やる気のある社員が経営悪化の原因?リスクを分散させる人材育成とは
「我が社には営業のエースがいるから大丈夫ですよ」
こう笑顔でおっしゃった経営者が、次の年に暗い表情になっていることはままあります。なぜ、暗い表情になるのでしょうか。エースというぐらいやる気のある社員がいて、しかも有能。この人が一人いるだけで十人分の働きというぐらいなのに。
実はこれ、人材育成の失敗例なのです。やる気があり有能な社員を上手に生かせず、結局周囲も巻き込んで経営も悪化させているのです。
今回はやる気のある社員の上手な活用方法と、人材育成についてお話していきましょう。
■やる気のある社員ばかり褒めると他の社員が小さくなる
経営者が欲する人材に「自主性のある人」というものがあります。指示をされなくても状況を判断し、自主的に対応を考えられる人を指します。この対応も的確で、トラブルがあった時などはとても重宝していることも多いでしょう。
このような有能な社員を、思わず経営者は褒めたくなるものです。でも、この社員ばかりを褒めていると、他の社員はどんどんとやる気がそがれ小さくなっていく一方。
例えば、「彼を見習ってほしい」と他の社員に言ったとしても、意味がない上に嫌味にしかなりません。考えてみてください。やる気のある有能な社員はその人の考えで動いているからこそ、仕事が上手くいっています。しかし、その人とは別の人間である他の社員が同じことをしたとしても、上手くいくとは限らないのです。
これを理解していないと、人材育成に大きな影響が表れるでしょう。人材育成とは全員が同じ勉強をするものではありません。個々の適性を見た上で、それぞれに合うやり方で行う必要があるのです。これができていないと、できない社員はできないまま現状維持かそれ以下のパフォーマンスになってしまうのです。
仕事の基準をやる気があり有能な社員にしてはいけません。やる気がなく今は無能の社員をどうするかを考えていかないと、会社経営の未来は暗いのです。
■やる気のある社員ばかりに負担がいってしまう
やる気がなく無能な社員にやる気がある有能な社員のようになるよう、叱咤激励したとします。叱咤激励だけだと具体的な解決策がないため、やる気のない無能な社員は短絡的な行動に出るようになります。それは、仕事を完遂するために有能な社員に仕事を押し付けるというものです。
これは中小企業だけでなく大企業でも見られる光景です。雑務を含めどんどんと有能な社員に仕事が集まっていき、周囲は知らんふり。仕事自体は有能な社員が処理しますから、一見上手く回っているように見えます。
ですが、問題はここからです。安易な解決策に頼ってしまっているために、社員の向上心がなくなってしまうのです。自分の頭で考えることもなくなり、様々な仕事が短絡的発想になっていくでしょう。
もしこの状態で有能な社員が職場から何らかの事情で離れたら、経営は簡単に悪化していきます。他の社員ではできない穴埋めに経営者や管理者が東奔西走というのは、よく聞く話です。こうなると人材育成に時間を割くことも出来なくなります。
繰り返しますが、仕事の基準をやる気があり有能な社員にしてはいけません。これをしてしまうと、無能な社員をより無能にしてしまうこともありますのでご注意を。
■やる気がなく無能な社員を有能にするには、聞き取りと褒め
やる気があり有能な社員に頼ってばかりいるのは、大きなリスクです。そして、経営者としての義務である人材育成も放棄しているに等しい行為です。では、上手に人材育成を行うにはどうすれば良いでしょうか。
今すぐできることは、社員からの聞き取りです。得手不得手を聞き出します。聞き取りの際に行ってもらいたいことは、社員への今までの感謝を述べることと得意なことを褒めることです。
人間は褒められると、それだけで自信が持てるものです。それまでは自分には目が向いていないと思っているところにこれですから、とても嬉しい気持ちになります。そして、自分の働きを経営者が見ていると分かったなら、気持ちも引き締まります。何より、自分の話を聞いてもらえた満足感から、会社への信頼度も増していくのです。
信頼度が増していくと、自分が働く意味が見えてきます。働く意味はいずれ仕事の目的を見せ、自分が何をすべきかを自分の頭で考えるようになっていくでしょう。これができるようになると、今まで無能といじけていた社員も、大きく飛躍していくようになるのです。
■社員一人一人が主人公であり脇役
中小企業で多い間違いが、一人のエース社員を主人公にしてしまい、他の社員を脇役にしてしまっていることです。しかし、本来なら全員が主役であり脇役であって当然のものです。こうしないと、会社という舞台は上手く上演できません。オールスターの会社にするためにも、人材育成は怠らないでおきたいものです。
あなたはエース社員を主人公にしてしまっていないでしょうか。もし、不安になったなら私に声をかけてやってください。会社にブランディングがあるように、社員にもブランディングがあるのです。それを一緒に行っていきましょう。
舞台の幕を上げるのはあなたです。私はそのお手伝いをさせていただきます。会社という舞台を最高のものにするためにできること、それを始めていきませんか。
最後まで読んでくださり有難うございました。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。
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