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SDGsは環境ビジネスの福音となるか

SPECIAL

オルタナティブ経営コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

最近新聞などでよくSDGsというコトバを目にします。2015年に国連が定めたSustainable Development Goalsの略で、2030年に向けた「持続可能な開発目標」と訳されています。

SDGsはすべての国連加盟国に暮らす全ての人々を、誰一人取り残さず対象とするという、人類史上かつてない大風呂敷を広げた政策目標なのですが、よく見るとその多くが環境問題への取り組みを進めるためのものになっています。全部で17個ある「ゴール」のうち、ざっと数えただけでも安全な水、クリーンエネルギー、住みやすい街、リサイクル、気候変動、海の生態系、陸の生態系と7個が環境に関係しています。それがどのように環境ビジネスの福音となりえるのでしょうか?

日本国内では特に大企業が自分たちの取り組みを投資家や顧客に説明するためのツールとして人気が高いようで、「SDGs 企業」というキーワードで検索すると様々な事例が出て来ます。

他方で中小企業の間では認知度も今一つなのですが、さまざまなメディアが取り上げたり、お役所が重点施策としていることもあって、そう遠くない先に知られたコトバとして認識されるのではないかと思います。

伝統的な経済学における環境ファクターの位置付けは、基本的に儲けにつながるものではなく、社会の誰かが負担することになるよくわからないコスト、みたいな説明でした(専門用語では「外部不経済」と言います)。昭和の日本にとっては重大な社会的課題であった公害問題がまさにこの事例に当たると思います。

私はいかに述べるような理由により、SDGsが果たしつつある役割がこの「外部不経済」を解決するとともに、間接的な効果で企業価値を高める機会を提供しているという点において画期的なものだと思っています。

似たような役割を果たした事例としては、ISO9000などの規格認証制度があり、いずれも企業にとっては「対応すべき義務があるわけではないが、対応することで顧客の期待に応えている姿勢を明確にできる」という性格のものなのです。

社会規範のうち、守らなくてはならない法律や条約を「ハード・ロー」と呼びますが、基準認証制度などはそれに対する「ソフト・ロー」として位置付けられ、ハード・ローほどではないものの、それを実装した社会においてはある程度の強制力を持ちうる規範だと言えるのです。

現段階では国や分野によって、まだ十分に知られているとは言えないSDGsですが、今年9月にはニューヨークの国連本部で、2015年の制定から4年間を振り返るための首脳会議 (Heads of State meeting on the SDGs in September 2019)が予定されています。

政治レベルでの取り組みは今後も続けられてゆくことから、早晩SDGsも十分な社会的認知を受け、ソフト・ローとしての役割を果たすようになるでしょう。すでに2019年も1か月半が過ぎました。その時に備えるための準備を始めるに早すぎるということはないのです。

 

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