稼ぐ機会を逃さない社長が自らに問うていること
社長のための「思考と行動の2つの質問」、その1つ目である「心は自由であるか?」について前回お伝えしました。
無意識のうちに自分の中に気づかれた狭い思考の枠に気づき、その枠を取っ払ったクリアな眼で世界(市場)を見ていかなければ、経営においてブレークスルーを起こすことはできません。
社長は目の前の仕事だけに捉われず、常に高い視点から全体を俯瞰し、思い込みや制限のない自由な思考で事業を考えていく必要があります。
では、社長が自らに問うべき2つ目の質問は何か。
それは、『逃げていないか?』
これは社長としてのあり方から普段の意思決定の局面に至るまで、常に問われるべき質問ですが、特に社長が絶対に逃げてはいけないことが2つあります。
その一つ目は、「リーダーであること」から逃げないことです。
ここで、社長は会社のトップなんだからリーダーに決まっているじゃないかと言われるかもしれませんが、役職が上ということとリーダーであることは全く別の問題です。社員に対して日常業務の指示を出すだけでは当然リーダーとは言えませんし、ガミガミ言って彼らを動かしてもそれは単に尻を叩いているだけで、プッシュとリードをはき違えていることになります。
会社のトップである社長がリーダーとして目指すべきことは、やはり業界を変えていくことです。自社の業界が抱えている問題やお客様が困っていること、不便を強いられていること、あるいはまだ気づいていないニーズに対して手を打っていく、戦っていく、その姿勢やあり方が自社独自のポジショニングとなりますし、また社員に対して自社が進むべき方向性や事業の目的を示すことができます。
そもそも、この資本主義社会の下では、フォロワーとして他の多くの会社と同じことをやっていたのでは市場から淘汰されてしまいます。かつては普通のことをやっていても地域の壁で守られた業種もありましたが、いまではインターネットの普及などにより「近くにあること」の優位性は崩れていっています。
会社のトップである以上、リーダーとして事業の独自性を打ち出していくことから逃げる余地はありません。
そしてもう一つ、社長が逃げてはいけないこと。それは「決断すること」です。
「経営とは捨てること」という言葉もありますが、経営は「捨象と集中」の連続です。つまり、会社として「何をやらないか」を決めてそれを捨て去り、そして残った「やるべきこと」に集中する。
やるか、やらないか ― 本来このどちらかしか選択肢としてはありません。これはトートロジーといって当たり前のことしか言っていない文章なのです。しかし、実際には「やるのかやらないのか、よくわからない」という状態のまま決断を先延ばししているケースによく出くわします。
やるならやる、やらないならやらない。そして、やると決めたことは社員一丸となって一心不乱にやりぬく。そうした「決断と行動」ができずにずるずるといく企業がこの先生き残ることはないでしょう。
ビジネスチャンスはただぼーっと待っていても向こうから来てはくれません。儲ける社長が持っている力、それは「稼ぐ力を自ら創り出す力」です。そしてこの力をもつために必要なことが「リーダーシップ」と「決断」なのです。
何か新しいことをやろうとするときに、すべての条件が揃うなんてことはありませんし、それを待っている社長はビジネスチャンスを逃し続けます。
一方で儲ける社長というのは、ここだというときに必ず動きます。条件の揃っていない部分は自ら埋めていくための行動に出ます。稼ぐ機会を自らたぐり寄せるのです。
ビジネスとはある意味賭け事と同じことで、賭けなければ絶対に勝つことはありません。ただ場代を失うだけです。もちろん、リスクの見極めや対策は必要ですが、リスクなきところにリターンも絶対にないのです。
もちろん、社長が決断すべきは、新規事業などの新たなビジネスチャンスのことに限った話ではありません。
社長がまだまだプレーヤーとして手を動かしているのであれば、業務を仕組み化して社員で廻せるようにする。
営業チームがバラバラに動いているのであれば、営業戦略を構築して攻め方を揃える。
他にも、集客からクロージングまでの導線を整えることや、人事評価制度を導入することなど、社長が決断してその仕組みを構築すべきことは数多くあるはずです。
大切なことは、世の中の変化、業界の変化、顧客側の変化などの外部要因について、何かが起こってから対処するというフォロワーの姿勢で待つのではなく、先回りして仕掛けていくリーダーの姿勢で攻めることです。
自由な心をもち、逃げずに攻める。
そのためには、環境の力を借りることも有効です。人間というものは、ありとあらゆる側面において現状維持を求めるものです。しかし、世界(市場)の構造はその現状維持の姿勢を受け入れてはくれません。この矛盾を解消するために、逃げられない環境に自ら身を置いていくのです。
社長がコンサルタントを依頼するのも、この環境をつくるためと言えます。
当社のコンサルティングにおいても、業界の常識を反転させる思考のフレームワークを用いて思考を自由にし、かつプロジェクト形式で決断すべきことをひとつひとつ順を追って固めていきます。すべてのクライアント企業が「ずっとやろうと思っていたこと」を現実にカタチにしていかれています。
もう先延ばしする時間的余裕はありません。先回りの経営で「捨象と集中」を進めていきましょう。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。