“アイデア”を儲かるビジネスに変える具体策
弊社では商品リニューアル手法のエッセンスを凝縮したセミナーを定期的に開催しています。ご参加の経営者さまから「“アイデア”だけで売上を上げることができるのか」という質問をいただくことがあります。わたくしどもでは、キッパリと「YES」とお答えしています。
商品リニューアルのコンサルティングでは、まずリニューアルする商品サービスを決めます。そして「魅力」「長所」「強み」「弱みゆえの強さ」を見抜くことにフォーカスし戦略を策定。仕組み化するお手伝いをします。ざっくりと申し上げれば、財務諸表、事業計画書、事業所や工場等の現場の視察といったことは二次的な要素と考えています。まず商品サービスそのものに一点集中し、あらゆる角度から検証します。この最初の工程が最も重要で課題の本質的解決につながると確信しています。
「アイデア」とは何でしょうか。一般的には「いい思いつき、着想」という意味で使っています。語源はギリシア語で「見る、知る」という動詞から派生しています。商品リニューアルにおいて、アイデアとは「着眼」です。天から頭上に降ってくる受動的なものではなく、「見る」「知る」「気づく」という主体的アクションから導かれます。見る、聴くといった五感を使って、商品の「魅力」「長所」「強み」「弱みゆえの強さ」を見抜いた先に生まれたものが商品リニューアルにおけるアイデアです。
2つの事例をご紹介しましょう。自社に引きつけて読んでみてください。
先日たまたま「NHKプロフェッショナル仕事の流儀」を見ました。内科医・天野惠子氏にスポットが当たっていました。天野氏の専門は「女性外来」です。得意分野は「更年期障害」「微小血管狭心症」という女性特有の病気です。今、全国から天野氏のところに患者さんが殺到しています。テレビでも待合室は常に人でいっぱいの様子です。
天野さんはもともと循環器専門の内科医で、60代まで現場の最前線でした。ご自身の更年期と重なった十年間、ご本人も更年期障害で悩みました。男性医師には分かってもらえない辛さを味わいます。しかし60代になると症状が嘘のように改善したそうです。
さらに現場の患者さんを診ている中で「男性と女性でかかりやすい病気に差がある」「同じ病気でも治療法や薬の効き方が違う場合もある」と気づき(=アイデア)、渡米。「性差医療」の現場で学び、帰国後、日本で数少ない「女性外来」を立ちあげ、黒山の人だかりとなりました。天野氏は医療分野の事例ですが、消費財ひとつとっても更年期の不満、不快を解消する商品やサービスは圧倒的に不足しているのです。
これを書くことは自分にとってとても恥ずかしいことのように感じますが、実際わたくし自身も40代の終わりを迎えています。体調を含めて去年と今年では何もかもが異なります。頭からつま先までの異変に困惑し、辛い状況です。ところがヘルスケアだけでなく、ヘアケア、ビューティケア、ファッション、食、ライフスタイル等々、この不調にフィットする商品がありません。欲しいものがなく、買い物のテンションがまったく上がりません。ここがひとつの「着眼点=アイデア」です。ジェンダーフリーが常識化する方向に向かっている今、「性差」におけるビジネスはまだまだ発展途上中で、たくさんの宝が埋まっています。男性にも更年期があります。女性には女性の、男性には男性の特徴があるはずで、まだまだ未成熟市場です。
もうひとつの事例をご紹介します。
弊社クライアント企業に家事代行会社があります。この会社は創業者が女性です。女性視点で商品サービスを開発しています。家事代行の中でも、介護保険適用外の「高齢者向け家事代行」に力を入れています。仕事で伺う高齢者のいるお宅は百者百様です。自立し元気なシニアがいらっしゃる家庭、寝たきりの高齢者を介護しているご家庭、果ては、自宅ではみきれずに施設に預けるご家庭もあります。 “高齢になっても、いつまでもその人らしく家で過ごすためにはどうしたらいいのか”と考えていた時、ライフスタイルはさまざまなのですが、あるパターンがあることに気づきます。“元気で自立している高齢者は排泄に関しても自立している”ということに気づいたのです。
そこで、家事代行の仕事をしながら「排泄ケア」の第一人者のもとを訪ね、勉強をスタートしました。民間の認定資格を取り、今はシニアのための家事代行に加え家族や本人に自立につながる「排泄ケア」のユニークなサービスを展開しています。そして今、排泄ケアの輪がひろがっています。中高年女性から「今まで誰にも相談できなかった」と尿漏れに関する相談が増えています。働く女性に有益な情報提供や良い商品の紹介など、地域で注目される会社に成長中です。この会社では、社長の「共感力」や「情緒力」が強みとなって、潜在的に眠る需要を掘り起こしています。
売れない商品を売れる商品に変えるアイデア創造法とは
今再び、景気悪化のサインが現れはじめています。中小企業にとって「お金をかけずに策を打ちたい」のが本音です。商品リニューアルは、商品に一点集中します。売れない商品を売れるようにするためには、全体を方向づけ、マーケティング、ネーミング、コピーライティング、デザイン、情報発信、広報、販路開拓、売り場展開のリニューアルまで、あらゆる角度から俯瞰した流れを作ること、つまり「仕組み化」が必須です。中小企業の場合、この全方向視点、包括的視点がまったくないか一方向の流れしかないのでうまくいかないのです。
どの会社も存続し、今たった一人でもお客様が来てくださっているのであれば、必ず「魅力」「強み」「セールスポイント」があります。自社の長所に気づいていないのです。気づかない理由は二つあります。1つは、わたくしたち日本人は「自分に厳しい」ことに起因しています。「いいでしょ!」「すてきだね!」と、そんな風に自分を褒めること、長所をアピールすることが非常に苦手です。 “爪を隠す”ことを良しとする文化であり基本的に「減点主義」です。これは欧米とは真逆です。
自社の魅力に気づかないもう一つの理由は「余裕がない」ことです。資金繰り、人材不足etc.・・・中小企業経営者は日々厳しい生き残りをかけ戦っています。いつも追い立てられ、足元にある商品サービスに対して意識を向ける「余裕」がありません。これでは自社商品の長所に気づくことができません。
商品が生まれ変わるためには、まず自社の長所を発見することです。自社の長所を見抜くことです。そのためには、こだわりや囚われのない心を持つことが求められています。コツをつかめばパッと変わります。しかし、経営者ご自身の力では難しいのです。自社に厳しく、自社商品をいじめてしまう経営者の何と多いことか。確かに、この矛盾こそが人間の面白さです。ですが、商売は結果をださなければなりません。
自社の長所を見抜き、背中を押し、ともに走る伴走者をみつけるのが、経営者の仕事です。人口減によるマーケットの地殻変動、そして各国の経済戦争、秋の増税など先行き不透明な時代、自社商品サービスを磨き上げ、儲かるビジネスに転換してゆくために、良き伴走者と出会う覚悟、決意をコミットすることが、実はいちばん大事なことかもしれません。わたくしたちは、御社のなかに埋もれている商品サービスの魅力を再発見することに注力しています。そこから化学変化した「アイデア」を基盤にし、儲かる仕組みをつくることができます。ぜひ、長所や魅力を「儲かる」に変えるために、いい出会いをつかみ取ってください。わたくしどもを活用してください。
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