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SPECIAL

<実戦型> 経営デザインコンサルタント

株式会社日本BIP&コンサルティング・サービス

代表取締役 

<実戦型> 経営デザインコンサルタント。日本で唯一、世界ブランドのノウハウを日本の中小企業に落とし込み、経営をデザインして、即戦力で活躍する人財育成と組織づくりの専門家。世界的半導体製造装置メーカーに20年以上勤務する中で世界14ヵ国、50以上のプロジェクトを世界トップ企業との現場業務に従事。経営者が組込まれなくても回る事業の機能デザインから人財育成を含むオペレーションで大きな成果を上げている。

よく「企業理念」や「基本理念」、「経営理念」と聞くが、果たしてそれらはどのように作られているのか、と模索をしたことがある。

その模索をするキッカケは、前職で部品供給をする小規模や零細と呼ばれる企業の監査をしていた時、その企業を調べるわけだが、理念の無い会社、理念はあっても訪問した時にその理念とはかけ離れた対応や現場の様子を目のあたりにした経緯がある。

実に相談に来られる方々やクライアント先でも同然である会社が多い。

模索をしている中で、とても印象的なものを見つけたので紹介したいと思う。

 

ビジョナリーカンパニーとは

ジム・コリンズとジェリー・ポラスという米国のビジネスコンサルタントが700社のCEOへ調査をし、時代を越えて際立った存在であり続ける企業18社、また比較対象となる企業を18社選出し、その違いが「ビジョン」と呼ぶ基本理念にあることを発見した。

その特徴は

・ビジョンを、情熱をもって維持している事。

・ビジョンを変えることがあっても、まれである。

・基本的価値観が百年を越えて変わっていないケースもある。

このような会社はビジョナリーカンパニーと呼び、何世紀にもわたって存在し続ける、とまとめている。

生きた「理念」の創造と作成

いざ作ろうとすると、ベースが今までの経験とその時点での自身の心の共鳴となるため、共鳴する単語を列挙し選んでいくのだが、一筋縄ではいかないものである。気づくと多くの単語を選択していることに気が付く。これでは文章にすることが出来ない。

共鳴する単語を再び絞り込んでいくのだが、その過程で「本当に望んで共鳴している単語なのか?」というものが中には出てくる。そういう単語に限ってとても気になり、省くことが出来ないものである。

このような時にどうすればいいのか。結局は、白紙や声に出して自身に聴くしかないのである。答えは外にではなく内にあるのであるから、当然である。

そうして出てきた単語を文章にしていくのだが、この作業は納得いくまでやり続けることが必要である。

では、どのようにして単語を文章化して理念とするのか。

 

理念となる基礎を築ずく

その基礎となるものは、現在の事業を通して「何故その事業を、誰の為にするのか?」この問いに答える必要がある。この質問に答えられないのであれば、理念など出来るはずがないのである。仮に、この質問への回答が出ないで出来た理念は実行されず絵に描いた餅となるのは時間の問題である。それほど、この「何故その事業を、誰の為にするのか?」という質問はその先の将来へとつながる重要かつ大原則の質問なのである。

この重要な質問は、言い方を変えれば「経営者とスタッフ全員とその家族を乗せた、貴社の○○(会社名)船でどこに向かって進んでいるのですか?」と言うことである。

勘のよい方はお分かりだと思うが、この理念とは「目的地」であり、企業の「存在理由」である。

 

理念とビジョンの違い

理念とビジョン(正式にはヴィジョン(Vision))であるが、日本語と英語の違いの他にどんな違いがあるのか。結論から言うと、全く違いは無いのであるが、そこにはレベルがあることをあえて付け加えたいと思う。

では、そのレベルとは何か。ズバリ、理念構築のための初期段階、精査選別段階、最終段階、完成と、ビジョンにも段階が存在する。理念も同様である。

ここではあえて初期から最終段階までをビジョンと呼び、完成段階を理念と呼んでいるが、会社や経営者によっては、「企業理念」「基本理念」「経営理念」など、それぞれの会社やビジョンに合わせて使い分けをされているのが現状で、中には「企業理念」と「基本理念」が存在する企業もある。

