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社長が注意すべき、社員の意識の切り替えとは

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『業績3年 先行管理』の仕組みづくり専門コンサルタント

株式会社 勝負ポイント

代表取締役 

 指導暦12年。オーナー企業を中心に約170社の指導実績をもつ経営コンサルタント。独自の『業績3年 先行管理』の手法を通じて、中小・中堅企業が持つ属人的な稼ぐ力・育む力を、再現性の高い仕組みに進化させる。この仕組みは、人間の特性を活かしたものであり「社員が自ら動き出すようになった」「管理の弊害が少なくなった」「目標達成が当たり前になった」と多くの経営者が注目している。

雇う立場、雇われる立場 この意識の経営者は、指示待ち・受け身社員に いつまでも悩まされる

「新入社員が育つか、辞めるか。皆さんにかかっています。」

毎年4月、多くの会社で新入社員が入社します。経営者は、この節目を活用していることでしょう。3月決算の会社は、年度方針・計画の開始を伝達。新入社員を採用した会社は、新人育成に関する訓示を言い渡すケースが多く見られます。

2018年度は、労働契約法の改正(派遣・契約社員の無期労働契約への転換ルール)による影響もあり、新卒採用がさらに活発化しました。工場等の現場をもつ企業は、数年・数十年ぶりに高卒採用を再開した企業が多くありました。2019年度の採用は、いかがでしょうか。先日も、ある会社の役員の方から、無事に20名集まりましたと連絡をいただきました。今後の年代別人口分布を見れば、労働人口の減少が続きます。若手人材の確保・育成は、企業の生命線です。

これから2ヶ月、配属先を確定させ、各職場で受け入れ準備を進めます。そして、人事・教育部門は、新入社員向けの研修の準備をしていくことになります。 

今週は、新入社員向けの研修をヒントに、社長が注意すべき「社員の意識の切り替え」について掘り下げていきましょう。少しフライングになりますが、予習のつもりでご確認ください。 
 

■1.新入社員に意識させる<学生と社会人の違い> 

新入社員にとって社会人1年目はとても重要です。なぜなら「社会人の基準」が、この時期に定められるからです。この基準は、偶然配属された職場環境や、育成担当の先輩の存在によって大きく影響を受けます。 

このとき、<高い目的・目標を掲げ、自ら挑戦する。自ら考え行動する。自己責任の意識を持ち、目の前の仕事に専念する。>といった基準が身につけば、本人も我が社も共に成長できるでしょう。逆にこの基準が低ければ、本人も我が社も互いにジリ貧になります。

社長は、職場の環境づくり・場づくりに注意しなければなりません。その第一歩が新入社員研修です。この場では、多くの企業で代表的なカリキュラムを実施しています。

それは、<学生と社会人の違いとは何か?> というテーマで議論させるものです。

この目的は、学生から社会人へ意識や行動を切り替えることです。主な進め方は、新入社員が学生と社会人を対比させながら違いを書き出します。そして、グループで議論し発表します。その後、担当講師が解説を加えます。 

お金(払う⇔貰う)、時間(自由⇔拘束)、評価(知識⇔成果)、人間関係(同年代かつ好き嫌い⇔全年代かつ目的重視)、姿勢(与えられる⇔自ら掴む)など、新入社員は何らかの切り口を軸に、学生と社会人の違いを対比させます。そして、各グループの見解をまとめ発表します。その後、担当講師は「みなさんの立場や役割、責任が変わりました。だから意識や行動を変えましょう」と解説します。 

近年の新入社員は、この説明で納得した様子を見せます。しかし、安心してはいけません。場の空気を読んだ対応をしているだけです。実際には、大多数の会社で、意識・行動の切り替えに失敗していると推測できます。なぜなら、これまで出会った8割以上の企業の上司・先輩から「指示待ち・受け身の新入社員に悩んでいる」という声を聞くからです。 

また、担当講師にも問題があります。ぜひ、御社の担当講師に聞いてみてください。<学生と社会人の本質的な違い>は何ですか?と。おそらく的確に答えられず、当たり障りのない違いを説明し始めることでしょう。伝え手がこの状況であれば、新入社員が意識できなくとも文句は言えません。 

■2.本質的な違いと貢献する姿勢とは 

学生と社会人の本質的な違いとは何か。 

それは【価値を受け取る立場】から【価値を提供する立場】に変わることです。つまり、価値に関わる際の、立場が異なるということです。価値とは、最終的に製品・サービスにつながる何らかの付加価値を意味します。 

「こんな当たり前のことが分からないのか?」と驚く経営者の方も多いでしょう。しかし、これが実態です。社長にとっては、言うまでもないことです。しかし、多くの社員は、経営者の当たり前を認識していません。 

このため、本質的な違いを伝えた後、この立場の違いを実感させましょう。具体的には、新入社員に、お客様=【価値を受け取る立場】になりきってもらいます。そして、自腹で何らかの製品・サービスを購入するシーンをリアルに想像させるのです。特に支払う瞬間がおすすめです。すると【価値を提供する立場】に必要な意識や行動を、とうとうと語るでしょう。 

例えば何らかのサービスを購入したケース。新入社員は言い出します。「店舗スタッフ(価値を提供する立場)には、見合った成果(価値)を出してもらって当然です。目的を果たすための支払いですから。主体的に関わってほしいものです。」「好き嫌いで態度を変えたり、勝手に休んだりするスタッフは、失格ですよ。ありえません。」「あとは、最低限の基準を満たしていること。そのためにも、自ら能力を高める努力をしてほしいものです。時間を拘束させるかわりに対価を支払っていますから。どれも当たり前ですね。」と言い出します。 

