うちにはいくらあれば大丈夫?
「うちには現金がどれくらいあれば大丈夫なんでしょうか?」店舗ビジネス経営者の方々がよく口にされる質問の一つです。これには当然ながら一つの答えはなく、会社によって違ってきます。
この質問に対しては通常、「手元流動性」や「手元流動性比率」を使って説明をします。「手元流動性」は現預金や有価証券を表し、「手元流動性比率」は「手元流動性」を平均月商で割ったものとなります。大雑把にいえば、すぐに使えるお金が月商の何か月分あるのかを見る指標です。一般的には大企業で1ヶ月、中小企業で1.5ヶ月以上確保できていれば、安全性に大きな問題はないと言われています。
考えやすいように個人に例えてみれば、「月給の何か月分を貯金として持っているのか」となります。もし仕事を失った場合、とりあえず1ヶ月は生活ができるということですね。企業でも、万が一トラブルがあった場合の緩衝材として、最低でも月商の1ヶ月分は持っておく必要はあるでしょう。
ただし、中小企業に関して言えば1ヶ月では心もとなく、3ヶ月分以上あったほうが無難と言えます。大企業ならともかく、中小、特に店舗ビジネスを行う小さな会社では、イレギュラーな事故(たとえ些細なものでも)が起これば、すぐに現預金は吹っ飛んでしまいます。
設備の故障や原材料の高騰、取引先の倒産、施術ミスや食中毒でお客様に対する賠償が発生した場合など…もちろん度々起こるようなことではありませんが、状況によっては一発で倒産ということにもなりかねません。
しかしながら、これまで様々な会社と関わらせていただいた経験から申し上げれば、十分な現預金を持った会社は一握りしかないのが現実です。特に店舗ビジネスでは、現金商売のところが多く、日々売上から現金が入ってくるため、何となく経営ができてしまうのです。
「今、何とかなっている」ということから危機感が薄れてしまい、手元資金としての現金をプールしない、あるいはその逆で運転資金や店舗設備資金の無計画な借入をしてしまい、その返済で首が回らなくなるといった状態の会社が少なくありません。
店舗ビジネスに限らず、会社経営に「お金」は必須のものです。お金が無くなれば会社は倒産します。何となくやれているのは単なるラッキーです。ラッキーは絶対に長続きしません。先のことはだれにもわかりませんが、わからないからこそ備えることが大事です。
お金の貯めすぎは良くありませんが、中小企業で貯めすぎているところはほぼないでしょう。資金の余裕はそれだけで気持ちの余裕につながります。気持ちの余裕は視野を広げ、判断ミスを防ぎます。しっかりと頭に入れておきましょう。
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