技術者はスーパーマンではない
「後藤さん、今回の事業計画書は担当者が他の業務に専念してもらいたいこともあり、後藤さんに書いてもらえますか?」
これは、ある会社で開発している製品の今後の業務について打ち合わせしているときに、その会社の社長がおっしゃった言葉です。
普段は、私はコンサルティングに専念していますので、担当者に書いてもらい、私がアドバイスするというスタンスを取っているのですが、上記については私も1年半以上その会社と共に知財戦略も含め関わっており、担当者に本来業務である「研究開発と知財面のフォロー業務」をしてもらう必要があると判断し引き受けることにしました。
経営者が社員に仕事をやらせるのは当面仕事をこなす必要があるのと同時に、「仕事を任せて育てる」という側面もあるからですよね。言わずもがなのことです。
上述のように、例えば補助金をもらえる可能性があるプロジェクトの事業計画を策定し、それを見えるように書くことはそれなりの経験とノウハウが必要です。
そのような「書く」業務は研究開発担当がやるべきことなのか?
私は違うと思っています。
例えば、私が以前在籍していた会社では、特許出願は100%特許事務所に委託し、社内では明細書の作成はしていませんでした。
それは、(会社にとって)明細書の作成以上に重要と考えている業務を優先してやっていたからです。
これは、会社によってさまざまです。
研究開発型企業では、明細書の作成は全て社内でしている会社もありますし、会社の「戦略」次第です。
ただ、「技術者が一番技術を分かっているからそれに関する書類も全て技術者が書く」というのは、得意分野が異なる仕事を一緒くたにしてしまっているように私には思えます。
「書く」ことが得意な人に技術と事業内容を教え、書いてもらう方がよっぽど効率的で本来業務に専念できる場合もあるのです。
皆さんの会社ではどうですか?
技術者が何でもかんでもやっていませんか?
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