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思い込みと非常識、「言」と「行」が自社採用で一致しているか?

SPECIAL

印象マネジメント「プライムイメージ」コンサルタント

株式会社プライムイメージ

代表取締役 

印象マネジメント「プライムイメージ」のスペシャリスト。
 社長個人はじめ、企業や事業部門を対象に、高度な印象マネジメント戦略を指導する専門コンサルタントとして活躍。主に、商品や物体、空間…を対象に行われるブランド戦略に対して、人物や服装、表情、所作…などに対しての、顧客が感じる印象に焦点を当てた、戦略的な施策指導を行うのが特徴。企業の業績向上に多大な貢献をしている。

新年度がスタートして早1カ月。4月は入学の祝辞や入学式の装いへの提言など、大学関係者からの言葉が話題となっていました。とくに印象に残り、考えさせられたのが、大学入学式の「黒のスーツ」についてです。

今の時代、就職活動で着ているスーツは、ほぼ100%が<黒>。これは数年前から就活生と接する機会のある方々から聞いていることです。この「黒のスーツ」が、今では大学の入学式にまで広がっているということです。

入学式は、“ハレ”の場であり、選ばれた人として気分的にも華やいでいるはずです。企業面接であれば、社会人としての意識の表れとして、同一化すべく同じような服装を選ぶというのは、個人的に思う良し悪しは別にして、理解できることではあります。それに対して、大学が指定しているわけでもないのに制服のように新入生がみんな<黒>を選んで着てくることに不思議な感覚になります。

実際に、今年はグローバル系として知られる大学の入学式を見る機会がありました。ここは多様性を認める校風で知られていますが、やはり多くの新入生が「黒のスーツ」を着用。そのなかでも少数ではありますが、白系やベージュ系のスーツ、鮮やかな色のワンピース、民族衣装が見られたのは、他大学ではほぼない光景でしょう。

後日、偶然にも、新聞記事でその大学の学生部長の方の投稿記事「リクルートスーツ 黒一色 思考停止への道」というコラムを目にしました。

 その内容は、以下のようなことでした。

 「昨今は、大学入学時にまで就活に向けた『服装操作』が浸透している。」

「このリクルートスーツの始まりは、『自分の将来を決める時に何をきていいのか わからない学生のために、生協と百貨店が協働したのがリクルートスーツの始まりという~」

「リクルートスーツの画一化は生産者側の都合なのに、企業も学生も、あたかもそれが礼儀や人格と結びついているかのように思い込んでいるとしたら滑稽である。」

ーーといった内容でした。

就活用スーツを見ると、<黒>を着るのが礼儀である、それを着ない人が非常識、という学生の思い込みが感じられます。学生ばかりでなく、採用する側の企業にもそのような風潮があるようにも感じます。

しかし、世界的に見れば、日本のお祝いの席に<黒>を着るほうが一般的ではありません。ビジネスで海外へ行く方へは、欧米では<黒>は喪に服す色、とされているため、敢えて<黒>のスーツを着ることは控えるようにしましょう、と言っています。そのため、日常的にも社長やトップの方々には、<黒>のスーツをおすすめすることはありません。(どうしても<黒>というこだわりのある方には、敢えて言いませんが……)

ここで気付いてほしいのは、<黒>を着ないから、常識がないというのは、間違い。採用関連(もしくは面接経験)の仕事をしたことがある方々に、この「黒のスーツ」の話しをすると、ほぼ全員から、「みんな同じ服装であること」に対する違和感と否定的なコメントが出てきます。

その一方で、実際に<黒>でないスーツの学生が面接に来た場合、それを受け入れられているか?―――と考えてみてください。「個性的だ」「派手だ」という発想や、はたまた「きちんとしていない」といった思いが少しも出てこないと言い切れるでしょうか?

日本の就職活動での「黒のスーツ」は、そうそう簡単に変わるものではないでしょう。でも、<黒>を着ていないからダメだ、というネガティブな発想は、このほうが間違いであることを知っておかなければいけません。

さて、御社の社員を面接するとき、「柔軟性のある人材」「独立心がある人材」と言いながら、<黒>を着ていると安心していませんか? <黒>を着ることを選ぶのは本人次第ですが、<黒>を着ていないからといって、礼儀や人格の良し悪しにつながるわけではありません

それをくれぐれもお忘れなく。

 

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