社長が知っておくべき、ハラスメントを放置する大きなリスク2つ
パワーハラスメントとは、財団法人21世紀職業財団刊行の「職場におけるパワーハラスメント防止のために」(※1)によると、以下のように定義されています。
「職場において、職務上の地位や影響力に基づき、相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことにより、その人や周囲の人に身体的・精神的な苦痛を与え、その就業環境を悪化させること」
労災認定基準では、上司の言動、または同僚などによる多人数からの人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた場合は、「心理的負荷の「強」」として位置付けられています。
ですが、最近のパワハラは、上司から部下という「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識など様々な「優位性」も含まれています。つまり、ベテランの部下が職歴の浅い上司に対して行えばそれもパワハラとなります。他にも先輩後輩間、同僚間においても同様にパワハラと定義されるのです。
ハラスメントが起きた場合の対応について、社長は、必ず知っておくべき留意点がいくつかあります。
まずは、ハラスメントは決して、加害者と被害者という当事者だけの問題ではないということです。
悪影響が連鎖し、生産性へも大きなダメージ
目の前でパワハラ言動があれば、受けた本人だけでなく、まわりもやる気をなくし、職場全体が暗く重い雰囲気になります。そもそも課長が同僚に対して暴言を吐いているのを隣の席にいて聞いていた場合、その言葉が自分に向けたものではなくとも、安心して仕事に取り組むことなど出来るはずがありません。その意味では、周囲にいる社員も被害者であるとも言えます。
また、パワハラは伝染するとも言われており、パワハラ被害者に対し、他のチームメンバーも同じように価値を下げる言動をとったりすることもあります。そうなると生産性にも大きなダメージとなり、悪影響は広がるばかりです。
ハラスメントの通報窓口を設置している企業もありますが、通報があった場合は、速やかにしかるべき対応をする必要があります。何の対処もしてくれない会社に対する失望や怒りを感じることになれば、社員のやる気はもちろん、会社に対する信頼関係も失われてしまいます。
被害者意識が蔓延するリスク
一方で、上司からの正当な指示や指導さえ、パワハラだと考える社員が増えているという悩みを耳にする機会も増えてきました。たとえば、上司が遅刻したとか、ミスをした時に注意をした場合です。それは人格否定ではないにせよ、多少強めの言い方だとした場合、それをすぐに被害的に受け取ってしまうという社員がいるということです。
これは受け取る側での問題でもあるのですが、そもそもハラスメントへの基本理解がない故だとも言えるでしょう。
また、ハラスメントとメンタルヘルスの問題は関連しあっています。企業が行うべき措置として、ハラスメント被害者のメンタルヘルスに対応することが求められています。被害者が安心して相談できる環境、そして最初から取り調べのような事実確認だけを行わないなど、様々な配慮が必要になります。
やはり今すぐ行うべきは、ハラスメントが起きないような職場環境づくりなのです。そのためには、日ごろからの人間関係構築、特に信頼関係をどう築いていくのかが最も大切なのです。
経営者は、ハラスメントをどう予防するかという観点を持つべきなのです。
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