社長に必要なのは決算書を○○○○○能力
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。特に、当社は「同族会社専門」ということもあって、2代目社長さんや3代目社長さんなどの後継社長さんや、ご自身で会社を創業なさったオーナー社長さんも数多くお見えになられます。
そんなこともあって、ご相談の内容も実に様々なのですが、自分の会社のお金の流れを数字で具体的に理解できず困っている…そんな社長さんが数多くいらっしゃいます。特に、2代目社長・3代目社長さんほどその傾向が強いのですが、それには、どうしてもそうならざるを得ない理由があります。
2代目社長・3代目社長などの後継社長さんの場合は、最初からたくさんの資産や負債・従業員や取引先など一手に引き継ぐことになります。既に、事業基盤が確立しています。往々にして個々の取引金額が大きくなっているため、なかなかイメージがわきにくいものです。
事業規模や、取引金額が大きくなればなるほど、ますます会社のお金の流れがわかりにくくなっていく…これは当たり前の話です。そこで重要になってくるのが、社長自身が自社の決算書の内容を正しく理解して、将来に向かっての次の一手を打つための経営判断の基軸として「決算書を使いこなす能力を身につける」ということなのです。
よく「自分の会社の決算書がよく分からない」「月次決算の数字をみてもピンとこない」「経理や税理士の説明を聞いても、イマイチ実感が持てない」というご相談を受けますが、それは、そもそも社長自身に「決算書を使いこなす能力」が備わっていないことが原因です。
中には、経理や会計事務所側に問題があって、会計処理が間違っていたり、本当に必要な情報が社長に届くような体制ができていなかったりすることがあります。しかし、そのようなケースであっても、その見極めをするための基礎として、社長自身が決算書を使いこなすための能力がなければ、問題の根本原因を特定することはできないのです。
あくまでも、世間一般で公開されている情報は「決算書をつくる人向け」や「決算書を読む人向け」のものであって、真に社長が身につけるべき「決算書を使いこなす能力」とは視点が大きく異なるものなのです。その大前提を知った上で情報を集めたり、勉強をしたりしないと、いつまで経っても成果が出ず、ただ単に使えない予備知識ばかりが増えていくことになるのです。
最短最速で成果を掴みたいと願うのであれば、社長が身につけるべきなのは、あくまでも「決算書を使いこなす能力」です。「決算書をつくる能力」でもなければ「決算書を読む能力」でもありません。自分の会社の決算書を読みこなし、将来に向かってどのような次の一手を打とうか…これを具体的に判断するための基軸として、「決算書を使いこなす」のです。
逆に、この決算書を使いこなす能力を持たないまま社長業を担っているのであれば、大変厳しいもののたとえになりますが、「目隠し運転で、高速道路を走る」「コンパスを持たないまま、航海に出る」「コックピットの計測器がない飛行機でフライトする」ような状態なのです。
そして、その現実に気付けるのは、たった一人「社長」だけです。誤解を恐れずに言えば、社長がその事実に気付けるかどうかで、強く永く続く会社になるか、会社を潰してしまうかが決まるのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。