チェーン経営の生産性を会員化で引き上げる
「先生、今年の冬は暖かくて鍋材料は売れないし、野菜も相場安で売上は本当に厳しかったのです。そのおかげで、プロジェクト実施店と今まで通りの店で大きなに違いが出ました。」
と、今、業務改革プロジェクトで快進撃中の社長の一言です。
こちらの企業、競合対策として、販促強化チラシに翻弄されていた頃は、赤字に苦しまれていました。
今は、新たに本部に業務改革部署を設置し、品切れ点検、重点商品、LSPといった増益施策を掛け合わせることで、大きく増益に向け動きはじめました。
スタート当初は、これほど大掛かりなことをやったことがなかったために、だれもが不安に感じたようでした。
ところが、新企画プロジェクトの波に乗るコトで、店舗と本部が力を合わせるようになり、実績を塗り替えることを、いつの間にか、ふつうに出来るようになった。と言えます。
例えば、新しい企画が動き出すと、粗利率と販管費率の改善し、近隣競合店が閉鎖する。ということが起こったります。
冷静に考えてみればわかることですが、オーバーストアの地域ほど、商売は厳しいわけで、どうしても日替わりやチラシのサイズといった、表面的な販促強化策で、泥仕合的なものの繰り返しになることがあります。
こういったことを 避けるには、全く別の新たな手法や取り組みをやることで、解決させることができます。
例えば、業務改革部門を新設し、稼ぐためにキチンと手数をかけ、テスト店舗を1店舗設定し、ローコストオペレーションが出来るように変えていくといったやり方です。
本部を上げての、そういった動きは店内の士気に影響することから、それだけでも店舗の運営力は大きく上昇します。
また、この雰囲気は、競合へと伝わり、ここで体力の弱い競合は、同じ価格強化をする相手がいなくなることから、進むべき道を見失い、自ら沈んでいくコトになります。
しかし、業務改革部の仕事はここで終わりではありません。
大事なことは この競合が閉鎖した後にあるという点です。競合閉鎖で売上が上がると店はすぐに人を増やしたがるため、ここでコストオーバーにならないように、もうひと工夫するのが業務改革の役割となります。
製造業でいえば、好景気が続いたとき、安易に生産ラインを増やし、その後、苦境に立たされる企業が多いというのは話に聞いたことがあると思います。
小売業も同じで、売上が増えたからといって、安易に人手を増やせば、店をつぶすことになりかねません。
競合を閉鎖に追い込んだときこそ、兜の緒を締めるコトを間違わないようにサポートするのも使命となります。
「売上が増えたら 人をいれるのはあたりまえでは」という声が聞こえてきそうですが、
――――欠員分だけ 入れる やり方を続けていけば 元の状態にもどることになり 再び苦境にたたされます。
そこでは、正しい労働力を割り出す仕組みが必要で、それを担うのが、人時割レイバースケジュールです。
経営はこういった新しい仕組みを導入し、移ろいやすい人の心をしっかりとサポートしていくようにします。
他店波及させていく段階では、次に取り組む店舗が、コストカットやリストラという「不満」や「不安」といったマイナス感を抱かないように、経営者は、業務改革部に細心の注意を払って動くように指示することも必要です。
そのために、社長は、定期的な活動状況を報告し、運営部長は取り組み事例を全員に伝わるように社員集会や店長会で共有させていきます。
これからのチェーンが進むべき道は、リストラや、コストカットをするのではなく、業務改革という新しい機能の組織を加え、時代とともに変化し、利益を生みださなくなった事業の新陳代謝を促進させることです。
これまで前年比が維持できた時代、なんとか耐えてきたものの、減収が続いている中、今までどおりの販促策ではなく、新しい事業軸で収益をあげなくてはなりません。
モノを売るだけの時代から、車も衣料もなんでも必要な時だけ借りる時代、大量に買い込み消費する時代から、必要なモノを欲しい時に 必要な分だけ買える時代に変わる中で、品切れやおすすめ商品を伝える仕組みというのは、差別化の第一歩であることは言うまでもありません。
先の企業でもこれによって、売上対営業利益率は1%以上改善しているということです。
これは、次のステップとなる小売り会員ビジネスモデルに不可欠とものであり、企業収益の安定化へ向けての第一歩となります。
その為には、自社の本体事業のローコストオペレーション化が大前提であり、その上に会員制は足していくコトになります。
会員制とは 単なる無料ポイントカードやアドレスを何万人持っている。ことではありません。
有料会員として、貴社のサービスを定期的に利用したい。というお客様を作る仕組みを社内につくることができるか?ということです。
これが出来ますと、他社に行かなくなり 自社顧客としてガッチリ押さえることができます。
何を有料サービスにするかは企業によって当然異なります。その前に必要なのがローコストオペレーション構造であり、Amazonもコストコもオリエンタルランドも成長優良企業はすべてそこを軸足としているわけです。
さあ、貴社では、人口減少の時代で販促強化の不安定策を取り続けますか?それとも会員制に向け一歩を踏み出しますか?
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