数字に強い社長でも○○がないと見えないもの
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。
「事業は順調なはずなのに、なぜかお金が残らない」「金融機関との付きあい方で失敗したくない」「株式や不動産などの相続対策でモメたくない」といったある程度明確なお悩みもあれば、一方で「経営判断の基軸がないから、決断できなくて困っている」「自分の会社のお金の流れがイマイチ理解できない」「将来に向かっての経営判断に確信を持ちたい」といった少し抽象度の高いお悩みも寄せられます。「目隠し運転で、高速道路を走るような感覚」「計測器のないコックピットで、フライトするような気分」「コンパスを持たずに、航海にでるような感じ」といった方がわかりやすいかもしれません。
ですが、従業員さんの立場にある方にこのようなイメージのお話をしても「何のこと?」といった感じになります。会社経営にまつわる漠然としたお金の悩みというのは、会社経営という重責を担っている社長さん、特に、最初からたくさんの資産や負債、社員や取引先を背負っての船出を余儀なくされる2代目・3代目などの後継社長さんでなければわからない、深くて重い悩みだからです。
当社では、その深くて重いお悩みを解決するためのお手伝いを全国各地でしているのですが、そのような社長には、ある共通点があります。
それは、そもそもの前提となる「財務思考」が正しく身についていないということです。これは逆を返せば、社長自身に「財務思考」が正しく身につけば、このようなお悩みはアッという間に解決するということの表れです。それに「財務思考」が正しく身につけば、特に「数字に弱い」と感じている社長ほど、自社の経営を飛躍的に良くしていくための起爆剤になります。
ここでいう「財務思考」とは「会社と社長にお金を残す」ための考え方であり、お金を「増やす」「守る」「引き出す」思考のことを言います。これは、決算書が読めればいいというレベルの話でもなければ、経理や会計の勉強をすれば良いという話でもありません。
よく「数字に強い」イコール「財務がわかる」と勘違いされている社長もいますが、それは、大きな間違いです。「財務」はあくまでも考え方の原理原則であって、数字に強いとは、全く別のものであるということに気付かなければなりません。
「自分は数字に強い」と思っている社長ほど、実際のところは見えない落とし穴に陥っていたりします。大切なことなのであえて申し上げますが、財務は、あくまでも「社長のための実務」です。特に、同族会社の社長こそ、会社と自分自身を守るために絶対に身につけておかなければならない実務なのです。
「こんなに早く解決するんだったら、もっと早く相談していればよかった」というお声が、当社にいらっしゃる社長さん方から出てきます。それぐらいに「財務思考」がある社長と「財務思考」がない社長とでは「見える世界」が大きく異なってくるのです。
逆に、社長自身に「財務思考」がなければ、どんなに大量の数字情報をエクセルで一生懸命集計しても、どんなにカッコイイグラフやデータの資料を作成しても、全くもって使い物になりません。
社長自身に「財務思考」が正しく身につけば、最低限の労力で、早く正確な経営判断を、あたかも息を吸って吐くように下すことができるようになるのです。そうなれば、必然的に「数字」に対する抵抗感もなくなっていくのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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