専門性が高まれば高まるほど、求められる人財とは?
自動車業界において、ソフトウェア企業の数がハード企業を上回ったという報道がありました。至極当然の流れで、今後もこの傾向は加速することでしょう。
誤解しないでほしいのは、もはやハードは要らなくなるとか、そういうことを言いたいのではありません。ハードは必要です。そればかりか、必要なハードは、今後ますます高度化して専門性を増し、なおかつ、多岐にわたるようになります。同様に、必要なソフトも、どんどん専門性を増していくと同時に、細分化されていきます。
重要なことは、ハードでもソフトでも、必要な要素はどんどん専門性を増すとともに、数を増やしていくということです。そして、この流れは、自動車に限らず、あらゆる業界、あらゆる商品で今後起こっていきます。
一方で、商品の値段は、増え続ける専門要素の数ほど、大きくは上がりません。ということは、一つ一つの専門家、専門企業が得る収益は、減少していくことになります。
このような時代の変化に対して、我々は、どのように対処したら良いのでしょうか?
まず、言えることは、次の二つです。
- すべてを自社でやろうとしてはいけない
- 一つのことを極めるだけではいけない
一つ一つの専門度が極めて高くなっていくので、すべてを自社でやろうとしても、とてもできません。すべてをやろうとすれば、とんでもない数の専門家が自社に必要になります。間違っても、すべてを自社でやろうとしてはいけません。
だからといって、一つのことを極めるだけでもいけません。専門要素は、どんどん細分化されて守備範囲が狭まっていくので、専門度は高まっても、ビジネスの視点で見たときに、ビジネスがどんどん小さくなってしまうからです。
ごく一部のハードだけ、あるいは、ごく一部のソフトだけをやっていても儲からないのです。そうかと言って、すべてのハードとソフトを自社でやることはできません。それが、たとえ部品であってもです。
これからは、一つのことを極め続けると、どんどんビジネスが小さくなっていき、すべてをやろうとすると、やりきれずに破綻する、そういう時代です。
では、そういった時代に、我々は、どう対処したら良いのか?
専門性が高まり細分化される時代に、最も必要とされること、それは、「統合力」です。
専門性が高まれば高まるほど、専門家や専門企業の連携は難しくなります。しかも、細分化で連携させるべき数は、芋づる式に増えていきます。そんな時代に求められる企業と人財とは、統合できる企業であり、統合できる人です。
統合できる人と企業が、こらからのビジネスを、世界をリードすることになります。
このことは、製品でも、部品でも、加工やサービスであっても本質は同じです。一つの加工に必要な専門知識、あるいは、一つのサービスを提供するまでに必要な専門知識は、どんどん高度化し、細分化していきます。
お客様に提供する商品である以上、それが何であっても、これからは、自社の商品にまとめ上げる「統合力」が求められます。これからの時代は、専門家を育て、任せるだけでは、商品としてまとめ上げることはできなくなります。
そればかりか、専門家に任せれば任せるほど、専門知識を活かすことができなくなります。高度化によって、専門家は、ますます自分の専門しかわからなくなり、細分化によって、一つの専門知識だけでは商品にならなくなるからです。
御社は、専門知識を商品に結び付けることができる、「統合家」を育てていますか?
専門家を育て、任せようとしていませんか?
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