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社長の先見性は「情報発信」によって磨かれる―現代経営に不可欠な先を読む力を手にするには―

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

「先見性」は、古今東西、経営にとって最も重要な要素のひとつとして語られてきました。

その重要度は、近年益々大きくなっているように見えます。

というのは、世の中の変化のスピードが速くかつ振れが激しいので「先見性」を持って対処しなければ、たちまち時代の流れに置いて行かれるからです。

ところが、世間にはこの流れを無視するどころか、自分の主義主張に合わないと、真っ向から否定にかかる人がいるから不思議です。それが経営者となると、「不思議な人だ・・」と、笑ってばかりもいられません。

「先見性」の欠如がいかに滑稽かつ悲劇的な結末を生むか、ちょっと考えればわかることです。

昔、自動車が出現したとき、これが将来の重要な移動手段や輸送手段になるだろうなどと誰が考えたでしょうか。おそらく、馬車の方が速くて確実なのに、あんなものに頼る奴の気が知れん、くらい思ったのではないでしょうか。初期のべらぼうにコストがかかり、スピードも遅く、運べる量も限られており、しょっちゅう故障するこの厄介な機械が、世の中の物流や移動を支えるインフラになるなどとは誰も思いつきもしなかったでしょう。

インターネットが普及し始めの頃も同様のことが言われました。

私はある中小企業診断士の方が、

「海江田さん、知っていますか。インターネット販売なんて、1000件アクセスがあって1件獲得できればいい方なんですよ。こんな効率の悪いものが普及するわけがない。せいぜい、遊びのレベルで終わりますよ。」・・・

さすがにこの人が中小企業診断士だっただけに、そんな立場の人がこんな発言をするとは私も驚きました。確かに、インターネット販売の成約率は彼の言う通りかも知れません。いや、もっと低い確率かも知れないのです。それでもネット通販は今や巨大な商取引を形成する産業にまで成長しています。それは市場の分母が桁外れに大きな規模になったからです。その将来像が、何となくでも想像できなかったあの中小企業診断士に指導を受けた経営者は気の毒というしかありません。

携帯電話が普及するかどうかのときも、似たような話がありました。

したり顔で

「日本の公衆電話の設置数は、どれくらいあるか知っているのかね。町のどこにいても確実にかけられる電話があるのに、そんなもの(携帯電話)が普及するわけがないじゃないか。」

といった話をする年配のビジネスマンに何人か会ったことを覚えています。

確かに初期の携帯電話はカバーしている地域が限られていたり、音声がクリアでなかったりと欠点欠陥が多かったのも事実です。しかしその後、世界に普及した携帯電話が、人類にとってどんな存在になっていったかは申し上げるまでもありません。

このように、世の中に新しく出現するものには、初めは頼りなく見えたり、使いづらかったり、極めて高額だったりと、一般的に普及するようになるとはとても思えないものも数多くあります。もちろん、その中には本当に一過性のものもあり、何でもかんでも新しいものを受け入れればそれでいい、という話ではありません。

経営者というのは、まさにビジネスの執行者であり、一般の就労者よりは多少大きな責任を負っている立場でもあります。

この、ビジネスに一定の責任を負っている立場の経営者にとって、資質としての「先見性」があるか否かは、極めて重要なテーマでもあるのです。

世の中に流行り始めたもの、みんなが注目しているもの、普及しかけているもの・・・といった中から、「これは単なる一過性で終わるだろう。」「これはやがて成長発展してビジネスのインフラにまでなるだろう。」といった可能性を見分けられるか否かは、その後の事業の行方に大きく影響するからです。

一般的には、

「経営者が「先見性」を持つには、世の中のいろいろな事象を詳しく知る必要がある。その知識をもとに、必要なものとそうでないもの、重要なものとそうでないものを取捨選択する力を磨いていくことになる。」

と、解釈されるのではないでしょうか。

したがって

「経営者が「先見性」を持つにはインプットが大事で、できるだけ多くの知識や情報を吸収し、それをもとに取捨選択する力、即ち「先見性」を身につけていくことになる。」

という順番で考えるのではないかと思います。

もちろんこのようにインプットは大事です。基盤となる知識がなければ、取捨選択を前提とする「先見性」にまで行きつきようがないからです。ただ、知識のインプットが、そのまま「先見性」の獲得にストレートに繋がるか否かは、何とも言えないところがあります。

それは、インプットの後には必ず「判断」という作業が避けられないからです。

知識としてインプットされた情報が、それほど重要ではないのか、或いは将来にわたって重要な事項として残るのか、発展成長の基盤となるのか、といったことを見極めるには、的確な「判断力」が要求されることになります。

ところで、この「判断力」という資質は、単なるインプットという一方通行から生まれるものではありません。何故ならば、それには常に「吟味し思考する」という作業が必要だからです。この「吟味し思考する」という力を磨くにはどうしたらいいでしょうか。

私は、その最も適切な方法論は、アウトプット即ち「情報発信」と考えています。

インプットした膨大な知識や情報を一度咀嚼し、自分なりの感想やそれに対する向き合い方などを整理して、アウトプットするという一連のプロセスは、その知識や情報に的確な判断を下すための最大の近道となります。

私は、常々

「経営者の行なう「情報発信」は、自らのビジネスや専門性から離れたものであってはならない。何かしらそれらとの接点を持ったものである必要性がある。」

と言ってきました。

したがって、上記のアウトプット作業は、常に現在経営者が向き合っている事業との接点を図りながら行なうことになります。そのプロセスの中で、新しい知識や情報の重要性や発展性といったものへの判断力が磨かれるのです。

ここにおいても、情報のインプットとアウトプットは常にペアで捉えるべき、ということの必然性、重要性が理解されるではないかと思います。

一見、何の接点もないように見える「先見性」と「情報発信」との関係。そもそも「情報発信」そのものは、作業であり行動です。それは、何かの目的をもって行われなければ意味のないものといえましょう。

一方、「先見性」は経営にとって極めて重要な資質であり要素です。

「情報発信」が「先見性」の獲得に効果的であるとすれば、この作業を怠るわけにはいきません。

「情報発信」の持つ、こういったいわば効能というものを、さらに信じて実践していけば、それが事業の発展へと繋がることは疑う余地がないのです。 

 

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