その後、リアルに想像したシーンをそっくりそのまま逆の立場=【価値を提供する立場】なりきってもらいます。「自社とあなた自身は価値を提供する立場です。それに相応しい役割や責任を考えてください。あなたは、どのように考え方・行動を切り替えますか」と切り込んでください。 

このとき、抵抗する新入社員も出てきます。なぜなら無意識のうちに滅私奉公という発想でとらえているからです。「自分自身を犠牲にしなければ、価値を提供できない」と思い込んでいます。逆に、抵抗しない場合でも、注意が必要です。自身を犠牲にし続けることは現実的ではないからです。自己を犠牲にすると、中長期的に活力を失います。価値提供に貢献できなくなるのか、限界を感じて退職するでしょう。最悪の場合、無理がたたり病気になります。 

そこで、活私奉公という発想をあたえます。「自分自身を活かして、価値を提供し続けること」「そのために、自ら成長してみてはどうですか?」と提案するのです。多くの新入社員が賛同するでしょう。新入社員は、心の底から納得すれば、素直に実行します。納得できるだけの理由を伝えることができるか否か。人材育成の第一歩です。 

御社は、新入社員にどのような意識を持たせていますか。 

学生と社会人の本質的な違いを伝え、自らを活かし価値を提供する意義に気づかせてあげましょう。 
 

■3.既存社員に意識させること 

御社の既存社員は、どのような意識を持ち、どういった行動をとっていますか。 

主体的な社員であれば、おそらく【価値を提供する立場】であることを正しく認識しています。目的・目標を共通理解していれば、能力に応じて役割と責任、権限を与えてください。また、報告・連絡・相談する場は、適切に設けるとよいでしょう。あとは安心して任せられます。自ら考え行動し周囲を巻き込んでゆくでしょう。 

受け身社員であれば、おそらく【価値を提供する立場】という認識が希薄です。往々にして価値の提供よりも雇用の立場に焦点を当てています。【雇う立場】【雇われる立場】という認識が強いからです。すると給与分のみ仕事をこなせばよいという思考回路になります。総じて、製造業であれば人件費・設備費・その他経費という3大経費の意識も弱いものです。会社負担の社会保険料も知りません。組織への貢献度の目安、額面収入の3倍以上の粗利を稼ぐ必要性も知りません。にも関わらず、十二分に貢献しているつもりになります。社員としての権利を必要以上に主張するケースも見られます。 

経営者が、既存社員に意識させること。それは、新入社員と同じです。

(1)社会人として本質的な役割【価値を提供する立場】を認識させること
 (2)そして、自分自身を活かして、価値を提供し続けること
 (3)そのために、自ら成長する道を選択し、自己研鑽に励むこと 

意識・行動の切り替えができているか否か。昇進や中途社員の採用を判断する際に、1つの判断材料として、意識レベルの確認をしても良いでしょう。 

御社は、既存社員にどのような意識づけの場を設けていますか。

社会人の本質的な立場・役割を認識させる場を設け、自らを活かし価値を提供する意義に気づかせてあげましょう。
 

■4.経営者が意識すべきこと 

社員の意識の切り替えができていない最大の理由は何か? この原因は、経営者の意識にあります。まずは社長自身が意識を切り替えましょう。【雇う⇔雇われる立場】から【共に価値を提供する立場】に転換するのです。 

(1)経営者が【雇う立場】【雇われる立場】という認識を優先しているから、社員も同様の認識をしてしまうのです。つまり、対立する立場が起点になると社員は指示待ち・受け身になります。創造的な活動は上手くいきません。 
 
①社長⇔社員 雇用する・されると立場が違う(逆の立場なので、潜在的に対立を生みやすい)
 ↓
②社長の役割、社員の役割がある(異なる立場で、役割も異なる)
 ↓
③目的・目標を伝える(経営理念・行動指針、中期経営計画を伝える)
 ↓
④雇用されている社員は、目的を達成するために社長の指示・命令に従う(社員は受け身になる) 

(2)もし、経営者が【共に価値を提供する立場】という認識を優先させるなら、社員も同様の認識をするようになります。つまり、同じ立場を基点にする社員は当事者意識をもち、主体的になります。すると創造的な活動が上手くいくようになります。 
 
①社長&社員 価値を提供する立場は同じ(同じ立場なので、潜在的に同調しやすい)
 ↓
②社長の役割、社員の役割がある(共通の目的を達成するために、それぞれの役割がある)
 ↓
③目的・目標を伝える(経営理念・行動指針、中期経営計画を伝える)
 ↓
④社長と社員は同じ立場。目的を達成するための協力し合う。チームとして協働しあう。(社員は主体的になる)
 

雇う立場、雇われる立場。この意識の経営者は、指示待ち・受け身社員にいつまでも悩まされます。共に価値を提供する立場。この意識の経営者は、社員の相互協力する姿勢を引き出し、主体性・創造性を引き出します。 

企業が社会に価値を提供するには、社員に共に価値を提供する立場であることを認識させなければなりません。この立場を認識すれば、姿勢が変わります。どのように価値を高め提供するのか、先を見て考え行動するようになります。意識の違いが、先行経営・先行管理体質を育てます。付加価値経営の社風をつくる土台になります。 

あなたは、我が社の将来を担う責任者として、将来を見極めなければなりません。【雇用する立場と雇用される立場】【共に価値を提供する立場】どちらの意識を優先させますか。 
 
※追伸

弊社は、価値を提供する立場という認識を社員に浸透させる仕組みとして【業績3年先行管理の仕組みづくり】を公開しております。全社員が協働しあう仕組みかつ、進化・成長しながら稼ぎ社会に貢献する仕組みです。興味がある経営者様は、ぜひセミナーにご参加ください。

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