絶対にやってはいけない節税対策
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが、2代目社長さんや3代目社長さんなどの後継社長さんから寄せられます。
「ユメリアコンサルティング株式会社」の社名の通り、同族社長の事業を通じた夢実現(Yume Realize)の支援を当社の経営理念に掲げているのは、あくまでも財務(お金)は「夢を実現するツール」だからです。
「高級外車に乗るのが夢」と言われてしまえば、どうぞお好きに購入されては?としか言いようがないのですが、より豊かに成長発展していく会社づくりを目指すのであれば、一歩立ち止まって考えていただきたいところです。
お金を使う節税対策は「手元資金が会社から出ていく」もので、手元資金が潤沢にあるということが大前提になります。そして実際の節税額というのも、ほとんどの場合「数字のトリック」を使ってセールスマンが説明をしていますから、実際のキャッシュアウトに比べて、思ったよりも節税になっていない…というのがほとんどです。
ましてや、銀行借入がある資金不足の状態で「お金を使う節税対策」をすることは、自分で自分の首をしめることになります。財務状態が脆弱な段階でお金を使う節税対策をすること自体が命取りになるのです。
貴重な事業資金を社長の道楽に使っていて、銀行が良い顔をするわけありません。公私混同の経営判断をしている社長を、銀行は厳しい目で見ます。会社の「事業」に対してお金を貸していますし、「貸したお金がちゃんと返ってくるか?」を最も重視しています。
1円も利益を生まない資産に多額の事業資金を投下していたとしたら、経営者としての資質を疑われていることに気付かなければならないのです。
それに、従業員からみれば「会社のお金で贅沢するなんてありえない!」「そんな買い物するなら、給料をもっと上げてよ!」と思うはずです。「節税になるから」という目先の損得だけに惑わされた経営判断をすると、後々、節税効果以上の大切なものを失うことになるのです。
お金を使う節税対策は、銀行借り入れが全くない状態、あるいは手元資金が潤沢にある場合以外、絶対にやってはいけない選択肢です。ところが「節税したい!」という想いが強くなってくると盲目的になり、節税対策ありきで経営判断をするようになります。
私は、20年近く300人以上の社長さんと関わってきましたが「どうしても税金払いたくない!」「〇〇して節税!」と突っ走ってしまい、後々後悔したり、苦労したりしている社長さんを数多く見てきました。
社長という立場にいると、車の営業マン、保険やオペレーティングリースなどのセールスをする営業マン、分社化や法人設立・組織再編を進めてくる税理士など、「節税になるから」と甘い言葉をかけてきます。本当の意味で自社にとって役立つものなのか、社長自身が正しく見極めなければなりませんし、そのためにも「財務思考」を正しく身につける必要があるのです。
業績の乱高下が激しい会社が「長期間続く節税対策」に手を出してしまうと、多くの場合は、周りのセールスマンだけが得をして会社が苦しむことになります。そして、すべての結果責任は「社長」だけが背負うのです。
もし、あなたが強く永く続く会社づくりがしたいと願うのであれば、すべての経営判断について、財務の視点から「自社の経営の質向上に役立っているか?」を考えられるようになることが最も重要なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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