「疲弊型組織」と「相乗効果型組織」の生産性向上施策の違い
先進国の経済活動の特徴として、製造業からサービス産業に移行するという特徴がある中、日本においてもサービス産業は75%を超える産業の中心になっています。
そして、労働集約型のサービス産業は、製造業に比べて生産性は低くなる傾向があり、その理由としては製造業は生産と消費が別々に行われる為、あらかじめ作っておいたものを在庫として抱えることができ、後日販売することが可能であることに対して、サービス業は生産と消費が同時に行われる為、ストックすることができません。
例えばホテルであれば、今日の空室を明日販売することはできませんし、レストランであれば、今日の空席を明日販売することができないということになります。
従って日本の産業において製造業に比べ、生産性の低いサービス産業の比率が上がれば日本全体の生産性も自ずと下がることとなり、政府においても日本全体の生産性を上げることは大きな課題となっています。
しかし、政府の推奨する生産性向上策は、働き方改革等による働く時間を短くすることにより「労働投入量」を縮小することにより生産性を上げるという策が中心のように感じます。
実際、各企業の施策を見ても「生産性向上」と言えば、残業代カット、効率化に偏っているような気がします。
しかし生産性とは、
生産性=付加価値額(売上総利益) ー 労働投入量(労働人数×労働時間)
であり、労働投入量を幾ら減らしても、それと連動して付加価値額も減少してしまったら意味がありません。
それが、「疲弊する組織」と「相乗効果を生む組織」の違いであり、疲弊する組織は、唯でさえサービス産業において人手不足の現場が蔓延しているにも関わらず、生産性向上を目的とした残業代削減、効率化を現場のリーダーに課し、結果的に、決められた時間内でこなす業務が増え、顧客に対するサービス品質を下げて付加価値額も減少し、現場が更に疲弊するスパイラルに陥っています。
このような組織は、次の策としてAI化や機械化を検討し、如何に少ない人数で生産性を上げることを考えますが、
例えば、旅館でサービスに関わる人数を減らし、チェックインを機械化すれば、労働投入量を減らして生産性を上げることができますが、逆に本来顧客に提供していた「癒し」や「安らぎ」といった付加価値は捨てることになります。
つまり、サービスの形態自体を変更することになりますし、この形態では付加価値の提供による収入増は見込めないでしょう。
一方で「相乗効果を生む組織」は、現場の人手不足は変わりませんが、その中でも「削減策」「効率化」重視ではなく、労働投入量と付加価値額のバランスを見ながら、如何に付加価値額を向上させるかを重視して知恵を出し、それに向けて皆がひとつになり実行する組織です。
そして、相乗効果を生む組織は自社の事業目的や仕事の意味を「顧客の喜びやしあわせに自分達の事業を通じてどう貢献できるか」といったことを軸としており、自分達を通じて付加価値を提供することにブレない組織であることも共通しています。
いずれにしても「削減策」「効率化」による生産性向上には限界があり、「付加価値を高める」ことも一緒に考えなければ、AI化、機械化を中心とした価格重視のサービスへの転換が余儀なくされます。
あなたの会社は、労働投入量を減らすことを中心に考えますか?
それとも、知恵を出し合って付加価値の提供に情熱を燃やしますか?
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