社長の本気が問われる 社員のやる気を引き出すための重要施策
社員にやる気を持ってもらうためには、仕事の結果を適正に評価して、給料アップやボーナスなどの「経済的報酬」や、昇進や昇格などで評価すれば十分であると思っていませんか。
先日のある企業との打ち合わせの中で伺ったのですが、「緊急の業務が入ってしまうことが多々あり、それを部内のエース的立場の優秀な人間にお願いしてしまっている。そのため、いつも同じ社員にばかり負担がかかってしまっている。」とのこと。
このような場合、仕事ぶりは十分に評価して、それに見合う金銭的な報酬を支払っているので問題ないと考えてしまうのは間違いです。評価や賞罰などは、本人以外に外からの要因でやる気を出すというもので、「外発的動機づけ」と言われています。
確かに、きちんと評価され、それがお金として手に入るのであれば、嬉しいし、その分、また頑張ろうという気持ちになります。ですが、このような「外発的動機づけ」は一時的なものに過ぎないとも言われています。
もっと高い報酬を得たい、憧れの部署に異動したいなど、「もっともっと上を」という気持ちになるため、満たされる条件がどんどん高くなってしまいます。そのため、一旦、十分な見返りがもらえなかったと感じると、やる気は消失し、逆に不平や不満が表出することにもなりかねません。
罰則制度は言うまでもありません。社員のやる気をそぐだけだはなく、社長が、会社が、「自分たちは罰則規定を作らなければきちんと仕事をしないと思っているんだ」という意識を社員に与えてしまうことになり、信頼関係に大きなヒビが入ってしまうリスクを伴います。
安易に罰則制度を導入することは、社員を委縮させることになり、イキイキ働く職場環境とは逆行します。また罰を受けない様にこっそりと上手やるにはどうしたらよいか?ということに頭を使う社員を生みだしてしまうなど、そのデメリットは計り知れません。
このような「外発的動機づけ」に限界があるのならば、どうすればよいのか。
「内発的動機づけ」を活用すればよいのです。
「内発的動機づけ」をサポートする対話を定期的に行う
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「内発的動機づけ」とは、自身の内面から沸き起こった興味や関心が要因となって動機づけられていることを指します。
例えば、
「自分はこの仕事で能力を発揮できている。」
「この職場で認められ、必要とされている。」
「この仕事を通じて、お客様に貢献できている」
などを実感している時などがそれに当たります。
仕事を通じて自らの成長と貢献を実感できていること、そして目の前にある仕事に対して自分なりの意味付けが出来ていることが大変重要となります。
仕事への意味付けをするとは、「この仕事は今の自分にとって、こんな意味がある。仕事を通じて得たスキルと経験は、今後、自分のキャリアだけではなく、日常生活にもふんだんに活かせる。」などと、その仕事をする意味を見つけ、自分なりに納得しているということです。
「内発的動機づけ」が上手な人は、失敗した時であっても「この経験は、次に活かせる。同じことが起きないように、しっかりと社内でも共有しよう。」なとど、上手く捉えなおすことができます。
何といっても、自分で自分のやる気を生み出すのですから、限界がありません。
ですが、すべての人が上手く自分を動機づけることが出来ないのも事実です。特に若手社員で、自ら望んだ仕事につけなかった場合などは投げやりになって、すぐに会社を辞めようと短絡的に考えてしまう方もいるくらいです。
そのためには、仕事の意味付けをサポートしたり、個々人を認め、褒めて成長を見守る上司からの声かけや対話が必要なのです。これは、ただ単に「頑張れ、期待しているぞ。」と一方的に言うことではありません。
部下のやる気を引き出し、イキイキと仕事に取り組んでもらうよう促す「対話」を定期的に行うのです。業務の進捗状況の確認や、仕事上の指示アドバイスではなく、部下の「やる気」つまり、心に働きかける対話を行うのです。
このような「対話」を地道に実践、継続することで、自らのやる気をコントロールし、自分で決めた意味付け、目標、目的のために、自ら考え行動できる自律した社員が生まれるのです。
対話の内容ややり方、効果を正しく知らずに、「対話ならすでにやっている。」「対話するだけで社員が自発的に行動できるとは思えない」などとタカをくくっている企業にはお勧めしておりません。社員のやる気を引き出す施策を、経営者が本気で「やる気」にならなければ、まったくもって意味がないからです。
ただし、本気で社員育成に取り組む企業のみが、令和時代も持続的に成長していくことを忘れてはいけません。
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