採用と育成がつながらなければ意味はない
現在、誰がどう見ても人手不足です。その中で、人材を採用することも非常に重要ですが、採用後の「育成」はさらに重要になってきます。当コラムでは、採用の仕組み化についても口を酸っぱくしてお伝えしてきました。「育成」についても仕組み化が必要なことは言うまでもないでしょう。
例えうまく採用できたとしても、「育成」が考えられていなければ、まさにザルで水を掬うようなものです。どんなにいい人材でも成長もせず、すぐに退職してしまうことになるでしょう。
さて、育成を考えるとき、まずしなければならないのは採用時に言語化してある「求める人材」を育成目標の軸とすることです。求める人材を言語化し、それに基づいて採用したとしても、その通りの人材は100%存在しません。自社の育成の仕組みによって、求める人材のレベルに近づき、さらには乗り越えていけるように基盤をつくることが絶対的に必要となるのです。
経営ではあらゆることに「目標」が設定されなければなりません。売上にはもちろんですが、人材育成に関しても、ただ成り行きに任せたほったらかしでは何の成果も生み出せず、会社にとっても、本人にとっても何ら良いことはないのです。
しかし中小零細企業では採用方法に続き、育成方法でも「属人的」な場合がほとんどではないでしょうか。属人的とはつまりその人次第ということであって、教える人によってそのやり方や内容が変わり、教えられる新人のレベルが変わってしまうのです。それが良いほうに転べばいいのですが、たいていの場合、悪いほうにしか行きません。
ですからまずは、採用時の「求める人材」から育成に関する「目指す人材」を言語化し、社内で共有することが先決です。少なくとも「いつまで」に「どうなっている」ことを体系化しておかなければ、ザルで水を掬う事態が何年も続くことになります。特に「いつまで」という期限の設定は重要です。これがなければそもそも目標ではなく、だらだらと貴重な時間が過ぎ、使い物にならないスタッフが量産され、会社の危機ともなりかねません。
育成の仕組みが何もない店舗は、まず職種によって「いつまで」に「どうなっている」ことを言語化していきましょう。例えばホールスタッフであれば、「1週間後までに」「レジでの会計を支払方法に関わらずすべてできるようになる」というような感じです。もれなくダブりなくするためには店舗の仕事を時系列に挙げていき、簡単なことから順に言語化していくとよいでしょう。
通常は「目指す人材」をしっかりと言語化するのが先ですが、なかなか言葉にすることが難しい場合も多いと思います。その際は、先述のように店舗の仕事を言語化し、目指すレベルを見えるようにすることで、目指す人材の土台ができます。この下からの積み上げと上から(理念やビジョン、求める人材)の理想を言語化することを同時に行うことで、より具体的な、そして漏れやズレのない人材像が出来上がります。
店舗経営者の皆さん。
育成の仕組みをつくっていますか?
それはどんな人材を目指していますか?
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