売上停滞時の社長の行動こそが、その後を決定づける!!そこから飛躍するか、元に戻ってしまうのか!?
業務改革推進中企業の E店 店長からの月次報告です
「人事異動で人が入れ替わって、以前には出てこなかった新しいアイデアもでてきています。非効率業務の打ち合わせをやらなくてはと思っています」
この報告を聞いた K社長の顔色がすぐれません
それよりも、毎回指示をしている品切れ件数が、依然として減っていない事が気になっていたからです。
聞くところによると、こだわり商品の欠品が改善されていないとのこと…
「発注ロットが纏まらないと注文できない」こういったことへの対応を我々本部はもっとちゃんとしなくてはだめだ!
この問題が解決できれば、売るべきものがはっきりわかる。チマチマやらずに、本来はそれをもっと売って うちと 納入先の売上利益につなげるべきだ!」とK社長の檄が飛びます。
「我々は価格だけで勝負してるわけじゃない。仕組みで売れるようにしていくことだ、価値あるこだわり商品を伝えることで、ネットで買うよりうちで買った方が安い。
そういう商品が常にわかりやすい場所にあって、その数量が確保されていることが大事なんだ。」とK社長さらに熱がこもります。
こだわりの商品は、どこでも売っているNBとは売り方が異なります。売場のわかりやすさ、品切れしてない、という2つのポイントが加味されてはじめて売上増となる商品カテゴリーです。
もしわかりづらい場所に陳列されていたり、あるいは品切れしていたとすれば、マイナスポイントは2となり、その差は4ポイントという大きな打撃を被るということが、K社長は気にかかっていたのです。
これは対顧客満足度の視点ですが、こうした「品切れ」は人手不足にも深刻な影響を及ぼします。
例えば、Aという商品が品切れしていると、それを買いに来たお客様は、「A商品はありますか?」と尋ねて来られます。
尋ねられた従業員は担当者を探します。
担当者は在庫を探し、(在庫が)ないとわかったらお客様を探して、入荷日を伝えることになります。
ここでは「○○を探す」という行動が3回発生しています。これを実際に計測してみると、この一連の「○○を探す」業務には5分ほどかかっていることが分かっています。
仮に、一日100件の品切れがあって、うち1割にあたる10人のお客様から質問をうけたとすると、5分×10人=50分は「○○を探す」業務に従業員がかかわっていることになります。
たかが5分ですが、品切れ対応の後に担当業務に戻って、その後同じペースやろうとしてもスグに出来ないものです。
なんでもそうですが、業務に集中しているとき電話やメールが入れば、業務が一旦止まるためそのペースは落ちます。
追跡調査で調べていくとわかるのですが、不思議なことに、一度業務が止まって再びやろうとすると、止まった部分のロスタイムだけでなく、結果的に止まった分の5~6倍もの時間がかかっていたことがわかります。
50分×6倍=300分 一日5時間/店です。
貴社の一店舗の 一日の残業時間はこうやって 複雑な変化をして残業時間としてカウントされていきます。
一日5時間ということは 月間150時間 年間1800時間です。本社員約一人分の労働力がかかっていることになります。
「○○を探す」業務は、1円の利益も生みません。品切れ数が多ければ多いほど、この業務は比例して増加します。
これに注目したK社長は、商品部に対し「こだわり商品」のエンド展開を指示し、プロパーの最大陳列量を再設定するよう指示をしました。
同時に、店舗へは、品出し効率の悪い時間帯での品出しを中止としました。
これも追跡調査をしていくとわかることですが、一ケースあたりの品出しを30秒でやる人もいれば、3分以上かかっている人もいるということです。
「どうして、人によってこんなに差がでるのか?」という声が聞こえてきそうですが…
理由は簡単で、作業効率の悪い時間帯(昼や夕方の売上の高い時間)に、品出しをやらせてしまうと作業効率が落ちるからです。
お客さんの少ない時間帯であれば、誰からも声をかけられませんから、1ケースは最短で品出しができます。
しかし、夕方となると、欠品商品が増えるため、それを無理やりだそうとするから、前出のような問い合わせが多発するという悪循環が起ります。
こういったことから、日配品以外は繁忙時間の品出しを中止し、夜間と早朝で一気に品出しをやる方式に置き替えをしたのです。
こうした方法で、営業時間中の「品切れ」を半減化し、業務の遅延は減り、今では、人手不足は、驚くほど解消されています。
売上が伸びていた時はできなかったことも、売上が停滞をしている時だからこそ、出来た取り組みの一つといえます。
こういった利益を生まない業務を整理し、社長の考える理想の業務の流れを実現化させていくことで、やらなくてもいい業務は相当数みつけることができるといえます。
業務改革は、気合や根性論では進みません。大事なことは社長の考えるビジョンを達成させていく、仕組みをつくり解決できる人材をプロジェクトの中で育成していくことです。
多くの企業が こうした「探す」業務の実態をきちんと数値として捉える方法を知らず、経営幹部や現場を納得させ、動かせず悔しい思いをされています。
不要な業務を短時間で抽出し、取りやめていく仕組みがあって、はじめてレイバースケジュールは、高止まりしている販管費率改善に力を発揮します。
不明な業務が増えると「人手不足」感が社内に蔓延していきます。こうして業務内容を明確にしていくコトで、「人の使い方と組織づくり」その仕組み作りが必要なことがみえてきます。
売上が停滞している今、人の活用、組織づくりの上手な社長は、来期以降人員が3割減っても会社を回せる体制づくりを予測し、人員配置を考えています。
大事なことなので繰り返しますが、「人手不足」の罠に陥らないために必要なことは
- 「人手不足」なのかどうか実態をちゃんと把握する方法があること
- 「人の過剰不足」を示すシステム環境をつくり数値が正しくでること
- 「人手不足」を招く不要な業務を抽出しやめてく仕組みがあることの3点です。
さあ、貴社では、まだ「人手不足」の呪縛に捉われ続けますか?
それとも「人手不足」にならない、人の使い方と組織の仕組みを構築していきますか?
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