社長が知っておくべき売上よりも大事なこと
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。
置かれている状況や経営環境によって経営課題は異なってくるものですが、当社はこれまで多くの同族社長のご支援をしてきているため、ダイヤモンド財務化のステップはどんな会社であっても変わらないということを強く感じます。
もちろん個々の会社の状況、抱えている経営課題の深刻度などに応じて多少、時間や手間のかけ方は当然変わってきますが、その根底にあるダイヤモンド財務化の原理原則は何ら変わることはありません。スタート時点の財務状態は一切問わないのです。
スタート地点はどうあれ全力でご支援するのが当社の方針なのですが、経営が苦しい状態からの場合は、絶対に避けて通れない経営判断があるということを忘れてはなりません。
会社経営における「お金」は人間の体の「血液」に例えられますが「フルマラソンを完走したい」と考えるのに、健康な人と、既に出血多量で血が止まらない状態の人がいうのでは、前提が異なってくるのです。
赤字体質で出血が止まらない状態であれば、まずは「止血」を最優先しなければなりません。ところが、ピタッと止血できるケースもあれば、原因は特定できているけど時間がかかるケースも存在するのです。
現実的な判断として、あらゆる手段で一命をとりとめるための「時間稼ぎ」をしなければなりません。銀行から資金調達したり、資金化するための手立てを講じながら、とにかく時間稼ぎをして、同時に止血をすることになるのです。
「時間稼ぎ」という表現は、言うまでもなく根本的な経営課題を解決しているわけではないからです。銀行の預金残高がジリジリと減っていくのです。止血をして、自らのチカラで血液をつくれる健全な状態にしなければならないのです。
苦しい状態からのスタートなら、根本的な課題解決の第一ステップとなる「止血」を最優先すべきですし、逆にそれができない状態のまま次に進んではいけないのです。本質的かつ根本的な「止血をする」ためには、常識や考え方・世間体など全部捨て、厳しい決断をしなければならない局面だってあります。
時に、保身に走る古参社員や顧問税理士・銀行の担当者から厳しい言葉や反対意見が浴びせられるかもしれません。でも、社長自らの決断で「止血」をして、ちゃんと利益が出る黒字化の状態にすること。これは社長にしかできない仕事なのです。
その上で、真に黒字化を実現するために「粗利を増やす」「固定費を減らす」地道な努力をしていくべきなのです。とても骨が折れることですし、多くの社長は売上が増えることが好きなので、軽視しがちです。
しかし、仮に売上が増えたとしても、そもそもの粗利がちゃんと稼げていなかったり、固定費が粗利以上にかかっていれば、時間とともにお金がドンドン流れ出ていくことには変わりないのです。損益構造をしっかりと見直して、売上・利益計画が自社の損益分岐点からみて現実的なものなのか、構造的に仕組みで落とせるコストはないかを真剣に考えるべきなのです。
どんなに「売上を増やせ!」といっても、構造的に利益が残らない体質になっていれば、お金は減っていくばかりなのです。だからこそ赤字が続いているのなら、まずは1円でも利益を出すこと、そして1円でも多く利益を増やすためにどのような打ち手があるのかを本気で考えて、すぐに実行することが大事なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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