会社の将来のために、経営者が社員に伝えるべきこと
「今は、一時的に落ち込んでいますが、下期には少し回復すると思っています。その後は安定してくるはずです。」と社長。
「では、現状のままで大丈夫ですね。無理して新規開発などしなくても良いのでは?」
社長「・・・」
仕事柄、様々な業界からのご相談を受けていますが、最近、つくづく日本の製造業は転換期にあると感じます。現状を聞けば聞くほど、このまま従来通りに事業を続けていては、とても次代には生き残れなくなる、業界問わずそういったタイミングになっていると痛感させられています。
そして、多くの企業がこのことに気づいています。現に、ご相談企業のほとんどが、このままでは不安、今のうちに何とかしなければ、変わらなければ・・・そういった思いで、新しい製品やサービス、技術の開発を通じて新規事業を起こそうと、当社の門を叩かれています。皆さん頭の中にあるのは、「将来への不安」です。
ところが、「このままでは不安」ではあっても、実際に将来に向けて次の一手を打つ企業は少ないのが現状です。不安を感じ、何かしなければと思いながらも、動き出せずに時間だけが過ぎてしまっている企業が多くあります。
一体、なぜ、動き出せないのでしょうか?
動き方が分からないのであれば、動き方を知っている人に聞けばいい話なのですが、ことはそう単純ではありません。そこには、動き出せない原因、障害となっているものがあります。
それは、「このままでは不安だけど、新しいことをやるのはもっと不安」という感情です。
多くの経営者の心の中で、現状への不安よりも新しいことを始めることの不安の方が勝ってしまっているのです。そのために、不安を抱えつつも、現状を続けてしまっています。新しいことを始めるためには、この不安を乗り越えなければならないのです。
「経営者なら、不安に打ち勝って取り組むべきだろう」そう思われる方も多いと思います。しかし、この不安は想像以上に大きく、また、打ち勝つのが難しいものです。実際に、当社にご相談に来られる経営者もここで苦しまれている方が多くいます。
当社にご相談に来られる経営者の方は、新しいことを始める不安に打ち勝ち相談に来られる方です。そういった点で、勇気ある経営者です。しかし、そういった方でも、まだ、新しいことを始める不安に心の中が支配されているのが通常です。このことは、現業の先行きに関する質問をしたときに如実に現れます。その一例が、冒頭の会話です。
冒頭の社長は、先行きの不安から新規開発を志し、当社に相談に来られた方です。現業の内容をお聞きしたときに、これは危ないと感じ、その点を指摘したのですが、それに対して返ってきたのが冒頭のセリフです。現業に不安を感じ、新規開発を志し相談に来たはずが、外部から現業の危うさを指摘された途端、必死に反論されたのです。
このように、現業への不安から相談に来る方でも、他人から指摘されると反論します。実際の心の中は、「現業はまだまだ大丈夫」と安心したいのです。ところが、「では、新規開発は必要ありませんね?」と問うと、「それはやらないと・・・」と完全に矛盾した回答が返ってきます。それだけ葛藤しているのです。
ただ、ここで経営者が絶対に理解しておかなければならないことがあります。それは、「経営者が葛藤し、迷い、揺れ動いていることは、必ず社員に伝わる」ということです。さらに、「社員は、経営者以上に新しいことを始めることに対する不安が大きい」ということです。つまり、経営者が揺れ動いているようでは、とても社員を新しい取り組みに巻き込むことはできないのです。
新規開発に取り組むためには、「経営者が、既存事業と、その延長線のみを続けることを否定する」これが欠かせません。「このまま現業のみを続けていてはいけない、まず経営者が現業を否定し社員に伝えること」ここから始めなければなりません。ここでブレてはいけないのです。
御社は、新しいことを始める不安に打ち勝ち、既存事業のみを続ける間違いをブレずに社内に伝えていますか?
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