潰れない会社になるため社長が理解すべき「●●利益」
当社は、同族会社と社長の財産管理実務の専門機関なので、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。その中で、多くの社長が「当たり前」だと信じている常識が、実は、会社を苦境に追い込む「落とし穴」だった…ということを痛感することがあります。
多くの社長は、「売上を増やせば、潰れない会社になる…」と考えます。その結果、「売上至上主義」で経営の舵取りをし、時には、無理な売上拡大や間違った節税対策、場当たり的な資金調達を繰り返していくことにより、社長自身が徐々に自社の財務状態を棄損するような経営判断を下してしまうことがあるのです。
そもそも「黒字経営なのに、お金が残らない」という状況は、様々な要素が複雑に絡み合い現れますが、要素を一つ一つ解きほぐしていくと、ほとんどの場合が社長自身が「必要利益」という概念が理解できていないことがわかります。
必要利益とは、税金や借入金の返済をしても、内部留保が増え、お金もしっかり残っていく利益のことをいいます。
よって、この必要利益がしっかりと稼げていない場合は、たとえ損益計算書(PL)上において利益が出ていても、税金の支払や借入金の返済で資金が苦しくなっていきます。必要利益以上の借入金の返済を毎月行っていたとしたら、当然、資金繰りは苦しくなっていきます。
税金は、稼いだ利益から払います。そして、借入金は、儲けた利益から税金を支払い、残ったお金から返済をします。多くの社長は「当たり前だ!」という風におっしゃいますが、実際に実行できるのとは、また別次元の話なのです。
しっかりお金を残して将来の成長発展につなげたいのであれば、社長は、会社経営にまつわるお金の原理原則を知った上で、実際に財務の視点からの経営判断に活かさなければならないのです。
「どれぐらいの売上がないと赤字に転落するのか?」
「どこまでの売上減少なら、ウチの会社は潰れないのか?」
「手元に残ったお金は、どう使うと最も効果的なのか?」
会社を成長させる社長は、実現したい未来から逆算して、手元のお金を最も効果的に使っていきます。その上で、自社がもしもの場合、経営の舵取りをどうするのかリスクヘッジに関しても余念がないものです。
「社員へのボーナスや昇給など、どのように処遇を改善していくのか?」
「機械設備や新規出店等の事業投資は、どのタイミングで行っていくのか?」
「3年後、5年後、10年後、どれぐらいの内部留保があったらいいのか?」
未来から逆算してどれだけの売上を上げ、費用を払い、税金を払い、そして借入金を返済していくのか。これらを担保できる利益はいくらなのか。各事業部・部門・店舗からそれぞれいくらずつ稼ぐ必要があるのか。これらは全て数字情報の裏付けがあってこそ、実現できる世界なのです。そして、そのためには財務中心の会社づくりが必要不可欠なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
あなたは、社長として、会社の未来をつくれていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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