顧客を見ても聞いても開発テーマを決められない理由
「顧客を見たり、顧客に聞いたりしているのですが、新しい開発のネタがなかなか見つかりません」先日、当社にご相談に来られた、ある社長の言葉です。
その社長は、過去に何度か商品開発にチャレンジしています。技術には自信があり、持ち前の技術開発力を活かして商品の開発に取り組みました。しかし、どれも上手く行きませんでした。何度も失敗を繰り返す内に、失敗の原因は、ニーズをあまり考えずに開発していたことにあったと感じ、そこを何とか改革しようとしました。そして、お客様に今後の商品に対するニーズを聞くことから始めたそうです。
ところが、顧客から聞けたのは、他社商品との比較結果でした。「機能はA社の商品が良い、品質はB社が良い、でも値段はC社が良い。B社の品質でA社の機能を持ち、価格がC社レベルなら、間違いなく買うよ」こんな具合です。
あるいは、「確かにその提案は良い。ただ、既存商品と比較して値段が高くなったのでは買えない。値段が同等なら欲しいね」など。
既存商品と比較して、ベストなものを要求する。当然と言えば当然の要求ですが、わざわざたずねるまでも無い答えでもあります。怖いのは、お客様は神様だとばかりに、この要求に応えようとしてしまうことです。実際に、多くの企業が、こういった顧客の要求に応えようと必死に頑張っています。しかし、このパターンは、前回のコラムにも書いたように、他社や他の商品と比較され、買いたたかれるパターンであり、低収益に苦しむことになってしまいます。
同じように、ニーズを調べる方法として、売れている商品の売れている要因を調べ上げ、そこから顧客のニーズを把握しようとするパターンがあります。しかし、このパターンは、言うまでも無く、物まね商品を生むパターンです。その結果は、やはり、低収益に苦しむ道を歩むことになってしまいます。
冒頭の社長は、シーズを提案しても上手くいかず、ニーズを聞いても上手くいかず、困り果てて相談に来ました。
そんな社長に、まず、お伝えしたのは、「お客様を無視してはいけないが、お客様を追いかけてもいけない」ということです。
お客様を無視しては、独りよがりな売れない商品ができるだけです。逆に、お客様を追いかけて、お客様にニーズを教えてもらおうとしても、今の商品に対する比較意見が出てくるだけです。これに応えても、比較され、激しい競争にさらされ、低収益に苦しむことになります。経営資源の限られる中小企業にとって、大切なことは、比較されない商品を開発することです。
では、どうすれば良いか?
「お客様にニーズを教わるのでは無く、お客様にニーズを教えること」
ニーズを聞いてお客様の背中を追いかけるのではなく、お客様の一歩先、二歩先を走って、お客様自身が気づいていなかったニーズを具体化して示し、教えることです。
そのためには、まず、お客様のことを知り、お客様に追いつき、それから追い越さなければなりません。お客様を見たり聞いたりすることは、スタートラインに立つ前の準備段階に過ぎません。我々は、そこに時間をかけたり、そこで立ち止まっているわけにはいかないのです。
お客様の背中を追いかけてはいませんか?
もし、そうであるならば、お客様を引っ張る価値ある企業になるために、急いで追い越しましょう。
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