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AI導入を成功させるポイント

SPECIAL

業務自動化コンサルタント

株式会社みらいアーチ・コンサルティング

代表取締役 

IT・業務設計を含めた経営的な観点から施策・戦略を自動的、且つ継続的に推進させる「業務自動化」の第一人者。「業務自動化」をITツールの側面からだけでなく、10年以上にわたり30社以上への経営コンサルティング経験から編み出した、大きく生産性を向上させる「仕組み」として組織にインストールし、定着させていくことで定評。

AI導入と通常のシステム導入の違い

先日、AI導入のためのエンジニア派遣やコンサルティングを行っている会社の方と話をしていて、「AI導入を成功させるためには、会社の中に「仕組み」を持っていることが必要ですよね」という話になりました。 

そうなんです。中小企業や中堅企業がAI導入を成功させる大切なポイントがこの「仕組み」を持っていることなのです。

どのような「仕組み」が必要なのかを考える前に、AI導入のプロセスに少し触れてみたいと思います。AI導入のプロセスは、大まかに6つに分けることができます。 

[1. 要件定義対象領域とAIの活用方法の明確化

[2. PoC (注)試作品を作成し、本格的な開発に進むかの検証・意思決定

[3. 設計]  AIの基盤設計、AIのアプリケーション設計

[4. 構築]  AIの基盤構築、AIの精度検証

[5. テスト受入テスト、システムテスト、総合テスト

[6. 運用導入後のAIモデルの精度監視・評価、再学習

 

実はこの6つのプロセス、通常のシステム導入のプロセスと項目としては、ほとんど違いがありません。しかし、2つのプロセスにおいて、通常のシステム導入とAI導入において、導入プロセスのマネジメントという観点で大きな違いがあります。

まず、「2. PoC」から「5. テスト」までは、プロセスをマネジメントするという観点では、AI導入だからといって特異なものではありません。

確かに、これらのプロセスにおける、プログラム言語や実装していく際の手法は、他のシステム導入と異なります。しかし、プログラム言語が異なるのは、導入するシステムが変われば、必ず起こることです。ですから、AI導入と通常のシステム導入のプロセスのマネジメントにおける、根本的な差異にはならないのです。 

他方、AI導入と通常のシステム導入で根本的な差異が発生するプロセスは、「1. 要件定義」と「6. 運用」です。 

通常のシステム導入の場合の「1. 要件定義」とは、自社の業務工程とシステムの持っている標準機能との間で差異があるのかを検証し、差異があればカスタマイズをする要件を洗い出すことです。

一方で、現時点において、AIには確固とした標準機能というものがあまりありません。そうすると、AI導入における「1. 要件定義」では、通常のシステム導入のように、自社の業務工程と標準機能との差異を分析するという手法は適用できません。 

また、「6. 運用」に関しては、AI導入においては、モデルが出来上がって、運用を開始してからも精度の検証や再学習が必要となります。そのため、AI導入後も、必要に応じて外部パートナーを活用する等、主体的に運用をマネジメントする度合いが、比較的大きくなります。

 

AI導入に必要な「仕組み」

以上のことを踏まえて、中小企業や中堅企業におけるAI導入成功に必要な「仕組み」について考えてみましょう。

まず、「1. 要件定義」という観点では、AIで何ができるのかということを理解し、AIを活用してどのように組織を変革したいのかというビジョンを持っている人材が絶対的に必要になります。理想的には、社長が、AI導入に対するビジョンを持っていることが望ましいです。 

社長でない場合には、予算感を把握し、費用対効果を踏まえて、AIの必要性やAIができることを社長に納得感のある説明をできる人材がいるということが求められます。 

次に、AI導入のビジョンや具体的な要件に従い、「2. PoC」から「6. 運用」までのプロセスを、マネジメントしていく「仕組み」が必要となります。当然、この「仕組み」が、費用対効果を踏まえて、外部パートナー活用の意思決定をするための判断材料を提供することも必要となります。また、より主体的に「6. 運用」のマネジメントも行っていかなくてはなりません。

弊社においても、業務自動化を推進するときに「自動化推進室」を組織することを推奨しているのが、正にこの「仕組み」を組織にインストールすることを目的としています。「自動化推進室」のような機能があることにより、「6. 運用」段階のマネジメントをより効率的に行えるだけでなく、最初のAI導入の知見を活かしてさらなる改善へと一歩一歩階段を上がっていくことが可能となるのです。

AI導入の際には、是非、このような仕組みづくりを検討することを強くお勧めします。

 

注: PoC: Proof of Conceptの略

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