ぐんぐん儲かるひとつ上の商品リニューアル
中小企業経営にとって社運を操る大切な要素は何か。ズバリ「言葉」です。経営者の言葉こそが吉凶の源です。
前回のコラム「ビジネスを成功させる聴覚的思考法」をお読みになった方よりご質問がありました。前コラムの主旨は「可視化できる商品サービスは“目に見えない基盤”に支えられていて、商品リニューアルは全体を仕組み化する必要がある」といったことをお伝えしました。
これに対してご質問者は、目に見えない基盤部分の「理念やビジョンをカタチにし表現することは非常にむずかしい。例えばそれを言葉にしたとしても、実際には伝わらないし実利には結びつかないのではないか」。「夢、理念、想い」といったものは言葉にして伝えることが難しいとおっしゃるのです。
この方は最近新規事業を立ち上げたばかりの経営者です。あるコンサルタント的な先生から指導をうけていて、ビジネスフレームワークを活用して「新規事業計画」の書き方を教えていただいているそうです。先生から強く言われていることは「事業計画書の完成」だそうです。そのための「可視化」や「具体性」が求められ、目に見えない理念については、必要性は理解しているがフォーカスして考えたことがない、ということです。
フレームワークとは企画書形式の「枠組み」であり、先人が残してきた知財として70〜80種ほどが公開されています。だれもが活用できる知財であり、よく知られているところでは市場分析の「SWOT分析」、顧客分析の「ペルソナ」、アイデア発想では「オズボーンのチェックリスト」などが有名です。フレームワークには「問題解決」「市場分析」「アイデア発想」「戦略立案」「業務改善」「組織マネンジメント」「情報共有」といった方向性があり、学生や新入社員研修などで触れる機会が多いでしょう。
こうした研修やワークショップは、経営者が勉強することで頭の中にある問題や課題を整理することができる点で有益かもしれません。この時に忘れてはいけないことが一つあります。書き上げることや書くことが目的になっている研修と、商売としての実ビジネスはまったく次元が異なる、という認識です。経営者は皮膚感覚として理解しているはずですが、実際には第三者である先生から対面型の指導が入ると、ご自身のコンディションによっては強い影響を受け、分けて考えることができなくなってしまいます。非常にもったいないことです。
ご相談者との面談では、まずはそう前置きして一旦勉強したことをリセットしていただくようお願いしました。その上で、そもそもなぜその事業を立ち上げたのか、という原点に回帰してお話をうかがいました。結果的には自社にポテンシャルの高い商品サービスをお持ちであり、手つかずに眠っていることに気づかれました。ビジネスの入口設定を調えることで晴れやかな表情になられ、ご自身の想いを込めた力強い言葉が出るようになりました。考えを深めた後、フレームワークを再度俯瞰されました。
わたくしたちはだれしもが必ず「宝」を秘めています。企業体も同じです。どんな会社にも必ず宝が眠っています。これはわたくしの強い信念であり、四半世紀の商品プロデュースの現場で得た強い実感で揺らぐことはありません。ビジネスの現場では「強み」という言葉で表現されますが、わたくしの商品リニューアルはいわばこの「宝さがし」がすべての起点となります。
事業計画書作成時も自社の「強み」や「弱み」を書かせるかと思いますが、こうした研修においては書くこと、書き上がることにフォーカスされているゆえ「考える」より先に「手を動かす」ことを優先します。じっくりと考える前に、経営者が「考えたつもり」になってしまい本質的には思考停止状態になることが残念です。
弊社のコンサルティングでは商品リニューアルを切り口とした「変化戦略」を仕組み化するお手伝いをしています。商品デザイン、ネーミングからはじまってリニューアルした商品戦略に合わせて、マーチャンダイジング、セールスプロモーション、広報等々がリニューアルされ、今までバラバラに在ったものが一体化して本質的にビジネスが動き出します。この時、業績が上がる企業には共通した「兆し」があります。経営者の「言葉」が変わるのです。これは筆舌に尽くせない変化で肌で感じます。経営者ご自身の言葉が変わったとき、すでに表情も変わり、結果的に組織がガラッと変化します。
いついかなる時も商品リニューアルにおいては「考える」ことが先です。思考が先でなければ、どんな施策があっても結果を出すことができません。では、なぜ結果が出ないのか。
その理由は、考えていない経営者の「言葉」は貧しいからです。言葉が貧しくなってしまえば、受け手には「違和感」や「感じが良くない」といったマイナスの印象を与えるからです。商品リニューアルの仕組みを加速させるのは経営者ご自身が発する「言葉」なのです。そして「言葉」とは何か。そこに気づかれた時、すべてが美しく調って良き方向に滑り出します。これは事業計画書を作って完成させるといったワークとは、まったく次元が異なる話であって、こうした研修と実ビジネスは割り切って分けて考えることが求められています。
中小企業経営では「社長の言葉」次第であり、経営者の良い言葉こそが良いアクションを導き、良い結果をもたらします。思考こそが言葉の「母」。何においてもまず「思考」が先です。
社長の夢や理念、ビジョンを言葉に表現することができてますでしょうか?
より良い言葉としてブラッシュアップできてますでしょうか?
日頃発する言葉、メール文書から社内報、リリース、販促ツール、Webサイト、SNSまで、すべての言葉を同等に位置づけて向かいあっておられますでしょうか?
古来、言葉には霊力が宿っていると考えられ「言霊」と呼ばれています。わたくしどもも言葉に「神様」が宿っていると定義し、弊社オリジナルで「言神様(ことがみさま)」と命名しております。
事業の発展と商売繁昌を願う経営者はどなたも信心深いものです。敷地や社内に神様を祀っておられ、定期的に参詣されているはずです。しかし、足元にあって身近な「言神様」については不思議なほど無関心です。言神様の素晴らしさは、経営者ご自身に宿っていること、そしてご自身が創造でき、吉凶をコントロールできる唯一の神様なのです。商売繁昌の神様は経営者の「言葉」に宿っています。考えることを放棄してはなりません。信心の本質は、ご自身に宿る「言葉」を大切にすることから始まります。商売繁昌は「商品リニューアルの仕組み」と「社長の言葉」のワンセット。今この瞬間より、社長に宿る「言神様」を意識しましょう。
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