お年賀ワーストランキングに、ビジネスの根本原理が凝縮されている
クリスマスイブが終わり、いよいよ年末ラストスパート。年賀状、年末年始の買い物、大掃除、帰省の準備など仕事以外にも沢山やることが多い、日本の年末年始。仕事も忙しいし、家の方の準備がなかなか進まない・・・とお嘆きではないですか?かくいう私もその一人です。
さて、ギフトシーンでは年初「お年賀」が早々にあります。法人需要では年始の挨拶回りで、タオルやお菓子などがよく用いられますね。
個人需要でも用いられる商品は似たような感じですが、ギフトビジネスにおいて埋めることが難しいのが、贈る側、貰う側の心理の差。「お年賀」でもそうです。
この心理の差にギフトや通販という枠だけではない、ビジネスそのものの根本原理が凝縮されているのです。
まず「お年賀」もそうですが、どのようなギフト購買シーンにおいても購入者が最も気にするのが「この人にどんなものを、いくらくらいの予算で、いつ渡そうか(送ろうか)」=「イベント・シーン・購入予算ありき」です。
「お年賀」は昨今、個人・法人ともに減少傾向です。購入金額も1個あたり1,000円~3,000円程度と、ギフトとしては比較的低単価ではあるのですが、それでも「お年賀」を贈る会社や個人は複数購入が多いので、客単価としては高く、好適品を用意しておくと売上向上に繋がりますし、例年同じモノを用意する場合も多いので毎年のリピート購入にも繋がります。
その「お年賀」について、ギフト販売大手のリンベル社から、独自調査したアンケート結果が発表されています。(2016年 20代~60代 男女400名対象)
ご興味のある方は下記のURLから見てみてください。
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/3613
当社が注目したのは「もらってがっかり・・・」な、お年賀とは?というワーストランキングです。(複数回答あり)
※自宅で受け取った方(勤め先で受け取った方も順位は多少違うがほぼ同じ結果)
1位 嫌いな食べ物 45.7%
2位 趣味に合わない雑貨や小物 40.8%
3位 賞味期限の短い食べ物 22.8%
4位 すでにたくさんあるタオルなどの定番品 22.8%
5位 高価すぎるもの 17.1%
逆に「もらってうれしいものはこんなもの!」お年賀人気ランキングはこうなっています。
※自宅で受け取った方
1位 好きな食べ物 39.1%
2位 カタログギフト 37.5%
3位 好きなお酒 17.1%
4位 暮らしに役立つ実用的なもの 15.8%
5位 老舗や名店の品 14.4%
※勤め先で受け取った方
1位 カタログギフト 41.3%
2位 好きな食べ物 27.0%
3位 暮らしに役立つ実用的なもの 22.2%
4位 数量限定などプレミアム感のあるもの 20.6%
5位 好きなお酒 19.0%
※自宅で受け取った方
この調査では、ご自宅、勤め先とも実際にもらったものとして「もらってうれしいもの」の上位に来ているカタログギフトはいずれもランキング圏外でした。贈り手は「カタログギフト」を選ばず、貰い手は貰うなら自分で欲しいものが選べる「カタログギフトがいい・・・という結果です。
なら、お年賀需要に応えるなら「カタログギフト」を用意して、お年賀にどうぞ!という風にすればいいのでは・・・という単純なことではありません。リンベル社のようにカタログギフト販売が主力のような会社は、もちろんそれもありかもですが。
贈り手がカタログギフトを選ばない理由も、そこには存在しているからです。
考えられる理由として・・・
①年始の挨拶としてカタログギフトでは合わないと思っている
②購入予算がカタログギフトの金額に達しない
③購入予算の中で、自分(や会社)がいいと思うものを贈りたい
特に③の自分がいいと思うものを贈りたいと、実際に貰ってうれしいものに差があることが最も大きな課題だと感じます。
これは「お年賀」に限ったことではなく、他のギフトイベント・ギフトシーンにも言えることです。では、どうやってその差を埋めるのか?
これは消費者側からすれば、貰い手のことを贈り手がより深く知る必要があります。これは残念ながら販売者側、提供者側からすると分からない部分、すなわち ”out of control” なところ。
ですが「もらってがっかり・・・」を避けることは、努力すればできるでしょう。
1位 嫌いな食べ物 →より多くの人が美味しいと感じるものを提供する
2位 趣味に合わない雑貨や小物 →より多くの人が実用できるものを提供する
3位 賞味期限の短い食べ物 →できるだけ賞味期間の長いものを提供する
4位 すでにたくさんあるタオルなどの定番品 →希少価値や限定感のあるものを提供する
5位 高価すぎるもの →気軽に受け取ってもらえる価格帯のものを提供する
購入者は贈り手なので、貰い手のうれしいに照準を合わせるのは間違いではとうお声も頂戴しそうですが、短期的にそうかもしれません。
ですが、貰い手に喜んでもらえるものであることを広告宣伝のコピーなどに組み込んでおけば、贈り手も考えます。どんなギフトでもそうですが、貰い手が喜んでくれた場合、「また贈ろう」となりやすく、リピート購入に繋がりやすいのです。中長期的にギフトを販売する会社、お店としての評価も高まります。
これらのことは、企業間取引(BtoB)で最も大事な根本原理を凝縮しているとも言えます。
皆さんもご経験がおありと思いますが、私も過去に勤め先でたくさん、年末年始のご挨拶ギフトを頂きました。多くがタオル・カレンダー・手帳・お菓子でした。大半はありきたりなものでしたので、そこにいる社員やスタッフで分けましたが、最終的に残ったものは誠に申し訳無かったのですが廃棄処分・・・。とりあえず挨拶には行ったということは残りますが、とてももったいなく感じていました。
たくさんの企業に渡したりすることが多いので致し方ない側面があるかもしれませんが、そのような会社がまだまだ多いのことも事実ですので、相手が喜びそうなものをしっかり読み取り、考えて選びお持ちすれば、より効果の高い企業PRに繋がります。
また、今回お伝えした「お年賀」での贈り手・貰い手の差は、BtoCであれBtoBであれ、下記のビジネスの根本原理と同じです。
「相手が望む商品やサービスと、提供する商品やサービスが合致、もしくはそれを超越していないと取引は成立しない。」
もちろん当社にも同じことは言えます。来年もよりクライアントの望みにフォーカス、常にクライアント成功のためにどう導けるのかを探求し、提供し続ける所存です。
あなたの会社でも、お客様のことや取引先が何を望み、何を提供すれば喜んでもらえるのか、それをどうやって伝えるのか、この年末年始ゆっくり考えてみてください。
そして今年1年、当コラムにお読みくださりまして、誠にありがとうございました!皆さまのビジネスの少しでもお役に立てたことがあったなら、大変嬉しく思います。
年末年始、飲み過ぎ食べ過ぎには十分にご注意いただき、来年また元気にお会いしましょう!
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