務の中身を見る仕組みを使いこなすことで、利益に結びついている業務なのか、そうでない業務なのか?は、人時割レイバースケジュールに取り組まれている企業であればすぐに確認することができます。
大事なことは、個人個人のやり方手順や速度というものは、人の入れ替わりることで差異が発生することから、定期的に再調査をかけておくことが必要で、それを更新する仕組みと、そのマニュアルが必要となります。
これは、人時生産性をアップさせる意味だけではなく、特定の人ばかりに作業が集中していないか?とか、遅い人は何に手間取っているのか?そういった非効率を発見し、経営として解決させていく根幹となる部分だからです。
中には、「マニュアル化したら固定化して、変化しづらくなるのでは?とか、一旦これで決めたら今度は変えていくのに、また 手間がかかるのでは?」という声が聞こえてきそうですが、
ここで申し上げるのは、仕組みづくりのためのマニュアルです。言い方を変えれば、作業指示書を使い、人時生産性を引き上げていくにはどういった手順で、進めていけばいいのか?そのマニュアルが紙に書かれてありますか?ということになります。
セミナーではこのプロセスについておつたえしていますが、売上は、前年越えが難しくても、人時売上はやり方によって毎年大きく変えることができます。大事なことは、人時売上目標を掲げ、それに対する執行計画で結果を出すコトです。
少子高齢化の劣勢にあるときこそ その企業の真価が試されるときであり、結果を出すことが、出来るという希望と自信に繋がります。
さあ 貴社では、そのチャンスを掴んで前に進みますか?それともやりたいことを優先し現状に留まりますか?
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