後継社長が「物事を決める」ために必要なものは
当社は、同族会社と社長の財産管理実務の専門機関なので、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。その中でも、後継社長さんや、社長に就任して間もない社長さんも数多く訪れます。
社長にとって最も重要な仕事は、会社の未来を創ることです。日々決断の連続で、逆に何も「決められない!」というのは、本人を含め、命運をともにする社員や家族・利害関係者からしても、大変苦しく、不幸なことです。
なぜなら、最も重要な経営資源である「時間」を奪うことになるからです。その「時間」は、社長自身に限らず、従業員や取引先など社長に関わる全ての人々に及びます。失った時間を経済的価値に加算すれば、時間と同時に「お金」も失ったことになります。
正しい経営判断をタイムリーに下せば、最短距離で社長が目指すゴールに近づくことができます。決断が正しければそのまま前進あるのみですし、その決断が誤りがあれば、スグに軌道修正をすれば良いだけの話です。
最悪なのは、いつまでも問題を先送りすることです。会社経営において「時間が解決する」ことはまれで、むしろ時間が経つほど悪化していくものです。悪化すれば、その分経営課題を解決するには、多くの時間を要し、痛みも大きくなります。
物事の決断には、その判断材料となる情報やその情報の信ぴょう性の担保が必要になりますので、「正しい経営判断を下す」ためには、その判断を後押しする「社長専用のモノサシ」が必要不可欠です。
この「正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ」があれば、時間や労力を消耗せず、「決めること」が出来るようになります。そして、その経営判断が正確かを、PDCAサイクルを回すことで確認・点検できるようになります。
逆に、「正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ」がなければ、どうなるでしょうか?
勘・経験・度胸をベースにした二者択一での決断を、常々、迫られることになります。よく、勘・経験・度胸の経営を『KKD経営』と表現されますが、場当たり的な対処療法を繰り返していては、経営が良くなりません。
かの安岡正篤先生の物事を考える上での三原則にもある通り、大きな経営課題や困難な問題ほど、長期的な視野で、多面的・根本的に考察していくべきなのです。
時間をかけて考えたとしても、判断の起点が、短期的な視野で、局所的・表面的なものであっては、物事の本質を掴めず、本当の意味での結論を導き出せません。
「決められない」という悩みは、優柔不断という性格的なものもあるかもしれませんが、多くの場合、悩みを抱えている社長の話を伺うと、大前提としてある3つの共通点が浮上してきます。
一つ目は、そもそも判断するにあたっての情報が不足している・・・。
二つ目は、判断するにあたって参考となる情報が間違っている・・・。
三つ目は、情報を集め信ぴょう性を確認する相談相手がいない・・・。
決断するにあたる情報が十分にあり、その情報が正しいものであれば、「わからないから決断できない」という何とも悩ましい状況を脱することができます。
経営の質向上を目指し、より強い財務体質を構築するためには、状況を正しく認識し、改善のための打ち手を日々積み重ねていくしかありません。
一見すると長い道のりに感じられますが、これこそが最短距離の王道なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
あなたは、社長として、会社の未来をつくれていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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