ヒットの基盤「三愛良し」の心得
先日、某消費財メーカー経営者さまからのご相談です。「社内研修でマーケティング的な施策を取り入れてきたが、研修中のモチベーションが続かない、結果なかなか業績につながらない」「社内研修を飛躍のきっかけにすることができない」ということです。弊社では、研修機関の活用方法を含めて、ご相談の根底にある問題についてご説明させていただきました。
成長する営みにおいて自然界に原理原則があるように、ビジネスの場合も原理原則があります。自然界では良き土壌に種を蒔かなければ芽が出ません。ビジネスも良き土壌が必要不可欠です。ビジネスの「土壌」とは、リーダーの「考え方」であり、プロジェクに関わる一人一人の「考え方」と定義しております。
わたくしどもは商品リニューアルを通して、御社の既存商品サービスを復活させヒットに導き、さらに企業体が永続していくための基盤となる仕組みづくりをお手伝いしています。半年間のプログラムで体系をつかむことで、自社で商品リニューアルの仕組みが回せるようになります。半年後、今までぼんやりとしていた商品戦略の弱点をどのように強化してゆけば良いのか、「何をどうやるか」という具体策と動き方がプロジェクトチームの中に生まれそれを淡々とチームで回してゆきます。山を登るがごとく、一町登れば一町の高さあり、二町登れば二町の高さになるがごとく、振り返って一次元高い事業ステージから俯瞰していることを実感できます。
かつてノウハウだけを求め「今すぐにでもこの商品パッケージをリニューアルして勝負したい」ということで、無理を承知の上で商品リニューアルされた経営者さまがいらっしゃいました。「スピードが命」という信条をお持ちで、並々ならぬバイタリティをお持ちでした。しかし、そうしたやり方に辟易していた幹部、現場からの共感が得られず、結果そうしたムードが空回りしました。無理に突破したことで広報視点からもPRに力が入らず、お客さまに伝わらない悪循環でした。社長はその後、考え方を変え、原点に戻って軌道修正を決意されました。
ヒットを導くためには、商品リニューアルの「原点」であり「起点」をしっかりと考えることが大事です。ノウハウの定着はその後です。なぜなら考えたこと=思考によって商品サービスが生まれるからです。考えない限り、商品サービスは生まれません。
わたくしどもでは、商品リニューアルの起点とは「三愛良し」だとお伝えしています。“さんあいよし”と呼んでください。三愛とは3つの愛で「商品愛」「会社愛」「創業者愛」です。自社にこの三つの愛が揃った時、売れなかった商品がグンと売れるようになります。
こうした話をお伝えするとき、8割の経営者さまが“「愛」で売上がアップしたり、業績が上がるならカンタンですよね”と構えシラっとされます。しかし、2割のリーダーは素直に耳を傾け、本気で考え、質問が出始めます。こうしたリーダーの下で自社商品ヒストリー、自社ヒストリー、創業者の人間力を掘り起こし、お客さまから視た魅力、強み、弱点や欠陥を発見することで、プロジェクトチームが変わりはじめます。三つの愛を基盤とした商品リニューアルをすることで、商品リニューアルがいつの間にか「自社革新(SELF-RENEWAL)」につながり、チームの行動量が増えてゆきます。
3愛の視点で見たとき、伸び悩む会社は、三つの愛のどれかが不足している。3愛が揃っていても、全部が少しずつ弱いのです。伸びている会社は3愛が揃っているゆえ、情熱という「熱量」を持っています。お客様はその熱量にほだされ、ファンになりリピートしてくださる良い循環があります。「ほだす」とは漢字で「絆する」と書きます。
では、3愛不足を改善する具体策は何か。「愛情」の反対は「無関心」です。自社商品に、自社に、創業者に「無関心」なのです。目に見えない心の中で「無関心」なのです。なぜ無関心になってしまうか。それはリーダーが「伝えていない」からです。伝えていたとしても伝わっていないのです。伝わっていないから、自社商品を知らない、自社を知らない、そして創業者を知らないから、無関心になってしまうのです。
自社商品サービスへの知識不足、会社や創業者への知識不足が「無関心」へと発展し、「自分ごと」として考えられなくなる。伸びている会社では、いまだに社内レクリエーションを大事にしていたり社内報を作ったりとコミュニケーション努力をしています。つまりリーダーが率先して「三愛良し」の考え方を取り入れて、自社全体への「関心」を高めています。
日々の暮らしの中で、コンビニやスーパー、量販店や百貨店のどこを回っていても、棚には優れた、美しい商品でいっぱいです。お気に入りのネットショップでも、SNSでも好みの良品が画面に現れ目を奪われます。商品過多、情報過多でつねに商品への満腹感があります。
このような時代、わたくしたち生活者が心から求めているのは何か。ストーリー、でしょうか。ストーリーではありません。生活者が求めているのは「ドラマ」です。起承転結のストーリーではなくて「ドラマ」を求めています。ストーリーとドラマの違いは、「摩擦」によって生まれる「熱量」です。挫折や失敗から生まれる葛藤と成長の物語です。
日本には多くの老舗企業があり、今でもロングセラーを生み出す会社があります。これらの会社は「ヒットメーカー」でもあり「チェンジメーカー」です。ヒストリーの中には必ず「逆転復活劇」を盛り上げるための挫折と失敗があります。どん底にあっても、商品愛、会社愛、創業者への愛という「三愛良し」の熱量で、危機を乗り越えてゆきます。
商品リニューアルをするとき、目には見えない部分にこそ「秘宝」が隠されています。仕組み構築に「6ヶ月」とリミットを決めたときから集中するべきこととそれ以外のことが明確になります。仕組みを回すのは「人」です。リーダー自身はもちろんのこと、人が動く原動力は「何」か。原動力の本質は何でしょうか。
「三愛良し」の考え方が商品リニューアルの基盤となり、事業ステージを飛躍させる土台となります。大手企業をはじめインターネットで暴れまわる巨艦企業との市場において、自社が良いポジションを取るためにも、「三つの愛」の視点で自社を再点検してください。
梅雨も終わりに近づき、東京ではセミが鳴き始めています。いよいよ秋の増税が近づいています。厳しい冷え込みを前に、グンと熱量を上げてゆきましょう。商品愛、会社愛、創業者愛を高め、市場を溶かすほどの熱量で仕掛けてゆきましょう!
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