初期段階とは、基礎的質問の回答を元に、ワードの連想と選択、将来へのビジョンを極限まで膨らましていくところである。この「極限」と言うところがミソである。

次に、精査選別をしていくのだが、休む間もなく問答が続き、その回答の中から精査選別していくのであるが、その質問の内容とヒネリが重要となる。

最終段階では、全てを掛け合わせて精査選別しながら文章化していくのであるが、殆どの社長さんが、精査選別段階でうなり始め、完成段階ではうなりながら頭を抱えるのである。何故かというと、感覚的には「こうだ!」と分かっているのだけど、あと少しの所で言葉に出来ないジレンマがそうさせるのである。

やっとの想いで出来上がった経営理念は、将来へのビジョンと事業をしていくための理由と顧客や社会への約束と決意とが文章化され、○○会社という船で船長である経営者と乗組員である会社のスタッフ(そしてその家族)は、目的地を目指していくことが出来るのである。

弊社では、ビジョンから経営理念までを独自の方法で導き出す手法を使っているが、基礎の質問の回答が出来ないと、このビジョンから経営理念までに辿り着かない。

 

遭難しないための羅針盤

航海をするには、目的地が決まらないと出来ないものであるが、それが「経営理念」とお伝えしたが、実際に目的地が決まり進みだした船は大海原をどんな天候でも休みなく進むことになるが、遭難しないために次に必要になるのは羅針盤である。

羅針盤は、航海する際に目的地の方角を目指す為に必需品である。昔は星を目印に航海していたが、現在ではGPSで現在地を特定して、オートアンカー(i-Pilotともいう)と言って船をGPSで特定した位置から動かないように自動操縦で調整するシステムまである。

残念なことに、会社経営にはオートアンカーは使えない。

では「羅針盤となるものは何か?」

この羅針盤が出来上がった理念に付加されて、初めて生きた「経営理念」となるのである。

多くの経営者を魅了してきた中村天風氏もこのように説いている。

“信念 それは人生を動かす羅針盤のごとき尊いものである。従って 信念なき人生は、ちょうど長途の航海の出来ないぼろ船のようなものである。それ故に 私は心理に対してはいつも純真な気持ちで信じよう。否 信じることに努力しよう。もし疑っているような心もちが少しでもあるならば、それは私の人生を汚そうとする悪魔が、魔の手を延ばして私の人生の土台石を盗もうとしているのだと、気を付けよう。”

この句では、信念という心に原点を持つことが大切と説いている。その原点となる「信念」が羅針盤の役目をし、どんな状況下でもその原点を思い出すことで、進路を戻すことが出来るものである、と伝えている。

稲盛和夫氏も「いつ、どのような時代でも経営者が常に心に留めておかなければならない、経営の原点と呼ばれるようなものがある」とも言っている。

 

それは紛れもなく「経営者の信念」である。

その信念を引き出す質問が重要大原則の“例の”質問である。よって、この重要大原則の質問に答えられない場合、羅針盤を持たず航海を続けることになるのである。そのような船内では、船長の言うことに乗組員は疑心暗鬼となり、チームワークが乱れ余計なトラブルなどが発生する可能性が格段に上がってくる。これでは目的地を目指す処ではないことは容易に分かる。

経営者の「原点」と「目的地」はそれだけ重要なのである。

それらを体した経営者の想念を全乗組員の伝え、しっかりと方向性を保たせる仕組みを作ることが経営者の仕事である。

その仕組みをも、戦略的に作り、配置していかなければならず、その順番も重要になって来るのである。

以上から、乗組員がタダのノリクミインではなく、先を読みどんな状況にも順応出来る乗組員にするには、仕組と制度が必要不可欠なことはお分かりになられただろう。

これらは、取っ掛かりにしか過ぎないのである。

 

最後にしっかりと確認して頂きたい。

船長として乗組員(とその家族)を乗せたその船、目的地に向かって進んでいるのか?

それとも目的地なしで漂流し続けているのか?

あと何年、どの位先まで会社を継続させるのか?

全く考えないで、行き当たりばったりで漂流し続けるのか?

船は既に沖に出てしまっているのだから。

 

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