今ない市場を予測したい。そう考える企業の本音とは?
「今ない市場が、将来どういう規模になるのか?そして、どんな競合が参入してくるのか?これを予測したい」
ある大企業からの相談です。
当社では、新規開発にあたって、開発すべき方向を示す「羅針盤シート」なるものを作ることをお薦めし、実際にその作成をサポートしています。この大企業は、その評判を聞きつけて、当社に相談に来ました。
ディベロップレス開発法の本を読まれた方は、お分かりだと思いますが、当社が薦める羅針盤シートとは、単独で機能するものではなく、開発の企画構想から開発の実行まで、すべてと一体となって機能するものです。
ところが、将来の市場規模と競合の予測方法のみを知りたいというのが、この企業の依頼でした。いかにも、大企業からの依頼といった内容です。
結論から申し上げますと、すぐにこの依頼は断りました。理由は、そんなことをしても、捕らぬ狸の皮算用になるだけだからです。
今ない市場の将来の予測となると、上手くいけば最大これくらいの市場になるかも?ということは言えても、では、どのくらいになるのか?という本当のところはやってみなければ分かりません。
それを予め予測しようなどというのは、土台無理な話です。それを予測してほしいというのは、いかにも大企業らしい。おそらく、この依頼の本音は、開発するにあたって誰も失敗の責任を取りたくないというものです。開発したのは良いものの、市場が思うように広がらなかったときに、その失敗の原因を予測屋のせいにしたいのです。
もちろん、それなりの精度で予測できることもあります。「かなりの規模の市場ができる」あるいは「小規模な市場にしかならない」と明らかに予測できる場合です。しかも、この場合、競合の参入も予測できます。「かなりの規模の市場ができる」と予測できる場合は、当然、「競合はこぞって参入する」というのが答えになります。逆に「小規模な市場にしかならない」というケースでは、「競合はあまり参入しない」という答えになります。
もうお分かりだと思いますが、こんな答えを出して何になるのでしょうか?そこから得られるのは、「この分野は参入すべきではない」という答えだけです。そこからは、進むべき方向は見えてきません。
予測しようと考える企業が、まず、認識すべきこと。それは、「競合が少なく、かつ規模が大きく、しかも予測可能な未来の市場というものは、存在しない」ということです。
それにもかかわらず、多くの企業がそんな市場を予測しようとします。誤解を恐れずに申し上げれば、多くの企業の開発の現場で起こっていることは、未来が予測できないから進めない(開発に取り組めない)のではなく、未来を予測しようとするから進めなくなっているのです。
所詮、未来の予測など完璧にはできないのです。もし、できたとしたら、それは、競合にもできている、と考えるべきです。しかも、力のある企業ほど、できているということになります。最初から、し烈な競争になるのは確実で、少なくとも経営資源の限られる企業は、そういった市場には、参入すべきではないのです。
そうではなく、参入すべきは、まだどうなるかわからない、市場を読み切れない、混沌とした市場です。そして、そういった混沌の中で、進むべき方向を照らし指し示すのが羅針盤シートです。羅針盤シートは、単なる予測とは次元が違うものです。
予測できない中で、どうするか?
まさに、その方法こそが重要なのです。
御社では、未来が予測できないから進めないと思っていませんか?
予測できないからこそ、進む価値があります。
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