需要のコップは突然に
年末年始、身内のことでバタバタいたしまして、気がつけば「白髪」が増えていて驚きました。それだけでショック、それだけで憂鬱な気分。白髪はだれにとってもネガティブ要素、ではないでしょうか。ところが、今「白髪育て」「グレイヘア育て」という言葉がトレンドワードとして浮上しています。
もともと男性のグレイヘアは認知されています。しかし、女性においては白髪はタブーです。「不潔にみえる」「疲れてみえる」「さぼっているように見られる」といった理由で、ひたすら白髪染めをするのが常識でした。そのような「常識」が、パッといま、まさに変わる潮目にあります。
白髪について、数年前からある一部の女性たちが「白髪染めをやめる」ことを世の中にカミングアウトするようになりました。その後美容健康に特化した雑誌での特集記事、NHKなどのライフスタイル番組で半年に1回ほど取り上げられるようになりました。なんとなく日常で「白髪染めをしない」とか「グレイヘア」などの言葉が目につくようになりました。そうこうしているうちに雑誌がグレイヘアの「ムック本」を出版し小さくヒット、芸能人が「白髪染めはしない」とマスコミで公言。白髪ケアと白髪育てのアドバイザーとして東京のカリスマ美容師がテレビでアドバイスするようになっています。そして、新年の1月2日に発売された日経ヘルス2月号(日経BPマーケティング)では「“最新技術でもう悩まない”白髪ケア革命2019/全16P)の大特集。
- 白髪を増やさないケア
- 傷めないカラーが進化した
- ツヤをアップする
- グレイヘア育て
という4つのパートに分けて編集しています。それぞれのパートには、最新の白髪染めやヘアブラシなどテーマに関わる最新ケアアイテムの紹介です。「グレイヘア育て」のパートでは47歳のフリーライターがグレイヘアを叶えたモデル(女性)として登場。
- 白髪を育てたら髪にツヤ、肌に潤い!
- いま注目のグレイヘアという選択
- “染めない”選択 注目のグレイヘア!
- 27年間続けた白髪染めを卒業した
- グレイヘア美マダムの薦め3
- グレイヘア美マダム 〇〇さんヒストリー
というような見出しがついて、グレイヘアに至るまでのプロセスを詳しく紹介しています。しかし、わたくしのかかりつけのベテラン美容師は「グレイヘアはすすめない」と言いますし、周囲でもグレイヘアを実践している人はまだまだ少ないです。現実の社会では「グレイヘア育て」の実感は感じられないことでしょう。ここまでお読みになって「ウチのカミさんも白髪染めしているよ」とか「単なるブームだよね」と言った感想を抱いておられるかもしれません。しかし、こうした反応はシロウトであればOKです。商売に関わっている経営者であれば「女性が白髪染めをしないことを選ぶ“生き方”がひとつ増えた」と気づかなければなりません。
「グレイヘアはライフスタイル」ということが最も重要なポイントです。キーワードがライフスタイルになった時、ひとの「生き方」として表に出て来た時こそが、だれが決めたのかわからない「白髪はタブー」という思い込み=常識が変わる瞬間なのです。一般的には「ブーム」が突然やって来た、とお感じになるでしょう。この流れは「女性活躍」とか「働く女性7割超え」といった流れの延長にあります。ブームは突然やってくるのではなく、満を持して表に出てくるのです。そして、ブームとして出て来た時に動いていては「遅い」のです。
商品サービスが売れない。売上が上がらない。お客さんが増えない。人口減でマーケットが縮小して悩んでいる、んですよね。従来商品が売れなくなっている、んですよね。しかし、目の前にお客様がいる限り、その心の中には不満や悩みがあります。そこに気が付いて伸び悩んでいる商品サービスのリニューアルを打ち出してゆくことが事業ステージを上げる秘策です。仕掛けていかなければならないのです。
では、どうやって商品リニューアルを仕掛けてゆくのか。わたくしのコンサルティングでは「需要のコップを発見しましょう」とお伝えしています。このコップは透明で目に見えることはありません。マーケットにはいくつもの「需要のコップ」があります。このコップは誰しもが心の中に持っています。そして、ひと1人の中にたくさん存在しています。
グレイヘアであれば、女性たちの「“いつまでも若く見られたい”気持ちが苦痛だ。そういう生き方がイヤ、私らしく生きたい」といった心理が「需要のコップ」となります。このコップは透明製で非常に薄いので大切に扱わなければ簡単に壊れてゆきます。しっかりと意識として可視化することがポイントです。イメージとしてはこのコップが満杯になったとき「ブーム」というカタチで溢れ出してきます。
需要のコップがいっぱいになるのは1年〜3年を目安にしています。需要のコップを発見した時から、コツコツと御社商品サービスのリニューアルをスタートさせることが重要です。実際に今、お手伝いしている企業の商品サービスにおいて、溢れ出しているコップがあります。この状態から逆算し、手間と心をかけて準備してきましたので、慌てることなくやるべきことを淡々とやる状況にあります。社長も「やっとこの時が来ましたね」と落ち着いておられます。
「需要のコップ」を発見する視点をお持ちでしょうか。目に見えなくてうっすらとしている需要のコップは、割れやすく壊れやすくとても脆いものです。「そんなものあるわけない」と疑った瞬間にパッと姿を消し、「ある。」と確信している経営者のところに行ってしまいます。
わたくしの商品リニューアルコンサルティングは、この目には見えない需要のコップを発見する仕組みづくりをお教えしています。商品サービスの発意とは需要のコップの発見に他なりません。そして、商品リニューアルとはまだ目には見えていない需要のコップを発見し続ける仕組みであり、需要のコップとは「商売のコップ」そのものです。
国際情勢、改元、消費税増税などさまざまなマーケット予測が出ていますが、いついかなる時も、わたくしたちにとってピンチは千載一遇の好機です。2019年もご一緒に発展と繁栄の道を進んでまいりましょう。
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