会社を残すために必要な○○の読み方
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。当社では、財務上級者の方も、財務初心者の方も、同じようにダイヤモンド財務化のステップを一緒に進めていくのですが、そんな中でいつも感じることがあります。
それは、ほとんどの社長さんは「貸借対照表(BS)を見ていない」という事実です。イマイチピンとこないという方もいらっしゃるかと思いますが、貸借対照表(BS)を「ただ眺めて終わっている」「中身を理解していない」、「自社の経営判断に落とし込めていない」といったところでしょうか。
例えば、創業して間もない起業家であれば「経営するステージ」よりもっと前の段階、つまり「事業を興すステージ」にあります。まずはお客様を獲得することが最優先になってきますし、貸借対照表(BS)自体もほぼカラッポなので、貸借対照表(BS)を読む以前の問題です。
ですが、少なくとも社歴が10年以上ある会社で、社長が「自分の会社の貸借対照表(BS)の見方がわからない」というのは、致命的です。特に社歴が30年以上あるような会社であれば、貸借対照表(BS)には、創業時から積み重ねてきている歴史とともに、その会社らしさが数字に表れてきます。
したがって、社長はその点を理解した上で、意図して貸借対照表(BS)を磨き上げるという視点を持たなければならないのです。
損益計算書(PL)に関して言えば、足し算と引き算だけなので、多くの社長にとって理解に苦しむようなものではないかもしれません。特に、事業が一つだけという場合や、在庫・固定資産などがないビジネスであれば、大変シンプルな構造になります。
ですが、貸借対照表(BS)になると、とたんに苦手意識からなのか多くの経営者が敬遠しだすのです。それは「貸借対照表(BS)の見方を教えてくれる身近な存在がいない」にも共通するのかもしれません。ですが、金融機関の融資担当者やプロの職業会計人などは、損益計算書(PL)よりも貸借対照表(BS)を入念にチェックします。それは、一体なぜなのでしょうか?
答えは、損益計算書(PL)はごまかせても、貸借対照表(BS)はウソをつけないからです。
会社のお金のことがわからない、数字のことが苦手…という社長の会社の決算書を見ると「仮払金」「仮受金」などがズラリ並んでいるものです。「仮払金」や「仮受金」の額があまりにも多いと「この会社の社長はきっとお金にルーズなんだろうな」と憶測されてしまいます。
あるいは、会社の決算書に「役員貸付金」があれば、「この会社の社長は、生活資金に困っているのかな」「会社の資金を個人資金に流用しているのでは」と思われるのは必然です。これは、ほんの一例にすぎませんが、あなたの会社はどうでしょうか?
自分の会社の貸借対照表(BS)がどうなっていて、それが第三者にどのようにみられているのかを考えたことはありますか。大切なことは、自分の会社の貸借対照表(BS)の現状を正しく認識した上で、将来に向かってどんな貸借対照表(BS)を目指すべきなのかを数字で具体的に考えることなのです。その上で、貸借対照表(BS)を使いこなすことこそが、売上も借金も増やすことなく資金を増やすための第一歩です。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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