会社の「気」
会社を善くしていくということは、商品サービスをリニューアルすることに他なりません。会社の「いのち」を握っているのは、商品を買ってくださるお客さまです。お客さまは、時代や環境、ときどきの暮らしに合わせて変化変容します。よってお客さまの「欲しいもの」は無意識レベルで変化変容しています。
お客さまは、会社のビジョンや経営理念にお金を出しているのではありません。「商品サービス」にお金を出しています。ゆえに、会社を経営を善くするためには「商品サービス」を磨き上げてゆくことが要請されています。
以上のようなことは、ご自身が生活者として暮らしていれば自然に腑に落ちることです。しかし、ビジネスの現場ではこうした視点が不思議と忘れ去られています。
わたくしが社会に出まして四半世紀、自社他社含めてたくさんの会社と出会いました。個性豊かな経営者と出会い、幹部の方達と出会い、ともに切磋琢磨で商品プロデュースの実務経験を積んできました。
四半世紀には天安門事件、東西ドイツ統一、湾岸戦争、バブル崩壊、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、米国同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災など、大小様々なコントロールできないうねりがあり、わたくしのビジネスにおいても山や谷があり乗り越えてまいりました。
出会った会社、お手伝いした会社の中には、今もなお業績を伸ばしておられ元気の良い会社があります。一方、M&Aなどで様変わりしてしまった会社もあります。厳しくもなお挑戦し続けている会社もあります。小さな企業では、人口大減少のマーケットに合わせて統廃合が進み、カタチを変容させているケースが多いです。
四半世紀、みな同じ外部環境下で、さまざまな有為転変があったはずです。しかし、やはり経営の善い会社とそうでない会社があります。決して外部環境を言い訳にすることができません。
善い会社とそうでない会社、その違いは何か。何でしょうか?
単純です。
「やるか/やらないか」。
できる、できないではなく、「やるか/やらないか」それだけです。
ここまで書いて、若かった頃の力不足を曝け出すことになりキーを打つ手が震えています。情けない過去との対峙です。未熟でクライアントに対して「やる」に導く力が脆弱でした。今でも眠れない夜があります。
そして、このコラムが観念論や精神論や心構え的なものだとすれば、時間の無駄です。どうぞ、顔をお上げになってください。しかし、わたくしは自身の経験を基軸に、実体験、実感、師からの導き、経験を超えた学びを通し、常に「刺激」でなければならない、時にナイフのように尖った言葉で、行動を駆り立てるコラムにしようと覚悟して書いております。行動につながらないのであれば、わたくしのコラムは何の意味もありません。
自社の力を過信し、
自社の商品サービスを「お客さまが思っているよりも大きく」良いと肯定し、結果いつまでも売れない商品サービスとなっているケースが非常に多いのです。それは、赤い数字の意味、そしてその事実を見ないようにしている状態とイコールで、お伝えしても「わかっている」とおっしゃいます。そして「わかっているけど、できない」と開き直られる経営者さまもいます。わたくしは、そうした会社の行く末を見てまいりました。努力は徒労となって、人を蝕みます。だれも豊かにはなりません。こうした状況にYESを出してはならないのです。
ビジネスにおいて商品サービスを「ほめて育てる」は間違った方向です。自社商品の「欠点」を見ないことは会社にとって大きなリスクです。教育の現場では「自己肯定感」「自尊心」がトレンドですが、商品リニューアルにおいては全く逆です。商品サービスに対して「批判的視点」「客観的視点」で「欠点」を見つけ、素直に受容することがリニューアルヒットのスタートラインです。
自社の既存商品が売れなくなっているのは、会社にとっての「病気」です。病は気から、と言います。この「気」とは、経営者が肚で考えたこと。そして、その実践、行動です。社長の「気」を整え、高めることが求められています。
やる。と決める。決めて、やらなければ、何も始まりません。
時代が進化し、お客さまが進化し、さまざまな商品サービスが進化している中「やる」のか「やらない」のか。それを決めるだけです。決める。認める。そして「何のためにやるのか」「何をやるのか」という行動の意味、行動の成果にフォーカスした仕組みづくりへと進んでゆくのです。動き出しましょう!
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